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第四章 フィア大陸
4.4. “勇者”の噂
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スラリン達はニャシューを堕とし、人間達に囚われていた精霊達を全員解放し、再びカディオ・コロニーに帰ってきた。4人は長老の家を訪ねると、ウィルが挨拶をした。
ウィル
「ただいま、長老様」
長老
「おう、見事精霊達を解放してくれたみたいだな! いやぁ本当に感謝するぜ! ウィルもだいぶ活発になってきたじゃねぇか!」
スラリン達の姿を確認した長老は、満面の笑みで心から感謝の意を伝えた。
ウィル
「そ、そうかな。ハハ……」
ユキネ
「この子ってそんなに暗かったんですか?」
長老に褒められて照れるウィルを見て、ユキネがいまいち暗かった頃のウィルが想像できないと言った感じで尋ねた。
長老
「あぁ、昔から人見知りが激しいやつでな。なかなか会話にも溶け込めないところがあったんだよ。だがそれも、あんた達と一緒に旅して何か変わったみたいだな」
長老はウィルの頭をワシワシと撫でながら、ウィルの成長ぶりを嬉しそうに実感した。
テツゾー
「ウィルもこう見えてなかなか戦闘の筋がある子だったぞ。鍛えれば化けるかもなぁ」
ウィルを後ろから眺めながら人間との戦いぶりを話すテツゾーに、長老もいち早く反応する。
長老
「お! もしかして、あんたがテツゾーか!? いやぁ、こうして英雄達を揃って見れるとは嬉しいったらありゃしねぇな!」
テツゾーと長老がガッチリと握手する。
テツゾー
「おうよ! なんか村中で俺を探しててくれたんだってな。悪かったな手間かけさせて」
長老
「いいっていいって! あんた達今日はここに泊まっていけよ! 旅の話でも聞かせてくれ! 今夜は旨い酒が飲めそうだ!」
その日の夜、村の広場で大きな焚き火が焚かれると、テツゾーと長老は夜遅くまで旅の話に花を咲かせ、酒を飲み交わした。スラリンとユキネの2人は長老が用意した特設のコテージで旅の疲れを癒す事になった。そして朝になり、テツゾーも加わった3人を起こしにウィルが部屋へとやってきた。
ウィル
「スラリン、おはよー。ユキネさんも、おはよー」
ユキネ
「……あ、おはよー……ございます……むにゃ」
ユキネが寝ぼけ眼でムクリとベッドから起きる。ウィルはテツゾーが寝ているベッドに近づき、頭に触れながら挨拶をした。
ウィル
「テツゾーさんも、おは……あれ?」
ウィルの手にはテツゾーには無い妙な触り心地があった。
ウィル
「テツゾーさんって、こんなに毛がフサフサしてましたっけ?」
スラリン達がテツゾーのベッドを見ると、そこには人間の女がこちらに背を向けて寝ていた。
ユキネ
「……はて、テツゾー殿は、よそで寝てしまったのでは……?」
目を擦りながら起きてきたユキネに、ウィルがテツゾーの荷物を確認させた。
ウィル
「そんなはずないよ。ほら、枕元の持ち物はテツゾーさんの物だよ?」
ユキネ
「本当だ……ならば、テツゾー殿はこの者に襲われてどこかへ……!? テツゾー殿! テツゾー殿!!」
目が覚めたユキネは姿を眩ませたテツゾーを大声で呼び始めた。すると目の前のベッドで寝ていた人間の女が目を覚ます。
???
「ん……なんだよ朝っぱらからうるせーな……少しはのんびり寝せてくれよ……」
ウィル
「……え?」
ユキネ
「!? テ、テツゾー殿……?」
人間の姿で目覚めたテツゾーに一同驚愕する。テツゾーは目を擦りながら今起きてる事態をユキネに尋ねた。
テツゾー
「どうしたユキネ。何かあったのか……?」
ウィル
「ど、どうしたのテツゾーさん、その格好!?」
テツゾーはボーっとしたまま自分の人間の足を見る。
テツゾー
「あん? この格好がどうしたって……? ああ、まだ人間のままなのか……ウィル、早く元に戻してくれよ……ムニャ……」
テツゾーはベッドの上で上半身を起こしたまま寝ぼけていた。
ウィル
「元にって……もうとっくに魔法は解いてるよ!!」
テツゾー
「あぁ、そうだっけか…………な、なにぃ!? じゃあ、どうやって戻るんだよ!!」
ようやくテツゾーは自分の身に起きたことを把握し、ベッドから飛び跳ねる。その体には何一つ身に纏っていなかった。その姿にユキネが慌ててテツゾーに呼びかける。
ユキネ
「テツゾー殿! 服! 服!! 何かで身を隠して!!」
テツゾー
「あん? 何かで身を隠し……って、うお!? なんで素っ裸なんだ!!?」
テツゾーはユキネに教えられ、さらに自分の姿に驚いた。慣れない動作にワタワタしてるうちに、長老があくびをしながら部屋に入ってきた。
長老
「おーう、おはようさん4人共。昨夜はよく眠れ……」
長老が全てを喋り終わる前に、ユキネがものすごい勢いで枕を投げつけた。
ユキネ
「今は男衆立ち入り禁止です!!!」
長老
「ぶほーーーー!!??」
顔面に思い切り枕を食らった長老は、そのまま部屋の外まで吹き飛ばされた。
–––––
長老を含めたスラリン達5人は、村の広場でテツゾーの身に起きたことを改めて話し合ってみた。
ユキネ
「しかし、なぜテツゾー殿が再び人間の姿に……?」
テツゾー
「俺にだってわかんねぇよ。厄介なのは、この姿が自分でコントロールできない、ってことだな」
テツゾーは腕を組みながら近くの岩に腰掛けた。
ウィル
「昨日からこの姿だったの?」
長老
「いや、昨夜一緒に飲んでた時は、ちゃんと鉄甲虫の姿だったぞ。酔っ払ってコテージに歩いて行くところもちゃんと見てる。何もおかしな所はなかったなぁ……」
長老は痛めた鼻をさすりながら昨日の状況を説明した。
テツゾー
「気になるのは、この姿ってウィルに初めて変化の魔法をかけてもらった時の人間なんだよなぁ。どこも違ったところはねぇ。すっかり同じ姿だ……」
ユキネ
「テツゾー殿、ここに来てから何か変わったことはありませんでしたか?」
ユキネがテツゾーに気になるところをを尋ねた。テツゾーも腕を組みながらボーっと考える。
テツゾー
「んー、地面に落ちてからは確かに頭の中がボヤーっとした感じはあったな……それが、ウィルに人間化魔法をかけてもらったら、スッキリ消えたってのはある」
テツゾーの証言にウィルを首を傾げた。
ウィル
「うーん、地面に落ちたショックが消えないうちに、魔法を受けたのが何か関係あるのかな……?」
ユキネ
「……そうかもしれませんね。あるいは、昨夜遅くまでお酒を飲んでたでしょうから、その酒が何か悪さをしているのやも……」
テツゾー
「お、おいおい、脅かすなよ……」
真剣に原因を議論するユキネ達にテツゾーも青ざめる。
長老
「まぁ、ここで考えてたって仕方がネェだろうよ。しばらくは様子見するしかないんじゃねぇか?」
長老の言葉にテツゾーも同調する。
テツゾー
「そうだなぁ……ま、別にどこかが悪いってこともないみてぇだし、しばらくはこの姿で歩いてみるか」
テツゾーの姿議論が一通り落ち着いたところで、長老は思い出したように口を開く。
長老
「おっと、ちょっくら野暮用があるんだった。それじゃ、悪いな4人共。俺はここらで消えるとするよ。またここに寄ることがあったらゆっくりしていってくれ」
長老の挨拶にスラリン達も返す。
ユキネ
「あ、はい、色々と有難うございました」
長老
「なに、礼を言うのはこっちの方さ。住人達を解放してくれてありがとうな。あんた達が居なけりゃどんどん減ってく一方だった。本当に感謝してる」
テツゾー
「いいってことよ。俺達もどうせ堕とす予定だったしな」
長老
「はは、そう言ってもらえるとありがてぇ。じゃ、達者でな英雄達!!」
長老はスラリン達に右手を振り上げて挨拶すると、そのままどこかへ歩き去っていった。長老が村の中へ消えるのと同じ頃に、スラリン達も次へ向けて出発しようとしていた。
ユキネ
「さてと、では私達も行きましょうか」
テツゾー
「……ちょっと待ってくれ」
ユキネが出発を促すと、テツゾーは深妙な面持ちで一同に呼びかけた。
ユキネ
「? どうかされました?」
テツゾー
「ちょっとな。出発前に皆に伝えておきたいことがある。ウィル、お前にも間接的には関係のある話だから一緒に聞いてくれ」
ウィル
「う、うん……」
テツゾーのいつになく真剣な表情にスラリン達も緊張した。
テツゾー
「実はな、昨夜長老と酒を呑んでてさ、ちとヤバい話を聞いてしまってな……」
ウィル
「ヤバい話……?」
ユキネ
「そ、その、ヤバい内容とは……?」
スラリン達は固唾を飲んでテツゾーの言葉を待つ。少し間が空いた後、テツゾーが重い口を開く。
テツゾー
「おう、なんでも、人間達で言う”勇者”がこの世界のどこかで確認されたらしいのだ」
“勇者”という言葉に一同ざわつく。
ユキネ
「勇者……『聖なる存在を味方とし、強力な武器と仲間を従えて悪を討ち滅ぼす』という……アレですか……?」
ユキネが古の言い伝えの一部を呟いた。それを聞いたテツゾーがユキネの顔を見ながら話を続ける。
テツゾー
「おうよ、さすがは元人間のユキネだな。わかってんじゃねぇか。それだそれ。ソレがついにこの地上に出現した」
ウィル
「??? よくわかんないけど、スラリン達が言われてる”英雄”とは違うの……?」
ウィルが率直に感じた疑問を呟いた。その質問にテツゾーが答える。
テツゾー
「ちょっと違うな。”英雄”ってのは結果を出して認められる存在だが、”勇者”は結果を出さなくても認めざるを得ない存在だ」
ウィル
「そんな……でも、まだ確認されただけなんでしょ? どこに居るかわからないんでしょ? そんなに悪い知らせなの?」
ウィルの声にも明らかな戸惑いが出る。ウィルの質問にテツゾーは少し間を空け、ゆっくりと答えた。
テツゾー
「人間の勇者ってのは、下手をすればあの魔王様ですら敵わない強さかもしれねぇ。そんな奴が、明日この村に出没したら、ここは一体どうなる……?」
ウィル
「はっ……ヤダ……」
ユキネ
「テツゾー殿……」
テツゾーの少し意地悪な返しにウィルが涙声になる。
テツゾー
「長老さんがさっき言ってた野暮用ってのも、恐らくその勇者絡みのことだろう。この村がすぐに襲われそうなのか、どうかのな」
ユキネ
「では、私達は一体どうすれば……?」
テツゾー
「今のところ、その”勇者”の不気味な点は現在地がはっきりしねぇところだ。もしかしたら明日にでも鉢合わせることになるかもしれねぇ。そこは覚悟しといてくれ」
テツゾーがスラリン達の顔を見渡しながら真剣に話す。
ユキネ
「そんな……」
テツゾー
「まぁ、鉢合わせて無理なら無理と直感でわかるだろうから、その時は俺達も全力で逃げさせてもらうけどな」
ユキネ
「そ、そうですね」
ウィル
「…………」
ウィルが不安そうに揺らめくのをテツゾーは見逃さなかった。
テツゾー
「ん、どうした、ウィル? 浮かない顔して。今の話が相当ショックだったか?」
ウィルはテツゾーに心のうちを見透かされたような気がして、声を絞り出すように話し始めた。
ウィル
「う、ううん……いや、うん。確かにショックだったけど、それでもどうしてスラリン達は旅を続けてるの?」
テツゾーはスラリンと顔を見合わせた。
テツゾー
「そりゃあ、この世界を魔物が住みやすいようにするってことだよなぁ、スラリン?」
スラリンは大きく頷く。
ウィル
「ゆ、”勇者”と戦うことになっても……?」
テツゾー
「ああ、後にも退けぬ状況で鉢合わせたら、戦って倒すしかないだろうな」
テツゾーは腰に手を当て真顔で答えた。ウィルは震える声でさらに尋ねる。
ウィル
「そこで、し、死んじゃうかもしれなくても……!?」
テツゾー
「まぁ、『後にも退けぬ状況』で全力で戦って負けるなら、死んでも悔いはないだろうよ。だって負けたらどうしようもないもんなぁ?」
テツゾーの言葉にスラリンも頷いた。
ユキネ
「お二人のその覚悟、本当に感服致します。私も微力ながらついてゆきます……!」
ウィル
「……凄い……」
スラリンとテツゾー、二人の覚悟と、それを聞いてさらについていくユキネの覚悟に、ウィルは思わず呟くくらいしかできなかった。
ユキネ
「さて、では再び覚悟も決めたところで、先に進みますか」
テツゾー
「ハハ、そうだな。それじゃ、ウィルとはここでサヨナラだな。長老さんによろしく言っといてくれ。達者でな」
スラリン達はウィルに別れの挨拶を告げ、各々の荷物を抱えたところで、ウィルが慌てたように声をかける。
ウィル
「ちょ、ちょっと待ってよ!!」
テツゾー
「うん? どうした?」
ウィル
「ぼ、僕も連れて行ってよ! 勝手に誘われて、一方的に別れられるのなんて嫌だよ!!」
ウィルの訴えにユキネも困惑した様子で説得する。
ユキネ
「しかし、今のテツゾー殿の話を聞いたでしょう? 私達の旅はとても危険よ。この先どこかで命を落とすかもしれないのよ? そんな中にあなたを連れて行くわけにはいかない」
ユキネの説得にウィルは納得いかないと言った様子で語気を強める。
ウィル
「き、危険なのは勿論わかってるよ! さっきの勇者の話を聞いて、正直まだ怖いよ。でも、そんなに危機が迫ってるのに、ここでじっとしているのも嫌だ!!」
ユキネ
「し、しかし……」
ウィルのワガママとも思える訴えにテツゾー達も困り果てた。
テツゾー
「うーん、困ったな……」
テツゾーとユキネが困っている様子をよそに、スラリンはウィルに親指を立てて旅の同行を歓迎した。
テツゾー
「お、おい!?」
ユキネ
「ス、スラリン殿!? 本気なのですか!?」
テツゾーとユキネにはスラリンがまた考えもなしに決定したのではと驚いたが、スラリンには今のウィルの訴えにはウィルなりの覚悟を感じ取れたことを説明した。
ユキネ
「た、確かに覚悟は本物でしょうけど……しかし……」
動揺を隠せないユキネだが、テツゾーは深いため息を一つ吐くと、すぐに気持ちを切り替えた。
テツゾー
「しゃーねぇな。スラリンがそう言うならいいぜ。連れてってやるよ。だがな、これ以上はどうしても無理だと思ったら厳しいようだがそこでオサラバだ。いいな?」
ウィル
「う、うん! ありがとう!!」
ウィルの表情が一気に明るくなった。
テツゾー
「礼ならこいつに言いな。俺達は何もしてねぇ」
テツゾーはそう言うと、スラリンの頭を手でちょっと強めに撫でた。
ウィル
「うん! ありがとうスラリン! 僕頑張るよ!! じゃあ、改めてよろしくね!」
ウィルはスラリンに元気よく礼を言うと、3人の仲間として迎え入れられた。
ユキネ
「では、あらためてウィルも仲間になったところで、次はどうするんです?」
テツゾー
「どうするもこうするも、勇者に怯えてたってしょうがねぇ。俺達は先に進むだけだ。な! スラリン?」
スラリンは大きく頷いた。
テツゾー
「とりあえず次はここの城だな。よーし! フィア城堕とすぞお前ら!!」
ウィル
「いいい、いきなりフィア城……!?」
ユキネ
「も、も、もうちょっと慣れてからにしません……?」
テツゾーは意気揚々と歩き出したが、スラリンを含む3人は完全に腰が引けていた。
つづく
ウィル
「ただいま、長老様」
長老
「おう、見事精霊達を解放してくれたみたいだな! いやぁ本当に感謝するぜ! ウィルもだいぶ活発になってきたじゃねぇか!」
スラリン達の姿を確認した長老は、満面の笑みで心から感謝の意を伝えた。
ウィル
「そ、そうかな。ハハ……」
ユキネ
「この子ってそんなに暗かったんですか?」
長老に褒められて照れるウィルを見て、ユキネがいまいち暗かった頃のウィルが想像できないと言った感じで尋ねた。
長老
「あぁ、昔から人見知りが激しいやつでな。なかなか会話にも溶け込めないところがあったんだよ。だがそれも、あんた達と一緒に旅して何か変わったみたいだな」
長老はウィルの頭をワシワシと撫でながら、ウィルの成長ぶりを嬉しそうに実感した。
テツゾー
「ウィルもこう見えてなかなか戦闘の筋がある子だったぞ。鍛えれば化けるかもなぁ」
ウィルを後ろから眺めながら人間との戦いぶりを話すテツゾーに、長老もいち早く反応する。
長老
「お! もしかして、あんたがテツゾーか!? いやぁ、こうして英雄達を揃って見れるとは嬉しいったらありゃしねぇな!」
テツゾーと長老がガッチリと握手する。
テツゾー
「おうよ! なんか村中で俺を探しててくれたんだってな。悪かったな手間かけさせて」
長老
「いいっていいって! あんた達今日はここに泊まっていけよ! 旅の話でも聞かせてくれ! 今夜は旨い酒が飲めそうだ!」
その日の夜、村の広場で大きな焚き火が焚かれると、テツゾーと長老は夜遅くまで旅の話に花を咲かせ、酒を飲み交わした。スラリンとユキネの2人は長老が用意した特設のコテージで旅の疲れを癒す事になった。そして朝になり、テツゾーも加わった3人を起こしにウィルが部屋へとやってきた。
ウィル
「スラリン、おはよー。ユキネさんも、おはよー」
ユキネ
「……あ、おはよー……ございます……むにゃ」
ユキネが寝ぼけ眼でムクリとベッドから起きる。ウィルはテツゾーが寝ているベッドに近づき、頭に触れながら挨拶をした。
ウィル
「テツゾーさんも、おは……あれ?」
ウィルの手にはテツゾーには無い妙な触り心地があった。
ウィル
「テツゾーさんって、こんなに毛がフサフサしてましたっけ?」
スラリン達がテツゾーのベッドを見ると、そこには人間の女がこちらに背を向けて寝ていた。
ユキネ
「……はて、テツゾー殿は、よそで寝てしまったのでは……?」
目を擦りながら起きてきたユキネに、ウィルがテツゾーの荷物を確認させた。
ウィル
「そんなはずないよ。ほら、枕元の持ち物はテツゾーさんの物だよ?」
ユキネ
「本当だ……ならば、テツゾー殿はこの者に襲われてどこかへ……!? テツゾー殿! テツゾー殿!!」
目が覚めたユキネは姿を眩ませたテツゾーを大声で呼び始めた。すると目の前のベッドで寝ていた人間の女が目を覚ます。
???
「ん……なんだよ朝っぱらからうるせーな……少しはのんびり寝せてくれよ……」
ウィル
「……え?」
ユキネ
「!? テ、テツゾー殿……?」
人間の姿で目覚めたテツゾーに一同驚愕する。テツゾーは目を擦りながら今起きてる事態をユキネに尋ねた。
テツゾー
「どうしたユキネ。何かあったのか……?」
ウィル
「ど、どうしたのテツゾーさん、その格好!?」
テツゾーはボーっとしたまま自分の人間の足を見る。
テツゾー
「あん? この格好がどうしたって……? ああ、まだ人間のままなのか……ウィル、早く元に戻してくれよ……ムニャ……」
テツゾーはベッドの上で上半身を起こしたまま寝ぼけていた。
ウィル
「元にって……もうとっくに魔法は解いてるよ!!」
テツゾー
「あぁ、そうだっけか…………な、なにぃ!? じゃあ、どうやって戻るんだよ!!」
ようやくテツゾーは自分の身に起きたことを把握し、ベッドから飛び跳ねる。その体には何一つ身に纏っていなかった。その姿にユキネが慌ててテツゾーに呼びかける。
ユキネ
「テツゾー殿! 服! 服!! 何かで身を隠して!!」
テツゾー
「あん? 何かで身を隠し……って、うお!? なんで素っ裸なんだ!!?」
テツゾーはユキネに教えられ、さらに自分の姿に驚いた。慣れない動作にワタワタしてるうちに、長老があくびをしながら部屋に入ってきた。
長老
「おーう、おはようさん4人共。昨夜はよく眠れ……」
長老が全てを喋り終わる前に、ユキネがものすごい勢いで枕を投げつけた。
ユキネ
「今は男衆立ち入り禁止です!!!」
長老
「ぶほーーーー!!??」
顔面に思い切り枕を食らった長老は、そのまま部屋の外まで吹き飛ばされた。
–––––
長老を含めたスラリン達5人は、村の広場でテツゾーの身に起きたことを改めて話し合ってみた。
ユキネ
「しかし、なぜテツゾー殿が再び人間の姿に……?」
テツゾー
「俺にだってわかんねぇよ。厄介なのは、この姿が自分でコントロールできない、ってことだな」
テツゾーは腕を組みながら近くの岩に腰掛けた。
ウィル
「昨日からこの姿だったの?」
長老
「いや、昨夜一緒に飲んでた時は、ちゃんと鉄甲虫の姿だったぞ。酔っ払ってコテージに歩いて行くところもちゃんと見てる。何もおかしな所はなかったなぁ……」
長老は痛めた鼻をさすりながら昨日の状況を説明した。
テツゾー
「気になるのは、この姿ってウィルに初めて変化の魔法をかけてもらった時の人間なんだよなぁ。どこも違ったところはねぇ。すっかり同じ姿だ……」
ユキネ
「テツゾー殿、ここに来てから何か変わったことはありませんでしたか?」
ユキネがテツゾーに気になるところをを尋ねた。テツゾーも腕を組みながらボーっと考える。
テツゾー
「んー、地面に落ちてからは確かに頭の中がボヤーっとした感じはあったな……それが、ウィルに人間化魔法をかけてもらったら、スッキリ消えたってのはある」
テツゾーの証言にウィルを首を傾げた。
ウィル
「うーん、地面に落ちたショックが消えないうちに、魔法を受けたのが何か関係あるのかな……?」
ユキネ
「……そうかもしれませんね。あるいは、昨夜遅くまでお酒を飲んでたでしょうから、その酒が何か悪さをしているのやも……」
テツゾー
「お、おいおい、脅かすなよ……」
真剣に原因を議論するユキネ達にテツゾーも青ざめる。
長老
「まぁ、ここで考えてたって仕方がネェだろうよ。しばらくは様子見するしかないんじゃねぇか?」
長老の言葉にテツゾーも同調する。
テツゾー
「そうだなぁ……ま、別にどこかが悪いってこともないみてぇだし、しばらくはこの姿で歩いてみるか」
テツゾーの姿議論が一通り落ち着いたところで、長老は思い出したように口を開く。
長老
「おっと、ちょっくら野暮用があるんだった。それじゃ、悪いな4人共。俺はここらで消えるとするよ。またここに寄ることがあったらゆっくりしていってくれ」
長老の挨拶にスラリン達も返す。
ユキネ
「あ、はい、色々と有難うございました」
長老
「なに、礼を言うのはこっちの方さ。住人達を解放してくれてありがとうな。あんた達が居なけりゃどんどん減ってく一方だった。本当に感謝してる」
テツゾー
「いいってことよ。俺達もどうせ堕とす予定だったしな」
長老
「はは、そう言ってもらえるとありがてぇ。じゃ、達者でな英雄達!!」
長老はスラリン達に右手を振り上げて挨拶すると、そのままどこかへ歩き去っていった。長老が村の中へ消えるのと同じ頃に、スラリン達も次へ向けて出発しようとしていた。
ユキネ
「さてと、では私達も行きましょうか」
テツゾー
「……ちょっと待ってくれ」
ユキネが出発を促すと、テツゾーは深妙な面持ちで一同に呼びかけた。
ユキネ
「? どうかされました?」
テツゾー
「ちょっとな。出発前に皆に伝えておきたいことがある。ウィル、お前にも間接的には関係のある話だから一緒に聞いてくれ」
ウィル
「う、うん……」
テツゾーのいつになく真剣な表情にスラリン達も緊張した。
テツゾー
「実はな、昨夜長老と酒を呑んでてさ、ちとヤバい話を聞いてしまってな……」
ウィル
「ヤバい話……?」
ユキネ
「そ、その、ヤバい内容とは……?」
スラリン達は固唾を飲んでテツゾーの言葉を待つ。少し間が空いた後、テツゾーが重い口を開く。
テツゾー
「おう、なんでも、人間達で言う”勇者”がこの世界のどこかで確認されたらしいのだ」
“勇者”という言葉に一同ざわつく。
ユキネ
「勇者……『聖なる存在を味方とし、強力な武器と仲間を従えて悪を討ち滅ぼす』という……アレですか……?」
ユキネが古の言い伝えの一部を呟いた。それを聞いたテツゾーがユキネの顔を見ながら話を続ける。
テツゾー
「おうよ、さすがは元人間のユキネだな。わかってんじゃねぇか。それだそれ。ソレがついにこの地上に出現した」
ウィル
「??? よくわかんないけど、スラリン達が言われてる”英雄”とは違うの……?」
ウィルが率直に感じた疑問を呟いた。その質問にテツゾーが答える。
テツゾー
「ちょっと違うな。”英雄”ってのは結果を出して認められる存在だが、”勇者”は結果を出さなくても認めざるを得ない存在だ」
ウィル
「そんな……でも、まだ確認されただけなんでしょ? どこに居るかわからないんでしょ? そんなに悪い知らせなの?」
ウィルの声にも明らかな戸惑いが出る。ウィルの質問にテツゾーは少し間を空け、ゆっくりと答えた。
テツゾー
「人間の勇者ってのは、下手をすればあの魔王様ですら敵わない強さかもしれねぇ。そんな奴が、明日この村に出没したら、ここは一体どうなる……?」
ウィル
「はっ……ヤダ……」
ユキネ
「テツゾー殿……」
テツゾーの少し意地悪な返しにウィルが涙声になる。
テツゾー
「長老さんがさっき言ってた野暮用ってのも、恐らくその勇者絡みのことだろう。この村がすぐに襲われそうなのか、どうかのな」
ユキネ
「では、私達は一体どうすれば……?」
テツゾー
「今のところ、その”勇者”の不気味な点は現在地がはっきりしねぇところだ。もしかしたら明日にでも鉢合わせることになるかもしれねぇ。そこは覚悟しといてくれ」
テツゾーがスラリン達の顔を見渡しながら真剣に話す。
ユキネ
「そんな……」
テツゾー
「まぁ、鉢合わせて無理なら無理と直感でわかるだろうから、その時は俺達も全力で逃げさせてもらうけどな」
ユキネ
「そ、そうですね」
ウィル
「…………」
ウィルが不安そうに揺らめくのをテツゾーは見逃さなかった。
テツゾー
「ん、どうした、ウィル? 浮かない顔して。今の話が相当ショックだったか?」
ウィルはテツゾーに心のうちを見透かされたような気がして、声を絞り出すように話し始めた。
ウィル
「う、ううん……いや、うん。確かにショックだったけど、それでもどうしてスラリン達は旅を続けてるの?」
テツゾーはスラリンと顔を見合わせた。
テツゾー
「そりゃあ、この世界を魔物が住みやすいようにするってことだよなぁ、スラリン?」
スラリンは大きく頷く。
ウィル
「ゆ、”勇者”と戦うことになっても……?」
テツゾー
「ああ、後にも退けぬ状況で鉢合わせたら、戦って倒すしかないだろうな」
テツゾーは腰に手を当て真顔で答えた。ウィルは震える声でさらに尋ねる。
ウィル
「そこで、し、死んじゃうかもしれなくても……!?」
テツゾー
「まぁ、『後にも退けぬ状況』で全力で戦って負けるなら、死んでも悔いはないだろうよ。だって負けたらどうしようもないもんなぁ?」
テツゾーの言葉にスラリンも頷いた。
ユキネ
「お二人のその覚悟、本当に感服致します。私も微力ながらついてゆきます……!」
ウィル
「……凄い……」
スラリンとテツゾー、二人の覚悟と、それを聞いてさらについていくユキネの覚悟に、ウィルは思わず呟くくらいしかできなかった。
ユキネ
「さて、では再び覚悟も決めたところで、先に進みますか」
テツゾー
「ハハ、そうだな。それじゃ、ウィルとはここでサヨナラだな。長老さんによろしく言っといてくれ。達者でな」
スラリン達はウィルに別れの挨拶を告げ、各々の荷物を抱えたところで、ウィルが慌てたように声をかける。
ウィル
「ちょ、ちょっと待ってよ!!」
テツゾー
「うん? どうした?」
ウィル
「ぼ、僕も連れて行ってよ! 勝手に誘われて、一方的に別れられるのなんて嫌だよ!!」
ウィルの訴えにユキネも困惑した様子で説得する。
ユキネ
「しかし、今のテツゾー殿の話を聞いたでしょう? 私達の旅はとても危険よ。この先どこかで命を落とすかもしれないのよ? そんな中にあなたを連れて行くわけにはいかない」
ユキネの説得にウィルは納得いかないと言った様子で語気を強める。
ウィル
「き、危険なのは勿論わかってるよ! さっきの勇者の話を聞いて、正直まだ怖いよ。でも、そんなに危機が迫ってるのに、ここでじっとしているのも嫌だ!!」
ユキネ
「し、しかし……」
ウィルのワガママとも思える訴えにテツゾー達も困り果てた。
テツゾー
「うーん、困ったな……」
テツゾーとユキネが困っている様子をよそに、スラリンはウィルに親指を立てて旅の同行を歓迎した。
テツゾー
「お、おい!?」
ユキネ
「ス、スラリン殿!? 本気なのですか!?」
テツゾーとユキネにはスラリンがまた考えもなしに決定したのではと驚いたが、スラリンには今のウィルの訴えにはウィルなりの覚悟を感じ取れたことを説明した。
ユキネ
「た、確かに覚悟は本物でしょうけど……しかし……」
動揺を隠せないユキネだが、テツゾーは深いため息を一つ吐くと、すぐに気持ちを切り替えた。
テツゾー
「しゃーねぇな。スラリンがそう言うならいいぜ。連れてってやるよ。だがな、これ以上はどうしても無理だと思ったら厳しいようだがそこでオサラバだ。いいな?」
ウィル
「う、うん! ありがとう!!」
ウィルの表情が一気に明るくなった。
テツゾー
「礼ならこいつに言いな。俺達は何もしてねぇ」
テツゾーはそう言うと、スラリンの頭を手でちょっと強めに撫でた。
ウィル
「うん! ありがとうスラリン! 僕頑張るよ!! じゃあ、改めてよろしくね!」
ウィルはスラリンに元気よく礼を言うと、3人の仲間として迎え入れられた。
ユキネ
「では、あらためてウィルも仲間になったところで、次はどうするんです?」
テツゾー
「どうするもこうするも、勇者に怯えてたってしょうがねぇ。俺達は先に進むだけだ。な! スラリン?」
スラリンは大きく頷いた。
テツゾー
「とりあえず次はここの城だな。よーし! フィア城堕とすぞお前ら!!」
ウィル
「いいい、いきなりフィア城……!?」
ユキネ
「も、も、もうちょっと慣れてからにしません……?」
テツゾーは意気揚々と歩き出したが、スラリンを含む3人は完全に腰が引けていた。
つづく
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