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ススム編、第二章。《Lv255の赤ちゃんギルド》
53《奇妙な噂》
しおりを挟むシルマの修行場所、から少し離れた場所にはこいつらは居る。
幼い子供の声──
きゃっきゃっといった、無邪気にはしゃぐような声ではなく、落ち着いた感じに紡ぐ声は、魔法の詠唱だな。
「悠久たる大気の子にして、自由を司る風の精霊達よ──
汝求めし答えを示すため、心通わせ我が身と踊れ──」
詠唱を聞いた感じウィンドハンド、風属性の魔法ってことは……リオンだろうな。
うちのギルドで風魔法を操るのは、シルマ、ハピナ、ねこのこ、リオンぐらいのもの、子供はねこのことリオン、けれどねこのこは無詠唱だからな~リオン一択になるって訳だ。
「にしても、リオンも成長したよな……まぁ魔法はねこのこ、剣技をシルマ……あんな化け物ふたりに鍛えられたら、嫌でも成長するってもんか」
とはいえ、その2人の地獄のような特訓に耐えてるリオン、あいつの根性が人並み以上ってのもあるだろうがな。
「にゅ、ミルク、今日はクマ」
ねこのこってたまに思うんだが……絶対あれだよな。
「ふえぇ……! ねっねこのこちゃん見ないでくださいですぅ」
ドS。
最近ミルクにハマってて、俺には余り何もしてこなくなったが……考えてみたらあいつって勇者のサポート役、俺じゃなくミルクのサポートをしてるようにも見えるが気のせいか?
あいつってねこのこはねこのこでも、人に聞くねこのことぜんっぜん違うんだよなぁ~
もしかしたら……ねこのこの中でも変わり者で、自分の気に入ってるやつをサポートするねこのこなのかも……いや、いいのかそれ?
まぁ、毎日齧られたりつつかれたり、魔法で遊ばれたり……危険なとこに放り込まれたり……サポート? なんてされたくないのが本音だがな。
ミルクに関しては毎日パンツ見られたり、ローブの中に入られたりされてるが、危険な魔物全部倒してくれてるって聞くし、俺に対する扱いよりはマシだし、今の状況がベストなのかも……
「つんつん、つんつん」
「ん? ………………げっ」
いつも思う……ねこのこの気配って無くね!?
空飛ぶ俺の足元からお腹をつんつんと青髪の美少女猫。
「ちち、手伝え」がしっと足を掴まれた。
これに関しては毎度思う。
「なーんーでー優しく抱けねぇんだよーー!!!」
両足を掴まれたまま、ぶらんぶらんとねこのこに連れられる。
「あっだんちょ! おはよだよ!」
「団長様、おはようごさいますぅ~」
……この2人もこのふたりだよな。
ねこのこに両足を掴まれ、逆さに吊られてる俺を見て……こうも普通に挨拶してくんだからさ。
「ミルク、リオン……それにねこのこ、おはよぉ……」
「ちち、魔法の的、避けろ」
「はぁ……はいはい」なんか最近、この美少女軍団の近くに寄るだけでこの扱いだ。
まぁいいんだけどな、ねこのこの魔法攻撃の的じゃないからさ……もしもこれがねこのこの魔法の的なら即拒否してる。
リオンの攻撃魔法は俺のウィンドウェアを貫通しない、ミルクに関しては回復魔法の練習だからな、こっちに関してはご褒美って感じかな。
……回復魔法って、なんかこう……ふわわーんと包み込まれてる感じで気持ちいいんだよな。
こんな感じに、俺の朝から昼までの時間はすぎてゆく。
♢
「だんちょ! またねー!」
リオンって最初の頃はなよなよしてたが、強くなる事で自信がついたんだろうな、最近は元気な男の子……じゃなかった、元気な女の子って感じだな。
「団長様、まっまた明日もよろしくお願いします!!」
ミルクはまぁ……俺の癒しだ。
幼いからそういった対象にはならないものの、光と聖属性を併せ持つ体質に似合う、とても礼儀正しくそして純粋。
子供が出来たらこんな子がいいなーって思うな。
「ちち」「ん?」「ぐぅだぞ!」「あっそう」
……ねこのこに関してはもう何も言うまい……
「早く飯出せ」「あーもうわかったから、つつくな!」
ねこのこが腹減ったと言い出すってことはちょうどお昼なんだよな。
「もぐもぐ……うまま~」
ふむ……こうして黙って食ってる分には、とても無垢で可愛い美少女って感じなんだよなぁ。
「ちち、足りない、もっとだせ」
この口調が全部台無しにしてる気がするわ。
こんな赤ちゃんな体ではあるが、俺は団長。実は結構忙しい。
ねこのこが満足する、これでもか!!! って量の餌を渡し、向かうのはここ、無駄にデカすぎる建物、イノセントロアーギルドである。
「団長、丁度いいとこに」
「どうしたリズ?」
どこにでも居そうな平凡な女性って感じのこの人はリズ。
髪も茶色とこの世界では一般的、特徴というものは殆どないが、ギルドの仕事に関してリズの右に出るものはいないと思う。
「あのですね……最近妙な噂があるのは知ってますか?」
「妙な噂?」初耳だな……ギルドには毎日来てるが、俺って殆ど書類関係の仕事ばっかしてるから、団長室に閉じこもりっぱなしだもんな。
受付をしてるリズには様々な情報が耳に入るだろうし、こういう報告はしっかり聞いておかないとな。
「はい……どうやら最近、このギルド内に見覚えのない者が結構な頻度で現れてるそうなんですよ」
「見覚えのない……? それって容姿とかの情報はあるのか?」
「それが……冒険者によって情報は結構バラバラなんですよね、白髪の少年と言うもの、赤目の少女と言うもの、真っ白な布のようなもので全身を覆ってるなんて言う人も……」
うわぁ……すっげぇそれ、見覚えあるわ俺。
……この世界はユグシルト・オンライン見たいな世界。
そう、みたいな世界ってだけで……この世界はリアルで、全ての事象に理由があって、ゲームみたいになんでもあり~なんてことはない。
なのに……「1度俺が調べておくよ」
「ありがとうございます、ではこの件は団長にお任せします」
んーまさかなーって思うが、ここはゲームみたいな世界なだけに可能性としては捨てきれない。
半信半疑であるが、1度……あの部屋を確認してみるかな
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