ばかやろう 〜たった1つの愛〜

ネギモバ

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涙は貧乏に勝る

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同じくユリアが小学2年生のころ。


働いても働いても苦しい家計に、こんなことをユリアに言ったことがある。


「ユリア、日本の給食は栄養があっていいんだぞ。お父ちゃんが小学生だった頃も、好き嫌いのない子は早食いして、おかわりして、牛乳を飲めない子の牛乳を貰いまくって何本飲めるか競争してヒーローだったんだぞ!」


「ひ~ろ~?」


「そう、ウチは貧しいけど給食費はちゃんと払っている。だから、おかわりして、いばれ!」


「ユリア すききらい ないよ~!」


「ああ、ユリアは好き嫌いのない偉い子だ。たくさん食べて大きくなれよ」


「たくさん食べると お父ちゃんうれしい?」


「ああ、とっても嬉しいよ」


「じゃあユリア 給食いっぱい食べる!」


正直な話、たくさん食べて欲しいのは事実だが、家計が苦しかった。


給食費は払っている。だが家計は借金の返済で常にギリギリ状態。


そう言っていた頃、担任の女性教師の真由美先生から電話がかかって来た。


真由美先生は、うちのユリアがクラスメイトからイジメを受けていると語る。


『決して差別する意味はない』と前置きし、児童からのクラスでのエピソードを説明し始めた。


1人の男子が、家で壊れたテレビを粗大ゴミで捨てたという(リサイクル法実施前)


そのテレビをユリアの父である俺が拾って持ち帰るところを見たとバカにした。


確かに俺は、家にテレビが無いのは創造力を養う為と言ってきたが、保育園時代からだいぶ成長したユリアに言う言い訳としては、かなり苦しくなり拾った。


テレビは俺が修理して、今はうちで観ている。


更にその男子はユリアに『貧乏人は意地汚い』と言った。


給食で出た五目ご飯の人参が机の上に落ちたのをユリアは拾い上げて口にしたから意地汚い、せこい、貧乏たらしいと、クラスメイト全員の笑い者になったらしい。


記憶の無い母に似て気の強いユリアは1人で反撃した。


『食べ物を そまつにしちゃ ダメなんだよ~!』


『お前、貧乏人だから食い意地張りすぎ! 女子で給食をおかわりするのお前だけだそ! 恥ずかしくないのか?』


ユリアは真っ赤な顔で言い返す。


『はずかしく ない!』


クラス全員の前で よく言った!


内心、顔から火が出るほどだろう。


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