87 / 150
コンクリートサバイバル
87ページ
しおりを挟む『コウスケ、よく電話を掛けてくれたな、ありがとう。今どこにいる?』
怒り狂ってド叱られると思っていた俺は、この落ち着いた対応の方がむしろ恐怖に感じた。
「店長! 俺は逃るしかなかったんです。すみません!」
『ああ、その気持ち、分かるぞ。だが安心しろ。昨日チェーン店の緊急会議で、俺が全部責任をかぶることになった。全て金で解決できる。で、今どこだ?』
「すみません、それだけは言えません。金はいずれ必ず返します! それまで待って下さい」
『コウスケ、俺が許せば解決できるんだ。白紙に戻せる。ユリコも一緒だろ。また金春で働いてくれ』
「本当に本当! いずれ金は返します! すみませんでした!」
『お袋さん……』
ガチャ
途中で電話を切ってしまった。
最後にお袋が何かと言っていたなぁ……。
ああ……女手一つで俺を育ててくれたお袋にまで迷惑をかけてしまった。
うつむきながらユリコが試食する総菜屋に向かった。
だが、ユリコはどこにもいない。
トイレかな? と、公衆便所の前で少し待ってみたりもした。
別れて1時間ほどが経過し、いよいよ不安が脳内を駆け巡り出し、電話を掛けるからと伝えてあるから百貨店の全ての公衆電話も見回った。
ユリコはいない。
念の為、はぐれた場合に備えて落ち合う場所を決めておけば良かった。
不安を抱え、もう一度総菜屋を一軒一軒ユリコの特徴を店員に伝えて回ったら、1人だけ、『凄い可愛い子が、これからアメリカ村に行く』と言っていたと情報をくれた。
アメリカ村か。
アメリカ村は、『西の原宿』『西の渋谷』と表現される関西きっての若者文化の発信地だ。
俺を置いてこの大丸百貨店を移動するとは思えないが、他に探す見当がつかない。
凄まじく広いアメリカ村を何時間も掛けて探したが、ユリコは何処にもいなかった。
俺、捨てられたか?
いや、そんな筈はない!
時計を見ると夜の8時。
泊まるホテル代もない。
散々考えたあげく、大丸の屋上にある遊園地の物置に忍び込んで一夜をしのぐことにした。
今夜の寝床は物置だ。
それから2~3時間が過ぎ眠りに就いていたら、ガタガタ! っと音がし、懐中電灯の光を浴びた。
「うおっ!」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる