3 / 9
02.ゲーム開始
しおりを挟む
驚いた。
余りにもリアルな感覚に、間違えたか誤作動でダイブアウトしたのかと思った。
それほどまでに圧倒的な情報の量だった。
しかしそれも一瞬だった。
明らかに現実ではありえない真っ白な空間に立っている。
これは既にゲームの中の世界だ。
だというのに現実の自身の体と遜色ない感覚を脳が感じている。
これは当たりのゲームを引いたかも知れない。
目の前には《ようこそエクスパンド・エボルブ・オンラインへ》の文字。
「わ!!!」
「!!!」
いきなり後ろから声をかけられてびっくりした。
あわてて後ろを振り返ると肩ほどまでの金髪を持った若干アニメ風の欧米美人な女性が笑顔でいる。
NPCか?
ゲーム開始直後にキャラクタークリエイトやチュートリアルもなしに始めるわけがない。
とするとチュートリアル用のNPCだろう。
「驚きました? 私このゲームのチュートリアルや、ゲーム内で起こった問題等での対応をさせて頂きます。AIのアリスと申します。ようこそエクスパンド・エボルブ・オンラインの世界へ。」
いたずらが成功したからだろう、笑顔で自己紹介された。
目の前の文字に注目させておいていきなり後ろからはないと思う。
単純なだけに危なくはないが初めての相手に対してこれはいいのか?
心臓に悪いぞ運営。
しかし驚いた。いや、ドッキリの方にではない。そんなものはとっくに収まっている。
驚いたのはNPC、アリスだったな、の表情や行動の豊かさである。
なんというか自然なのだ。それにただのAIだったらわざわざ驚かしたりはしないだろう。
恐らく彼女はいたずらが好きな性格なのだろう。
ほかのゲームではこんなAI見たことないぞ。
流石に昔あったような同じことを繰り返すことしかしないということはないが、せいぜいがいくつかの行動パターンと会話、表情、あとは決まったクエスト用の固定のスムーズな動きをプレイヤーに対して柔軟に行うくらいである。
もしかするとアリスもそれが多少スムーズになっただけかもしれないが、それだけではない気がする。
「どうかされました?」
しばらく考え事をしていたせいだろう。アリスが心配して尋ねてくる。
「ああいや、随分と個性的だなって……」
すると言葉の意味を察したのか納得の表情を浮かべた。
「そうでした。初めてお会いする方々は驚かれるかもしれませんね」
「私たちには高性能なAIが利用されていますので通常の人々とほとんど同じ様に思考することが出来るようになっています」
「よろしければ、このゲームでは私達のことを通常の人々と同じように接していただくようにお願いいたします」
アリスは笑顔でそう言うと手を胸の前に持って行き丁寧にお辞儀をする。
おそらく『私達』にはこのゲームに登場する全てのNPCが含まれているのだろう。
これだけ丁寧に言われると断れる人はいないんじゃないだろうか。
まあ、もっとも自分はこの時点でこのゲームのNPCに対して、いや、この人達に対しては現実と同じように対応しようと思っている。
なにより、そのほうが面白そうだ。
「丁寧にありがとうございます。分かりました。そうします。そちらの方が楽しめるでしょうし」
「これからよろしくお願いします」
彼女の前に手を出して挨拶をする。
これからチュートリアルをやるわけだし、プレイ中に合うこともあるかもしれない。挨拶はしておこう。
返事を返すと彼女はこちらの対応に満足したのか笑顔で手を握り返してくれた。
「はい、よろしくお願いします」
そもそもNPCに見えないから変なことにはならないとは思うが良好な関係でいられるように気を付けよう。
ああ、きちんとした挨拶って気持ちいい。
すべすべの手もきもちいい。
ゲフンゲフン。
何もやましい気持ちはない。
美人さんから手を握られたからって浮かれてなんかいない。
いないったらいない。
「・・・・・・」
いかんいかん折角仲良くなれたのに変に思われたくないぞ。
なんか気づかれている気もするが気にしないようにしよう。
「それでは早速ですが、このゲームについて説明させていただきます。もし説明の中で分からないことがあればお気軽にお聞き下さい」
彼女も気を使ってくれたのかそのままスルーしてくれたようだ。
その気遣いが目にしみる。
「お願いします」
余りにもリアルな感覚に、間違えたか誤作動でダイブアウトしたのかと思った。
それほどまでに圧倒的な情報の量だった。
しかしそれも一瞬だった。
明らかに現実ではありえない真っ白な空間に立っている。
これは既にゲームの中の世界だ。
だというのに現実の自身の体と遜色ない感覚を脳が感じている。
これは当たりのゲームを引いたかも知れない。
目の前には《ようこそエクスパンド・エボルブ・オンラインへ》の文字。
「わ!!!」
「!!!」
いきなり後ろから声をかけられてびっくりした。
あわてて後ろを振り返ると肩ほどまでの金髪を持った若干アニメ風の欧米美人な女性が笑顔でいる。
NPCか?
ゲーム開始直後にキャラクタークリエイトやチュートリアルもなしに始めるわけがない。
とするとチュートリアル用のNPCだろう。
「驚きました? 私このゲームのチュートリアルや、ゲーム内で起こった問題等での対応をさせて頂きます。AIのアリスと申します。ようこそエクスパンド・エボルブ・オンラインの世界へ。」
いたずらが成功したからだろう、笑顔で自己紹介された。
目の前の文字に注目させておいていきなり後ろからはないと思う。
単純なだけに危なくはないが初めての相手に対してこれはいいのか?
心臓に悪いぞ運営。
しかし驚いた。いや、ドッキリの方にではない。そんなものはとっくに収まっている。
驚いたのはNPC、アリスだったな、の表情や行動の豊かさである。
なんというか自然なのだ。それにただのAIだったらわざわざ驚かしたりはしないだろう。
恐らく彼女はいたずらが好きな性格なのだろう。
ほかのゲームではこんなAI見たことないぞ。
流石に昔あったような同じことを繰り返すことしかしないということはないが、せいぜいがいくつかの行動パターンと会話、表情、あとは決まったクエスト用の固定のスムーズな動きをプレイヤーに対して柔軟に行うくらいである。
もしかするとアリスもそれが多少スムーズになっただけかもしれないが、それだけではない気がする。
「どうかされました?」
しばらく考え事をしていたせいだろう。アリスが心配して尋ねてくる。
「ああいや、随分と個性的だなって……」
すると言葉の意味を察したのか納得の表情を浮かべた。
「そうでした。初めてお会いする方々は驚かれるかもしれませんね」
「私たちには高性能なAIが利用されていますので通常の人々とほとんど同じ様に思考することが出来るようになっています」
「よろしければ、このゲームでは私達のことを通常の人々と同じように接していただくようにお願いいたします」
アリスは笑顔でそう言うと手を胸の前に持って行き丁寧にお辞儀をする。
おそらく『私達』にはこのゲームに登場する全てのNPCが含まれているのだろう。
これだけ丁寧に言われると断れる人はいないんじゃないだろうか。
まあ、もっとも自分はこの時点でこのゲームのNPCに対して、いや、この人達に対しては現実と同じように対応しようと思っている。
なにより、そのほうが面白そうだ。
「丁寧にありがとうございます。分かりました。そうします。そちらの方が楽しめるでしょうし」
「これからよろしくお願いします」
彼女の前に手を出して挨拶をする。
これからチュートリアルをやるわけだし、プレイ中に合うこともあるかもしれない。挨拶はしておこう。
返事を返すと彼女はこちらの対応に満足したのか笑顔で手を握り返してくれた。
「はい、よろしくお願いします」
そもそもNPCに見えないから変なことにはならないとは思うが良好な関係でいられるように気を付けよう。
ああ、きちんとした挨拶って気持ちいい。
すべすべの手もきもちいい。
ゲフンゲフン。
何もやましい気持ちはない。
美人さんから手を握られたからって浮かれてなんかいない。
いないったらいない。
「・・・・・・」
いかんいかん折角仲良くなれたのに変に思われたくないぞ。
なんか気づかれている気もするが気にしないようにしよう。
「それでは早速ですが、このゲームについて説明させていただきます。もし説明の中で分からないことがあればお気軽にお聞き下さい」
彼女も気を使ってくれたのかそのままスルーしてくれたようだ。
その気遣いが目にしみる。
「お願いします」
0
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる