ばかやろう 〜たった1つの愛〜

ネギモバ

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トンズラ

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客が2人になった閉店間近、客以外の全従業員に、『コウスケが貯金箱の金を盗んだ』と知れ渡った。


全員が貯金箱に金を寄付しいるから全て敵!


穴があったら人生丸ごと入りたい。


でも金を盗んだのはユリコ。だが、それだけは言えない。


波多野も『どの面下げてここにいる』と容赦の無い攻撃。


ユリコは自分の吸う外国産のタバコがきれて、この店に常備されてないから『近所のタバコ屋で買ってくる』と言って店を出る。


店を出る時鋭い視線を俺の胸に突き刺した。


ユリコは今!  今逃げたんだ!


ママが俺を睨みながら言う。


「あんた、もう終わったわ」


店長も俺に15歳じゃ法的に結婚も出来ないから、店の鉄則である従業員同士の交際発覚の罰金100万円と、貯金箱の窃盗と、暴力団員8人を遣ったケジメを徹底的に審議すると語気を強めた。


ーー逃げなきゃ! 本当に!


「帰るわ、チェックしてくれ」


最後の客がそう言い、2人連れの片方が会計をする時、もう片方がトイレに入った。


これだ! 今しかない!


俺は1番言いやすい青ちゃんに「腹を壊して大が漏れそう! 今お客様がトイレを使用中だから隣のビルの公衆便所で済ませて直ぐ戻る。ピンチだ!」と言って店を抜け出した。


複数の失態を抱えた俺のウソなんか直ぐにバレると思ったから、最後に寮までダッシュする。


店を出た直後、暴力団の山口さんとすれ違い、山口さんが「おい!」と俺を呼び止めようとするが無視した。


俺の必死さを察知した山口さんは追いかけて来た。


せめて寮に貴重品の入ったバッグだけでも取りに行きたいが、極道に追跡されなから寮に到着するなんてとても無理だ!


ヤクザの親分が必死の形相で俺を追い込む!


「待てコラ!!」


ーー怖ェ!!


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