《ユグシルト・オンライン》最強データから始める俺の異世界最強伝説!!──ではなく、Lv255の赤ちゃんに転生した俺の異世界物語

散歩道 猫ノ子

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ススム編、第二章。《Lv255の赤ちゃんギルド》

49《衰弱の角笛》

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ここは俺の出る幕じゃないよなぁ。

とても静かな森の中、ここ一点に限り草木が暴れる様に揺れ、葉が渦を巻き舞い上がっている。
こんなことをしてるのはまぁ、俺の前にいるこのお方。

「ラルフを……かえせぇーーーー!!!!!」

ハピナだな。

ラルフを確認するなり、ハーピーと化して大暴れしてる感じ。

というか、風魔法をこうも無茶苦茶に使われたら……手の出しようがないんだよな。

「それにしても……魔力の扱いが雑すぎる」

ああ、ちなみにだがラルフはもう大丈夫だぞ? かなり傷付いた様子で持ち歩き式の獣用の檻にぶち込まれてたのだがな、まぁ死にはしないように応急処置はされてたし、それにあの血の跡は……自分でわざと落としてたみたいなんだよな。

どう見ても腕の傷だけが、自傷でしかつかない位置にある、そして何より、こいつはまだ出会って間もないが、嫁を守ったからと言って……家族を残し死んでもいいや。なんて考えるたまじゃないのは何故かわかるんだ。
ハピナが帰ったあと、どうやってでも俺に助けを求めると思い頑張ったんだなぁ。

なのでまぁ、ラルフの頑張りに対してはしっかりプレゼントをしてあげたぞ? 乱立する風の中、こそっと手助けしておいた。

まぁ俺がするのはこれだけで充分だろ。って訳で待機。

「はぁ……はぁ……」

とはいえ、ハピナはやり過ぎたな。
風を操る事に長けたハーピー族と言えど、ここまで無尽蔵に風を起こし続けるとこうなるのは目に見えている。

「はっはっは! やっぱあのハーピーは馬鹿だなぁ!」

「風魔法ってのは機動力をあげる魔法で、俺たちのこの防魔の盾を突破出来るわけないのになぁ」
ふむふむ、説明ご苦労さま。

まぁ知ってた。
確かに……ハピナのこんな魔法の使い方だと、あの魔力結界を突破することは出来ないだろうなってことはさ。

「あれってユグシルト・オンラインじゃ無かったような……てことは、2の奴だろうなぁ~」

考えてみたら、盾と剣が実装されるの自体2からだもんな。

たぶん闇取引とかしてるって言う噂の闇商人に雇われた冒険者共なんだろうが、どう見ても下級……だってのに、こんな厄介なもん持つって、魔法だけじゃどうにもならないように調整されてるってとこか?


「くそ……くそぉー!! どうして、どうしてなのよ!!」

ハピナにしてはらしくない雄叫び。
まぁここまで必死に頑張って1ダメージも与えられなかったら、確かに発狂もんだろうけどさ、これに関してはハピナが悪いと俺は思うぞ?

一点に魔力を絞って放てば、たとえ攻撃に向いてない風属性魔法でもあの程度の結界は力技でねじ伏せられる。

普段の鍛錬を獣魔人って言う、元々の強さがあるせいで怠ったってとこか

かなり劣勢であるが、俺は手を出さない。

団長が出張るにはまだまだ勝機があるし、こういう戦闘って滅多に出来ないからな……経験ってのは積ませた方が今後の為になるからな。

ていうか、なんでこいつらにこの2人は負けたんだろ? って思うのが、今の俺が思うことでもあるわ。

「ふむ、ようやくか」
俺がこぼす言葉と共に、それは鳴り響く。

うおーーーーーーーーーーーん!!!!!!

「なっなんだ!?」

「……ウルフ共は聖水を巻いてるから……まさか!?」

突然のウルフの雄叫びに慌てる冒険者の2人。

ようやくお目覚めのようですね。

ぎぎぎ……ぎゆぅーーーっと言った、鉄がひん曲がるありえない音を奏でてるのはまぁ……

「なんでだ!? あいつは確かに瀕死にしてたはず!!」

「足の骨も折ったはずだ!! なんで!?」

まぁ獣魔人は治癒力が高いからな~、と言うのは冗談で、流石にそこまで高い回復力はないな。

……団長でも、これぐらいの手助けは許されるだろ。

「ラルフ!?」

「ぐがぁあああーーーーーー!!!!!!!!!!」

鉄が曲がるなどではない。
ちぎれる訳のない牢屋の鉄柱が、中央から端へめがけ一気にへし切れた。

「フゥー~!! フゥー~!!」と、つよい息遣いから溢れんばかりの怒りを感じるな。

「ひぃ!?」
まぁ第三者目線で見てる俺がこう感じるってことは、それを向けられる奴は溜まったもんじゃないってことか

「はっはやくあれをだせ!!」

「なっない!! どうして!?」
自信が踏んだしっぽが虎の尾だったからと焦っているが、それはまぁ見るかるわけはないよ。

ふむ……「コレを探してるのかなー?」

まぁ俺がした事は2つだけ。

改良した強力なポーションを風に乗せ、弱って可哀想な獣が居たからぶっかけたのと……まぁ、なんか物珍しいもんあったから拾っただけだな。

うん、団長として俺は見守ってるだけだな。

「なっ!? なんであんなとこに!?」

「赤子が空を飛んでる!?」

今更気付いたのか……俺ってもしかして存在感薄い?

「それを返せ!!」

「おっおい、もうそんなことしてる暇はないぞ!!」

必死になってる冒険者達、焦るのも無理はないんだろうな。
俺が拾ったこれは魔道具《衰弱の角笛・ウルフ》
まぁ簡単に言ってしまえば、特定種の魔物に対して効果を発揮する、弱体化を促す魔道具。

たぶんこいつらはこの森に生息する、魔物のウルフやワーウルフを捕獲しに来た奴らで、たまたまこれを持ってたってとこだろう。

「これって獣魔人にも効果あるんだなぁ~」
ゲームでは効果無かったが、もしかしたらユグシルト・オンライン2から改善されたのか?
どうでもいいか、とにかくこの世界では獣魔人にも効果があって……ラルフはそれで無力化されたって感じだな。

まぁラルフは実際、戦力的に言えば中級冒険者の枠には収まらない強さを持ってるからな……

「……がるるるるるる……ハピナを……よくも傷付けてくれたな……お前らは許さねぇ……」

「ひぃ!?」「にっにげろ……にげろ!!!!」

まぁこうなるのは当然ってとこだな。

「……ラルフ……ラルフが、生きてた……」
ハピナもご苦労さん、あとはまぁラルフに任せてたら大丈夫だろ。

「ハピナ」「……どうしましたか……?」「抱っこ」

「……あっはい!!」ふむ、やっぱハピナのこの豊満な胸は最高だな。ここに一生挟まっていたい……「ふぁ~……ねむ」

ん? ラルフを止めなくていいのかって?

まぁたしかに……

「ぎゃぁーーー!!!」

「おい、お前……それ以上したら死んでしま……!?」

このままだと殺しちまうだろうな……でもまぁ、俺は止める気は無いよ。

なんせ、ここは異世界でここは魔獣の森。
最低限のルールとして、他の冒険者を意味もなく傷付けてはならない。そんなものがあるのだがな。

……先にルールを犯したのはアイツらだ。

殺されても文句は言えまい、それに被害者は俺じゃなくてラルフとハピナ、こいつらをどうするか決めるのは俺ではない。

ていうか、正直俺なら容赦なく殺す。
俺にとってこいつらはもう団員で、団員は家族だからな……相手にも家族がいるかもしれないとか、そんなものは知らん。

殺られてからでは遅い、ならとる方法は一つだけ……

それがここ、村や街から出た魔物の生息する地でのもう1つのルール。

「ん? もういいのか?」

「……団長、やはり来ていただけたのですね……助かりました、お手を煩わせて申し訳ございません」

まぁでも、俺よりもこいつらの方が圧倒的に優しいんだよな。

「あ……あがが……」

「……………」

どうやら、先程の冒険者達……完膚なきまでにボロボロにしてるものの、殺しては居ないみたいだな。
両足を砕かれ、喉を潰され、しまいには売られそうになっていた。嫁であるハピナ迄も矢で射抜かれていた、剣で割かれていた……たぶん嬲り遊ばれてたんだろう。

それでも殺さない……ふむ。

「お前は甘い男だなラルフ」

「申し訳ございません、俺には子が居ます故、人間の血に染まることは極力避けたいと考えました」

「そっかそっか、ならまぁこの泣いたまま動けなくなった嫁でも連れて、家で待つ子供の元に帰ってやれ」

俺はウィンドウェアで空に浮く。

「ラルフ!!!」

今日のところはその胸を貸しといてやんよ! まぁラルフのを俺が借りてる訳だが、その辺は気にしないでくれ

2人は「ありがとうございました!!」と涙を流しながら言い、領地へと転移して行った。

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