ばかやろう 〜たった1つの愛〜

ネギモバ

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トンズラ

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キャバレーの呼び込みだ。


景気の良い時代ではあるものの、うちの様な優良店は繁栄し、完全会員制で、いくら金持ち社長でも紹介がなければ入れない。


逆に呼び込みをやっている店では誰でもウェルカムの必死な営業だ。


「うちはお触りOKですよ!」


お触りか、うちの店ではNGだ。


どこまで触っていいか訊ねる。


「ボーイさん、あんな所やこんな所やそんな所も触って良いの?」


呼び込みのボーイは首にある蝶ネクタイをピーンと横に張り、胸も張って言う。


「はーい、あんな所! こんな所! な、なんと、そーーんな所までまさかのOKですー!」


股間に手を添えたボーイを見ると、青ちゃんは前かがみになりながらギラギラとした真剣な眼差しを俺に向けてきた。


「お1人様1時間2千円ポッキリでビール、ウイスキー、ブランデー飲み放題! 更に女の子を触り放題!」


青ちゃんは目が爛々(らんらん)と輝いている。


だが金を払うのは俺。もう少し入る為の価値を見いだしたい。


「ボーイさん、可愛い子いるのかねェ?」


「こちらをご覧ください」


ボーイは店の玄関前まで案内し、看板に20人ほど並ぶ女の子の写真を指差した。


キャバレーはキャバクラと違い、ステージでショーを踊る女の子が居たり、生バンド演奏を聴きながら、目当ての女の子とイチャイチャ出来るシステム。時間制だ。


「この子タイプです!」


青ちゃんが我慢できずに写真の女の子をポンポンと叩いた。


キャンディちゃんだ。性格は甘えんぼ。


「指名料は?」と俺が聞く。


「なんと! 初回無料です!」


「無料?」


「はい、今だけ!」


今だけか……。人は今だけって言葉に弱い。


「コウスケさん、僕、キャンディちゃんが良いです!」


まあ、青ちゃんが行きたい店に連れて行くつもりだったから、入ろうかな。


俺の指名は今いる女の子を実際にこの目で見てからにしよう。


「ボーイさん、本当に1人2千円?」


「はい! 2千円ポッキリです!」


2人で4千円か、いいだろう。


「よし、青ちゃん入るぞ」


「やったー! ありがとうございます」


ボーイに案内され、入店した。


「2名様ご案内、ありがとうございますー!」


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