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コンクリートサバイバル
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しおりを挟む国鉄(現在のJR)は全国の暴力団支部に連絡が入って駅で捕獲されるおそれが高いかも? と勘繰り近鉄で大阪難波(なんば)に来た。
今後俺たち2人は大阪ミナミを拠点にやっていくと決めた。この街で職探しだ。
その軍資金はユリコが持っている。
でかい例えで言うと省庁同士の会議でもトップの事務次官が出席する場合、金を管理する大蔵省(現在の財務省・金融庁)だけは1つ下の位である事務次官補佐クラスが同等に渡り合う。
家族単位で言っても家計を握っている方が発言力が強い場合が多い。
金のない俺はこれから暮らす大阪の街を歩きながら、気になっていた貯金箱の中身を訊く。
「あの貯金箱って、いくら入ってた?」
「90万よ」
俺の予想より10万少ない。
ユリコが載るはずだった裏本の前金の方は10万だった言う。計100万円か、まあなんとかなりそうだ。
お互いにテレビで見た大阪のスポットを語り歩く。
道頓堀・千日前商店街・御堂筋など、かなり広範囲の大阪スポットを歩きながら百貨店の大丸に行き着き、レディーファーストとしてユリコは服を買った。
俺の今の服装はスナックのバーテンである白のワイシャツと黒のスラックス。
俺も普段着が欲しいなぁ。
だが男のプライドが邪魔をして、金を持つユリコに甘えたりねだったりが出来ない。
そんな俺を見透かし楽しんでいる様なユリコ。
名古屋を出発するとき大阪行きの切符を買う際に渡された金のお釣りが少しあるが、窃盗容疑のとばっちりがあるからユリコに返す気はない。
大丸のデパ地下で、ユリコはお惣菜の試食をすると言うから、俺は電話をしに行くとユリコに一言言い、逃げた本店『金春』に公衆電話をかけに向かった。
このまま一生逃るつもりはないからだ。
金を盗んだのはユリコだが、俺はその罪をかぶる。
まだ15歳。これからの長い人生を、一生暴力団に追われ続けるなんてごめんだ!
公衆電話に小銭を入れ、ダイヤルを回した。
今日はチェーン店の慰安旅行。バスの出発時刻の少し前。
受話器を持つ手が震える。
ーー『……もしもし金春です』
電話に出たのは店長だ。
「もしもし、あの……コウスケです」
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