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海の王国
作戦を練りましょう
しおりを挟む「主様、お待たせ致しました。只今終了致しました」
フェスルさんと周囲の警戒をしていたら、ノワールが声をかけてきた。もう少しかかるかと思っていたのに…随分早く終わったらしい。
「二人ともありがとう!中はどんな状況?」
「洞窟内は全部で3つの部屋がある。1つ目は宝物庫で、2つ目は黒の人魚がいる部屋。3つ目は魔物がいる部屋だ」
「どうやら魔物が数多くいるようです。その中でも強い魔物は人魚の近くに、その他の手駒は部屋に押し込められています。人魚のいる部屋に行こうと思うと、必ず魔物がいる部屋を通らなければなりません」
「そっか…」
やっぱり一筋縄ではいかない。戦闘は避けられないだろう。あぁもう…どうして毎回一筋縄ではいかないの…
「魔物はどんなものがいるんだ?」
フェスルさんは討伐する気満々だ。でも待ってほしい。貴方確か、私の記憶違いでなければ魔物にやられてましたよね?その部屋がどれくらいの広さとかは分からないが、部屋の中に魔物が押し込められている以上、周りを囲まれることになる。そんな状態で勝てるんですか…??
どうやらノワールも同じことを思ったらしい。少し小馬鹿にしたように告げる。
「魔物は私達にとっては雑魚ですよ?ただフェスルさんにとっては強敵でしょうけど。あの海蛇によく似た魔物も、うじゃうじゃいますから」
「なんだと!?」
…訂正する。少し小馬鹿どころではなかった。ガッツリ馬鹿にしている。
「ノワールっ!そんな言い方しないの」
「申し訳ございません主様。以後気をつけます」
……私に対する態度と、フェスルさんに対する態度が違い過ぎやしませんか?もうちょっとフェスルさんにもきちんと対応してあげてほしい。フェスルさんも、態度が違いすぎると思ったようでノワールに抗議している。だが、ノワールはどこふく風だ。全く聞いていない。一方的にフェスルさんが文句を言っているだけになってしまっている。
「どうするんだ主?このまま行けば狭い場所で戦うことは避けられないぞ?」
フェスルさんのノワールに対する文句をサラリと無視して、ディアルマが話しかけてくる。
「そうだね…それは不利になるから避けたいよね…外におびき出すことって出来ないかな?」
「俺とノワールなら可能だ。少し攻撃してこっちに走ってくればいいだけだからな」
「でも、此処は海の中だよ?地上で戦うのとは少し勝手が違うし…」
「まぁ、それはある。しかし俺達は神の眷属だ。それ程度のことで遅れをとったりはしない」
ディアルアルマが自信満々に言う。彼は無理なことは無理だと言うタイプだ。その彼がこれだけ自信満々に言うのだからいけるのだろう。でも心配だ。二人の強さは知っているが…それでも危ないと分かっているのに、頼むのはとても気が引ける。
「主。主が俺達のことを思ってくれるのはとても嬉しい。本当に大丈夫だ。俺達を信じてくれないか?」
「必ずや主様の期待に応えてみせましょう。ですから主様、ご指示を」
ディアルマだけでなく、フェスルさんに文句を言われていたノワールも、いつの間にか近くに来ていて話を聞いてきたようだ。
…ここまで言われて、指示をしないわけにはいかないよね。
「分かった。ノワール、ディアルマ。洞窟の中にいる魔物達をおびき寄せて来てほしい。絶対に無理はしないで、危険だと判断したらすぐに帰ってきて」
そう伝え、私は魔法を使う。ノワールとディアルマを防御の結界で包む魔法だ。既にシャボン玉に包まれているから大丈夫だとは思うが、念のために包んでおく。これで少しくらい攻撃を受けずに済むだろう。
「ありがとうございます主様。必ずや無事に帰ってきます。ですから待っていて下さいね?」
「魔物如きに俺達が遅れをとる筈がないだろう?主にかけてもらった魔法があれば怪我をすることもない。ありがとう主」
ノワールは私の頭を撫で、ディアルマは擦り寄ってくれる。
そして遂に、黒の人魚の住む洞窟の中へと入って行った。
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