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皇都騒動
何で事件ばかり…
しおりを挟む「さぁ主様、出来ましたよ」
「ありがとう!可愛い!ノワールは本当に上手だね」
「有り難き幸せ。主様、花冠がよくお似合いですよ」
そう言って微笑んでくれる。花畑に到着した私達は遊んでいた。ディアルマを気にして上の空だった私に、ノワールが花冠を作りましょうと言ってくれたのだ。
作り始めたのはいいのだが、私は下手くそ過ぎた。まん丸の輪どころか輪にすらならない。何故だ…見かねたノワールが私の花冠を作ってくれた。本当に綺麗な花冠だ。私の作った物が子供の工作なら、ノワールの作った物は売り物だ。
「凄いなノワール。こんなに綺麗な花冠、作ってもらっちゃって…本当にありがとう!」
「いえ、主様に喜んで頂けましたなら私も嬉しいです。主様、そろそろお客様がお見えにあるかと存じます。心の準備は宜しいですか?」
「…うん…頑張ります…」
全然宜しくないが、頑張るしかない。せっかくディアルマが呼びに行ってくれたんだから。
そんなことを思っていたらノワールが頭を撫でてくれた。花冠を着けているから軽くだったが、嬉しい。ノワールに頭を撫でられるのは好きなのだ。
「主様ならきっと上手くお話できますよ。さぁ、ディアルマが帰ってきたようです」
ノワールがそう言った瞬間にディアルマが走ってきた。私は花畑の中心いるのだが、ディアルマは散らさないようにする為に浮いている。花からほんの少し浮くだけなので飛んだりはしていない。でもこれが飛んでいるように速い。空気抵抗などないかのようなスピードだ。私が乗っている時はいつも気遣って加減してくれる。だからこんなスピードで走っているディアルマは初めて見た。
「主、今戻ったぞ!あいつらは後から追いかけてくるから心配はいらない」
そう言ったディアルマの顔は輝いていて、尻尾はピーンと立っており、何かを期待するように揺れている。褒めてほしいのだろう。本当にディアルマ可愛い…
「ありがとうディアルマ!皆さんを迎えに行ってくれて本当にありがとうね。凄く早くて驚いちゃった」
ディアルマの頭を撫でると、尻尾がご機嫌に揺れて私の手に頭を擦り付けてくる。もっと撫でろと言わんばかりだ。
ディアルマに癒され撫で続けていると足音が聞こえた。人だ。私が緊張で強張っているのがわかる。ドキドキしている固まっていると私を呼ぶ声がした。
「セーレさん…!」
振り返ると息を切らし、髪も服も乱れているレンルナードさんの姿がそこにあった。よっぽど急いできたらしく、服の裾が破れていたりと割と悲惨だ。
その後ろから男性が二人出てきた。ディアルマに聞いていた特徴からおそらくこの三人で来たのだろう。レンルナードさんと同じでなかなかに悲惨な状態だ。私を見て惚けた顔をしているが、何故だろう…?
「久しぶりだなセーレさん。元気にしていたか?」
そう聞かれたので頷いて答える…声が出なかったのは許してほしい…
「そうか…なら良かった。後ろの二人を説明しても…?」
もう一度頷く。
「ありがとう。こっちにいるクリーム色の髪にオレンジの瞳で、剣を持っているのはバロン。緑の髪に紺色の瞳、杖を持っているのがフォルだ。彼らは皇宮に仕えてくれている者なんだ。セーレさんに危害を加えることはないと保証する」
説明された彼らは慌てて頭を下げているが…その瞳にあるのは不信感だ。私は思わずノワールの後ろに隠れる。
そんな私を見てレンルナードさんが彼らに咎めるような視線を送れば直ぐに無くなった。上手く隠したといった方が正しいとは思うが、不信感丸出しの目で見られなくなったのでとりあえず話は聞けそうだ。
「お、お久しぶりです…レンルナード様…ど、どどどどうなさったのですか…?」
よし!質問は出来たぞ!!
「実は…皇宮で困ったことが…俺の妹がまるで人形のようになってしまったんだ。起きているのに話すこともなく、目も合わない。ただ目が開いているだけ。食事も口の前に持っていかなければ口にしようともしない。移動も一人ではせず、手を引かれて漸く動き出す。明らかにおかしいのに原因がわからない。皇宮にいる者では分からなかったんだ。分かったのはもしかしたら、魔法薬で治るかもしれないということだけ。だからセーレさん!助けてほしい…!宜しく頼む…!」
そう言って頭を下げる。レンルナードさんが頭を下げたからだろう。後ろの二人も頭を下げた。
えっと…一つ言ってもいいですか…?
なんでこんなに事件ばかり起きるんですか…??
私…何かしました…??
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