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皇都騒動
彼との再会…
しおりを挟む「平和だね~」
ルーアの町の事件?から3ヶ月経った頃。私は散歩をしていた。場所は変わらず死の森といわれている森だ。
「そうだな。いい天気だ」
「ですね。主様、お茶のお代わりは如何でしょう?」
「有難う!是非頂きます」
ノワールが淹れてくれたミルクティーを飲む。本当に美味しい。作って来たクッキーも我ながら上手く出来たし、本当に平和だ…
ザワザワ…ザワザワザワザワ…
突然木々が揺れ始めた。明らかに風で揺れるのとは違う。二人とも警戒し始める。
「なんだ…?ディアルマ何か感じるか?」
「ちょっと待て…」
ディアルマが目を閉じて集中する。彼は自然の力をもっているから何かあった時、調べればすぐわかるのだ。
「どうやらこの森の入り口に人が来ているらしい。それも主を呼んでいるようだ。だから森が警告を訴えている」
「私を…?それってどんな人?」
「銀色の髪に深い青の瞳の男と、緑色の髪に紺色の瞳の男、それからクリーム色の髪にオレンジ色の瞳をもつ男、合計で3人いる。主を呼んでいるのは、銀色の髪の男だな。木々から特徴を聞く限りだが、アキュリスタ帝国第二皇子じゃないか?」
「え…?」
確か名前は…
「レンルナード・ヴェア・アキュリスタですよ、主様。主様がこの森で保護された者です。
それで?後の二人は誰なんだ?」
「それはわからない。木々も見たことのない人だと言っている。ただ、相当焦って大声で呼んでいるから、何かあるのは確実だろう。ただ会いに来たわけじゃなさそうだ」
「何があったんだろう…?」
「それは分かりかねます…お知りになりたいのなら、お伺いするしかないかと。ですが、残り二人が安全だという保証は御座いません。何か重大なことがアキュリスタ城で起こっているのだろうとは推測致します」
「主の好きなようにすればいい。会いたくないならこのまま帰ればいいんだ。絶対に会わないからな。だが、もしも気になるなら、会いに行ってもいいんじゃないか?」
……どうしよう。凄く気にはなる。わざわざ帰らずの森といわれている所まで来たのだ、絶対に用件がある。そして、他の誰でもない私を呼びに来た。繰り返すが、此処は帰らずの森だ。誰もそんな明らかにヤバそうだとわかる森には来たがらない。レンルナードさんはこの森で怪我をしたのだ、恐ろしさは身に染みているはず。
にもかかわらず私を呼びに来た。それはきっとものすごく大変な事態になっているんだろう。助けになりたいと思わないでもない。
だが…私に何が出来るのだろう?出来ることといえば、魔法薬を作ることくらいだ。後はサポート系の魔法が出来るくらいだろうか。そんな私が何の助けになれるというのか。それにレンルナードさんに会いにいけば、必然的に残り二人の人と顔を合わせることになる。全く知らない人だ。そんなの怖い。今は、ルーアの町の時のようにフード付きのローブを着ていないから、顔を見せて話をしなければならない。本当に怖いのだ。知らない人と、いきなり顔を見て話をしなければならないなんて思うだけでもう無理だと帰りたくなる。実際に私の体は帰ろうとしている。もう既に腰が引けているのだ。会ってもいないのに。
「主様、無理強いをするつもりは御座いません。私達は主様が1番大切ですから。もし気になられるのでしたら会いに行っては如何でしょう?という提案です。強制したいわけではないのです。ご了承下さい」
「何度も言うが、会わなくたっていいんだ。主の好きなようにすればいい。だがな主、主は後で気にするだろう?私に何の用事だったのかな、何かあったならどうしようと。それで後悔するくらいなら会いに行ってはどうだ?会ってみて無理だと思ったなら帰ればいい。主が家に帰るのを止められる者なんていないからな」
二人とも私の気持ちがわかるのか、すぐに慰めたり励ましてくれる。私の迷いも、行きたいという気持ちも汲み取ってくれる。
二人がいるなら…会いに行ってみようかな。私は本当に単純だ。
「行ってみたい…二人とも一緒に来てほしい…!」
「かしこまりました。主様、お供致しますよ」
「主、俺の背に乗れ。連れて行こう」
ディアルマが乗りやすいように屈んでくれる。私が背に乗ったのを確認すると風のように走り出した。
どうしたんだろう?私はドキドキしていた。知らない人に会う不安と、久しぶりに会うレンルナードさんに対する不安。少し楽しみでもあるが、まだ不安が強い。
ディアルマとノワールに支えられながら彼らの元に向かった。
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