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コンクリートサバイバル
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しおりを挟むユリコは「スリル満点だったね」と言い、お互いのピンチを無邪気に笑う。
こいつ、浣腸プレーといい、窃盗といい、追い込まれた状況を楽しむ癖がある! 本当に! 俺を巻き込みやがって!
今、俺たち2人は大阪ミナミにいた。
暴力団の山口さんに追われたが、相手は還暦(かんれき)近い年齢で俺は15歳。
脚力とスタミナの差は歴然で、逃げ切れた。
ややバレしたホテル街で会おうと仕込みの時に仄めかされていたから運良く深夜に再会できた。
俺たちには『逃る』しか手段はない。
朝一に逃避行する地域を決める相談の中、ユリコの希望は大阪だった。
北海道出身のユリコは北から仙台・東京・名古屋と南下しているから、次は大阪だと、さらに暴力団から逃るには人が密集する都会が良いと言う。
俺としても、ノリツッコミが出来る世界唯一の人種である大阪人には魅力があった。
ユリコいわく、昨日のハゲた客は東京で裏本と、この頃(1985年)としては新規参入が盛んなアダルトビデオの製作に携わっており、裏本出演の前金をもらう為に昨日サイン・押印した。
金が無い理由は、ママとハゲがぐるになっていて、ユリコの店で着るドレスのレンタル料や立て替えた化粧品や美容院代、生活費の前払い等に高い利息を付けて店に縛り付けていたと言う。
見た目は超1級品のユリコ。
新規参入のAVの看板にユリコを起用すると借金を絡めて半ば強引に脅されたらしい。
だが『北風と太陽』の喩(たと)えがある様に、ユリコは北風を跳ね除けた。
いくら綱渡り人生が好きなユリコであっても、全国に己(おのれ)の裸体を顔出し無修正でばら撒かれる事は避けたい。
ゆえに丁度ピンチに見舞われている俺に追加の危機を加えて特大の窮地にし、『2人で逃避行』すべくギリギリのタイミングと計画で前金と貯金箱の窃盗により軍資金を得た。
すげぇ女。
とんでもない女。
だが、俺はこの女がーー
好きだ。
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