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ススム編、第二章。《Lv255の赤ちゃんギルド》
51《だんちょ!》
しおりを挟むちゅんちゅん。ちゅんちゅん。
ここはユグドラシルと言う世界樹の葉の1枚、その上にある領地なのだが、どうして小鳥なんかいるんだろう?
「ふぅ……」
そんな些細な疑問と共に目覚めた朝、昨日の事が嘘のように窓から差し込む光優しい光はなんと……うっと惜しいのだろう。
「ねむい!! はぁ……」
昨日ベッドに入ったはいいが……やはり人殺しをしてしまったかもしれない。そんなもやもやした気持ちで眠れなかったな。
「こんなことならいっそ……いや、それは違うか」
この世界には魔力があり魔法もある。
死に物狂いで頑張れば、あいつらは生きられる可能性は案外高いだろう。
まぁ……諦めた瞬間にその確率は天文学的な確率まで落ちるだろうが、あーいう輩は昔からゴキブリ並みの生命力って相場がきまってるからなぁ。
「次、生きてなにかして来たなら……」
流石にあそこまで懲らしめたから、ないとは思いたいけどな。
次は無い。それだけだ。
カチャリと部屋のドアが開いた。
「あら、起きてたのね」
「おはよぉ母さん……」
「あらあら、眠そうね~抱っこする?」
「うん……」
やっぱ母さんだな~眠たくて憂鬱な朝も、この胸の上ならなんだか幸せな気分になれる気がするよ。
♢
キッチンへ母さんに抱かれたまま到着する。
「ススム殿、おはようございます」
「ん? ……………ああ、帰ってきたんだな」
やたらと背筋が通った白髪ダンディなおじさん、まぁシルマだな。横にはちょこんとちっこい緑髪の少年、ではなかったな……軽装なんて来てるが、よく見るとかなり整っている美少女りおん。
なにやらもじもじした様子で俺を見ているが……俺から挨拶したらいいのかな?
「リオンもおかえり、遠征はどうだった?」
「えと……だっだんちょ!! ただいまです!」
「ん?」あれ? りおんってこんなキャラだっけか?
確か俺の事をススムって呼び捨てにしてたはず? なよなよしてるのは変わらないが……敬語?
「ふふ、ススム、りおんちゃんはススムが変わったから困ってるんじゃないのかな?」
「僕が変わった?」
突然背後からそう言ってきたのは母さん、抱く俺を椅子に座らせたあと頭を撫で続けて言ってくる。
「ここ数日、団員が増えて心境に変化があったのかしら? 母さんに対しては甘えん坊のままだけど、少し雰囲気が変わった気がするのよね~」
甘えん坊ったって、俺まだ赤ん坊だからな~でも、団員が増えて雰囲気なんて変わるものなのか? こういうのって本人には自覚ないって聞くが……
「つまりかっこよくなったってことだね!」
自慢げに言う俺なのだが
「そうじゃなくてです、おじいちゃんにだんちょに世話になるんだから、それなりにしっかりした呼び方にした方がいいんじゃないかって言われたの、だから……えと……」
そうじゃなくては傷付くんだが? まぁ赤ちゃんだから仕方ないとして……ん~
「無理はしなくていいぞ? 俺だって皆に対して態度を変えるつもりは無いからな、りおんも今まで通り俺のことはススムでいいし敬語無しで大丈夫だ、……ていうか、いきなり対応を変えられる方がやりにくいし……」
まぁ俺なりに言葉を作ってみたが、こういうのって伝えるの難しいもんだよな。
俺は団長であるが、団員とは家族で同じ立場でもあるつもり、だからまぁ団員には強くなっては貰うが、悪くない中身を無理に変えさせる必要は無いって考えてんだ。
俺の言葉に戸惑うリオン。
となりでふぉっふぉっと笑い、シルマが言ってくる。
「そうじゃったな、確かに……ススム殿はその程度の事を気にしない器の広いお方、これは儂の頭が堅物過ぎたってことじゃな、りおんよ……時代というのは移り変わるもの、ワシらの考えは古い様じゃ、間違えた知識を押し付けてしもうた、すまない」
ふむ、たとえ孫のようなリオンに対してでも、こうしてしっかり頭を下げるとこ……シルマから学ぶべきところは多いな。
それにシルマが言うことも正しいんだよな。
「おっおじいちゃん……」
困ってるようなので、手を差し伸べてやるかな。
「まぁでも、俺はこんな性格だからな……それにこんな見た目だ、だからまぁ敬語もいらないって言うし、呼び捨てしても構わない……けど、それは俺に対してしか通用しない、だからリオン……シルマの言うことは正しいな、もう少し俺以外の初対面の相手に対しては礼儀を重んじた方が良いとは思うぞ」
フォローはこんなとこでいいだろ。
「だんちょ……」ふむ、心做しか尊敬の眼差しを向けられてる気がする。
……リオンと言えど、女は女……気分がいい。
「ふふん」まぁこれが20人もの団員を抱える、一ギルドの団長の威厳ってもんだ。
かっこつけてみた。そんな俺の背後から
とんとんと肩を叩くのは母さんか? 今いいとこなんだからちょっと待って欲しいな。
「ところですすむ?」
「どうしたの母さん?」
「……俺じゃなく僕だよね? おしりペンペンがいいのかしら?」
「………………………………ごめんなさい」
この後、シルマとリオンにめちゃくちゃ笑われた。
……ほんと、母さんは変なとこ厳しいと思う。……ていうか、一人称ぐらい好きにさせてくれぇーーー!!!
「だんちょ! えと……ボク、敬語は使わないけど、だんちょのことはこれから、だんちょって呼ぶね!」
「ん、あっああ、いいんじゃないか?」
「えへへ……あと、ボク……なんでもない!」
「ん?」よく分からんがまぁ、なんかリオンらしくなったから良かったかな?
「そういやシルマ、少し相談があるんだがいいか?」
「はい、ススム殿」
一応母さんから教えてもらい、団員が増えたこととギルドが出来たことは知ってたシルマとリオン。
でもまぁそれは団長であるの務めでもあるからな、改めて出来た経緯なども説明しておいた、
んで、まぁあれだ……シルマには団員共を鍛えてあげて貰えるようお願いしておいた。
……まぁ団員達の強さからして、あのままだと結構な割合で大怪我したり死んだりしそうだからな。
シルマの訓練は……俺は身をもって知っている。
あれに耐えられた奴が育たない訳ないからなぁ。
良くも悪くもうちのギルドメンバーは真面目なのが集まっている。だからまぁ良い感じに育ってくれるだろ。
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