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ねこのこ編予告、第一章《偽りのねこのこ》
05《純粋な想い》
しおりを挟む今にも泣き出しそうな暗雲が立ち込めている。
1本の塔、戒めの地、そこに彼女はいる。
数キロ離れた場所、そこに至るまでには地を覆い尽くす魔王の軍勢。
全てはかつて勇者が倒したと言われる伝説上の存在。
けれど、俺の耳には聞こえていた。
「殺してよ……」小さいまま、大きくなる事を許されなかった少女の叫びがしっかり聞こえていた。
「ねこのこちゃん……」
どうやらハルにも聞こえてたみたいだな。
「ハル……」「うん……」
「ねこのこ……俺に」「ねこのこちゃん……ボクに」
「「まかせろ!!!!!」」
とうとう天はその涙を堪えきれず、大嵐を巻き起こした。
天も泣くほどの悲しみの物語。
けれど、物語の中心となる2人の瞳には、もう既に泣き飽きたと言わんばかりの涙痕と、もう諦める事に飽きたと言わんばかりの強い意志があった。
「ハル!!!」「はい!!!」
勇者は叫ぶと有無を言うことなく真っ直ぐ駆けた。
「天蜂の巣より滴る純然たる蜜──
運命に抗う者達へ、一時の安らぎ齎す印を授けよ──」
勇者を追うように、大賢者であるハルをその場に残し、死ぬかもしれない運命をものともせず、彼らは1寸の迷いなく駆ける。
「天より産まれし神の子にして、世界を照らす光の精霊達よ──
産まれ落ちた闇の中、願う想いへ集いたまえ、さすれば我はこいねがわん、悲しみに明け暮れた者たちへ、光を守る力を──
再び立ち上がる力を──」
大賢者の魔力は全ての戦士達、そして勇者の額に紋章を施した。
数多いる魔王たちの攻撃は、戦士達の身を、精神を容赦なく貫き食い破り、穢してゆくがそれを許さぬ光の魔力が大賢者の紋章より与えられる。
「闇夜に生まれし神の子にして、安らぎを齎す闇の精霊達よ──
光に拒絶されしその身に罪はない、光を求める心に罪はない、我らは闇を畏れない、我らは闇の意味を知る者──
汝求めし答えを示す為、我らに邪を祓う真なる闇の力を、光と交わり大いなる導きを与えたまえ──」
本来は第2詠唱までしか存在しない、光と聖の魔法。
けれどハルは第3の詠唱を紡ぐ事に至った。
彼女には闇を畏れる意思がなかったから、彼女には闇を愛する大きな器が備わっていたから成し得た魔法。
「《聖魔の加護》」
純粋な想いは時に悪意に揺るがされる。
純粋な心は時に悪意に犯される。
けれど、ただ一点に、ハルが目指した存在は心は……それを一切許さない。
一点に貫かれた純粋な想いは──
「なっなぜだ!!!」
「我らはいずれも世界を1度は支配せし魔王ぞ!!」
「何が……この光はなんだぁぁああ!!!!!!??」
邪な心を持つ存在達に──
大切な友を傷付ける巨悪に決し赦しを与えん──
「ねこのこちゃん……約束は絶対に守るから!!! だから……もう──」
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