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トンズラ

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夕陽もすっかりおちた頃、名古屋のど真ん中にあるセントラルパークという大きな遊歩道を越える時、やたらと可愛い女の子2人が花壇(かだん)のふちに並んで座っていた。


青ちゃんと「花壇に座ってる子たち可愛いな」と言っていたら東南アジア系の男がテレホンカードあるよ! 安いよ! と言い俺たちに近寄って来る。


日本語をたどたどしく語る男は、公衆電話で5千円分の通話が出来るテレホンカードを偽造して、それを千円で売ると言うが、逆に日本語分からないと片言で言って躱(かわ)してやった。バレバレだけど。


煌々(こうこう)と電灯が光る自販機の下でシンナーの売買をするヤンキーや、それを堂々と吸いラリってフラフラする金髪美女を見て、「美人もああなったらお終いだな!」と青ちゃんに言った。


派手なネオンがギラギラと灯る街を歩き、今から行く店を品定めする。


俺の居た名古屋のはずれでなら数件の呑み屋は知っているが、この中心街の呑み屋は1軒も知らない。


先輩という立場上、何でも知っている様なふりをしながら歩いていると、20代前半とおぼしき男性が俺達に声をかけてきた。


「1時間2千円ポッキリです!」


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