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涙のハトぷっぷ〜
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しおりを挟む闇金は死んでも取り立てると断言し、帰って行った。
ユリコはこの4か月、同じ系列のホストクラブ3件の支払いをツケで遊んでいた。
驚くのが赤ちゃんのユリアを連れての豪遊だ。
ユリコも最初は普通に金を払っていたが、そのうち金が尽き、クラブ時代に客からもらった貴金属を売るも再び金欠。
金がいくらあっても足らなくなり、元々貢がれる立場が何の因果かホストに貢ぎ、しまいには闇金に手を出したという。
闇金は若い女相手だとかなり融通する。
なぜなら仮に途中で返済がパンクしても、ピンサロやソープなど、若い女の働き口はいくらでもある上、高給を叩き出し、そこから回収できる。
闇金で借りた金でホストクラブでの遊びはエスカレート。
ユリコが指名したホストの売掛け金(ツケ)をその3件ともヤミ金が債権を引き継ぎ金額はトータル二千万円。
ユリコは歴代1位のシャンパンタワーをブチかます伝説を残したという。
ああ……脳ミソがビッグバンで出来ているユリコならやりかねん! やりかねんのだぁぁ……!
現実逃避に思考が傾いていたとき。
赤子のユリアがまた泣き出した。
つん裂く泣き声は、頭の忠心まで響く。
ウザい! ウザい! ウザい!
泣きたいのは俺の方だ!
「うるせェ!!」
俺は初めて娘を怒鳴った。
怒鳴ったらユリアは一瞬ビク! っと固まったが、そこは赤ん坊、再び泣き出した。
何でこうなる!?
7年間に及ぶ借金を完済したばかりの俺がだぞ!
今度の元金は前の3倍近い二千万だと!
二千万あったら中古マンションが買えるぞ! 利息を足す総支払額だと土地付き新築一戸建てが買える額だ!
前は返済するのに2人分の稼ぎがあった。
今は足手まといの赤ちゃんを抱えた俺1人。
ホームレス時代の方がマシだ!
もう無理。
“ユリコ”さえ居たら!
“ユリア”さえ居なかったら!
赤子をどこか人目のある場所へ置き去りにするか? 誰か拾ってくれるかも?
それとも自殺しようか?
戸籍の売買をしていた経験があるから別の人生へ逃避しようか?
この時はマジでそう思った。
だが俺にはどれも出来なかった。
翌日、不幸の連続した俺に追い打ちをかける様に、ユリアが変だ。
おかしいんだよ!
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