人見知り転生させられて魔法薬作りはじめました…

雪見だいふく

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真実

これから…

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 話がひと段落した今、私はフレンチトーストを食べていた。朝食で作ったやつだ。ルトラス様も食べたいと言われたので、急遽作って皆で食べている最中だ。

「セーレっ!このフレンチトースト、本当に美味しいね~毎日でも食べたいくらいさっ☆」

「ありがとうございます、ルトラス様。毎日は無理ですね」

 ルトラス様はご覧の通り、すっかり元のチャラさに戻られた。ノワールとディアルマはなるべく絡まれないように黙々と食べているが、ルトラス様は絡みたいようだ。
「本当に美味しいね~」だとか「他にはどんな料理を食べてるの?」とか「君達も作れるっ?」とか…隙あらば絡みに行っていて、二人を白目にさせている。二人曰く、恐れ多過ぎて気軽に話されると目眩がするらしい。なんでも神の王のオーラが眩しすぎるんだとか…私にはチャラくしか見えない。今も幸せそうにフレンチトーストを頬張っている姿を見ているが、どこにも神々しさは感じない。先程は感じたというのに…残念な神様だ。




「ふぅ…」

 食事を終えて、紅茶を飲んでいる。ディアルマは私の足元で寝そべりリラックス中だ。
 さて、一息ついたところで肝心なことを聞かなければ。

「ルトラス様、これからどうすれば?」

 肝心なこと。それは今後だ。何をどうするのか、教えてもらわなければどうしようもない。
 ルトラス様はチャラい雰囲気を引っ込めて真面目モードに変化する。

「まずは宝珠をどうにかしたい。取り返せれば一番早いんだけど、おそらく難しい。ダンタリオンは慎重だ、そう簡単に何度も出てこない。
 だから宝珠の力を無くす方向でいこうと思うんだ。宝珠に秘められている力は、僕にとって極一部で弱い物だ。だからこそダンタリオンも扱えている。普通は神の使者でも僕の力を使うのは無理だから」

「そうなんですね…その宝珠の力をなくす方法はあるんですか?」
 
 無いと言われればそれでおしまいなのだが、どうやらきちんとあるらしい。首を縦に振って頷いている。あぁ良かった、方法から見つけてとか言われたらどうしようかと思った。

「実はこの世界は僕が創った世界でね、世界のあちこちに僕の力の息吹があるんだ。まぁ今は使えないんだけど…これを復活させてくれれば後はこちらでなんとかできる」

「どうすれば復活させることが出来るんですか?」

 神の力の復活?そんな大層なこと一体どうすればいいのか検討もつかない。

「そんなに難しいことはない。ただ神の竪琴を弾いてくれればいいだけだから」

「神の竪琴ですか…?それはどうやって弾くんです?そもそも今あるんですか?」

「普通にハープを弾くのと同じなんだけど。君の世界にもあったでしょう?神の竪琴はね、なくしちゃったからないんだ」

 はい?? なくした…だと??それに普通にハープを弾くようにですと?私生まれてこの方ハープなんて弾いたことも御座いませんが?

「いやいや!無茶言わないで下さいっ!なくした?そんな物をどうやって弾けばいいんですか!?そもそも私ハープなんて弾いたこともないですよ!?」

 かなりの勢いでルトラス様に詰め寄るが、どこ吹く風。

「今から100年くらい前、この世界に来た時に落としてしまったんだ。だから何処にあるのか分からない。何処で落としたかは覚えているけど。弾いたことなくても大丈夫だよ。神の竪琴を見つけて練習すればいいんだから」

 この神様…なんてことをしてくれたのだ。宝珠の力をなくす為にはまず、この世界の神の息吹を復活させる必要がある。その神の息吹の復活に必要な竪琴をなくしただと??落とした場所は覚えていても100年も経っていたら色々と変わっているだろう。見つからなかったらどうするのか。本当になんてことをしてくれたんだ!
 
「い、いや。大丈夫、きっとある。だってあの竪琴を作ったのは僕なんだから、何処にあるかはなんとなく分かる!だからそんなに怒らないで!」

 私が怒りに震えていることは分かったのだろう。ルトラス様が慌てて弁明をしてくる。

「はぁ…分かりました。それで?その竪琴は何処にあるんです?」

 話を変えるとルトラス様の表情がパァッと音がしそうな程輝く。キラキラと光が見えそうだ。

「案内するよ!準備はいい?」

 ノワールとディアルマを見ると、いつでも行けると言わんばかりに頷く。私とルトラス様が話している時は無言で壁際に立つので、全然話に入ってこないのだ。

「二人も準備は出来ているようですしいつでも行けますよ」

「じゃあ早速行こう!!」

 その言葉を合図に魔法が発動していく。転移魔法を使って行くらしい。どうか簡単に見つかるところでありますように…私は願わずにはいられなかった。





「さぁ着いた。此処だよ!」

 え。

「此処…ですか…?」

 顔が引きつるのを止められない。ノワールとディアルマも嘘だろうと顔が語っている。
 
「え…と。思い違いとかではなく…?」

 どうか間違えたと言って!!お願い!!

「間違えてないよ~ちゃんと此処!100年前、僕が落とした場所だ!!」

「は、はははは…」

 乾いた笑いがこぼれる。バッチリ肯定してしまった。不安げに此処だと思うけど…とかではなく、此処です!!と自信満々だ。これだけ自信満々なら思い違いでもなく、場所違いでもないだろう。でも、でもどうか間違ってしまったって言ってほしかった!!



「こんな場所どうやって探せって言うんですかぁぁぁぁ!!!」

 
 心の底から叫ぶ。何故って?それは……此処が、ルトラス様の竪琴を落とした場所が…

 
   広い海のど真ん中だからですよ!!

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