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【最終章】背中とお腹
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しおりを挟む「お父ちゃんを観ていると、漫然(まんぜん)と歩く人生ではなく、1つ1つの出来事を噛み締めながら疾駆(しっく)している様に観えます。
アタシの為にお父ちゃんは、力の限り、ありったけを出し切ります。
氷山の一角みたいに、見えている部分はゴツゴツと荒っぽいお父ちゃんだけど、
その見えない海面下には、たくさんの愛が土台として広がっている。
アタシが赤ちゃんの頃から、お父ちゃんは1日2時間しか睡眠をとらずに働き続けていましたね。
酷使する肉体を、やっとの思いで家に向かわせると玄関で力尽き、
気絶するかの如く眠りに落ちたかと思えば、意識を回復すると直ぐにその玄関から次の労働へ出かけていました。
いま思えば、過酷な肉体労働でギリギリの体力と精神力の中、
小さなアタシのワガママで、抱っこやおんぶをせがんでも、全部受け止めてくれました。
固い壁にぶつかって割れる玉子。
お父ちゃんは常に壁よりも、玉子の味方でした。
何度も何度も躓き転ぶ。
その度に、その失敗を消しゴムで消してしまわない。
反省して、次に結びつける謙虚さ。
必ず転んだ時よりも、成長し、起き上がり、決して諦めない強さ。
人間の持つ忍耐力と心の豊かさを魅せられ、貫く信念を学びました。
何千万もの借金もそうです。どんなに辛い事に直面しても、現実をありのまま受け入れるお父ちゃん。
受け入れて、咀嚼(そしゃく)し、良い方へと導く機転。
お婆さんにもらった自転車。
初めて乗る自転車の練習。
一生懸命に押してくれるお父ちゃんは息を切らして何度も何度もアタシに『頑張れ!』と励ましてくれました。
アタシがもらったのはそれだけじゃありません。
この胸に焼き付いて離れない想い出、愛情。感謝を表したい」
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