部員6人の軟式野球部~女子マネージャーの見た風景~

すまいる

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第2章

新チームの目標

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 合宿は1週間続き、最終日はOB対現役のOB戦だった。その後、束の間の夏休みになる。合宿中は友達が入れてくれる「差し入れ」が楽しみだった。合宿棟の入り口付近にスーパーの袋に入ったジュースやお菓子が置かれる。袋には宛名と差出人がマジックで書かれている。
これもユニークな高校の伝統であった。

 夏の甲子園大会はPL学園が優勝しKKコンビは有終の美を飾っていた。
私は「輝け!甲子園の星」という雑誌を大会の度に買って熟読していた。試合の様子や選手たちの素顔やコメントが掲載されていた。そしてそこに載るマネージャーの気持ちに共感したりしていた。
しかし、それについて深く語り合える友達はいなかった。
ベンチでは相変わらず部員との間に見えない緊張の糸があった。

 8月後半、練習再開。
OBの桜井さんの素性が少しずつわかってきた。大学2年の時に家の事情で休学し、長距離トラックの運転手をしていた。今年大学に復学し、午後は野球部の練習に来るのが日課となっている25歳だった。

時々、遠くを見つめながらタバコをくわえていた。卒業して7年、グラウンドに忘れ物を探しに来るかのように、毎日やってきた。

 キャプテン、キャッチャーの佐々先輩はキャプテンになる前はおちゃらけタイプのムードメーカーだった。
過酷な合宿を終えたあたりから、何となく貫禄が出てきて、しっかり物のキャプテンになってきた。こういう人物の変化が客観的に見れるのもマネージャーの醍醐味だ。

 秋の大会も助っ人で乗り切った。
大会後に、部員が1名増えた。春に一度やめた1年生の紅林くんだ。もと水泳部。ガッチリ体型だ。水泳は個人競技だったので、団体競技をやりたくて野球を選んだが、仲間に引きづられるように退部してしまった。実際は未練がいっぱいあったのだと、一人で戻ってきたのだった。
これで部員は6人(一人はユーレイだが)になった。

ある日の練習の時に、キャプテンが言った。
「俺たちは、絶対優勝する」
と。
(えっ?)

練習の終わりの掛け声は、円陣を組んで
「終わりなっ!」
「Nこーう、」「オー!」
で終わっていたが、
その掛け声が
「優勝なっ!」
「Nこー、オー!」
に変わっていった。
部室にも「絶対優勝」の四文字の貼り紙が貼られていた。
部員は6人(一人は相変わらずユーレイ)である。
私はポジティブな方だが、この頃は「優勝」なんて夢物語と思っていた。

陽が短くなり、落ち葉が目立ち始めていた。秋が深まろうとしていた。
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