ばかやろう 〜たった1つの愛〜

ネギモバ

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生と死

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フカフカのキングサイズベッドに給湯設備、エアコン、屋根もある! 床は犬猫のフンが転がっているばい菌だらけの地面じゃない!


失って、初めて分かる、人並みの生活。


やたらと照明の灯りを点けたり消したりした。


指先一つで光を自由に出来るんだ!


水泥棒でガソリンスタンドのおじさんに怒られる事もなければ、腐りかけたキャベツの芯をかじって腹痛に襲われる事もない。


夜公園で寝る時、蚊に刺されまくって眠れないことが幸いし、シンナーでラリった中学生からのホームレス狩りを野性の勘で察知したり、酔っ払いの立ちションで狙われた的(まと)にされる事もない!


車の排気ガスにだらけの空気こそタダだが、常に喫緊(きっきん)の課題は食料獲得。


食い逃げも計画したんだ。


1番食べたかった牛丼。


昼の真っ只中に並んで入店し、大盛りつゆだくを食べ終える時に丁度店のピークの頂点になり、大忙しの店員は目の前の仕事で手一杯。


その時を見計らい、敢えて普通に店を出る。っていう手法。


出来なかった。


綺麗事ではなく、食い逃げで顔を覚えられたら、戎橋(えびすばし)で大道芸をする俺は食い倒れの街でグリコのシンボル兄さんしか友達がいなくなる。


普通の暮らしをしていたときは、惰性(だせい)で過ごす毎日に不満をいだく。


贅沢な切望なんだよね。


だが何も無い生活の先にあるのは餓死(がし)


甘えてあれは食べたくない、これも嫌いだと駄々をこねるガキがいたら殴ってやりたいね。


害虫と変わらない暮らしの中、俺を見る人はそれこそ害虫駆除を願っている。


ーー普通っていう幸せ。


急転直下からの脱出は、今後の人生で大きな経験として、糧(かて)として役に立つと思う。


浮浪者の体験なんてなかなか出来ないぞ!


有るのはこの身一つ。


最低最悪の生命活動の中、大阪人の心の広さ、優しさに触れた。


『捨てる神あれば拾う神あり』とはよく言ったものだ。


ゴミ箱に行かず俺の胃袋に納まった神(大阪人)からの思いやり。


俺は、日本に生まれて良かった。


何も無い俺に暖かい手を差し伸べてくれた大阪の人が、日本人がーー。


俺は大好きだ!


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