エターナル

社会不適合者

文字の大きさ
1 / 4

プロローグ

しおりを挟む
 忘れられた廃墟にある調度品で、中央に置かれた金属製のテーブルだけが、当時賑やかだった頃の面影を残していた。コテージの雰囲気を僅かながらにどうにか保っているこの廃墟は、辺りは既に植物が侵食し、ネズミが這いずり廻っている。もう『用済み』となり、管理すらされていないのだろう。
 一陣の風が吹いた。テーブルの上に無造作に置かれたままになっていた巻紙が転がる。
そこに書かれていたのは故人が書き遺したこの世の危うさに対しての嘆きだった…。

西暦2024年現在。
世界はあらゆる面において、瞬く間に著しい進歩と発展を遂げました。
一説によれば、あと数年と絶たない間に、人間が行っていた仕事や作業の大半を『キカイ』が行い、人のすることはメンテナンスと監視するだけになるとも言われています……。
 確かに、技術が発展したおかげで人の生活はエンターテインメントの面においても多彩と言えるほど増えました。ことテレビゲームや漫画、小説には私もお世話になりました。
 人間社会における技術発展の歴史を紐解けば、劇的な進歩をしたのは平成に入ってからでしょう。
私なりに簡潔に言っていくと、
 第一にあげられるのはやはり『演算機の小型化』となるでしょう。これによりそれまでスーパーコンピューターなる存在のみが持ち合わせていた性能は、今やマイクロチップという小さな部品で賄えてしまいます。まぁ、おそらくは既にその当時の性能を遥かに凌駕してしまっているコトでしょうがね。
軍事的な話になれば、私が高校生の頃に流行していた『PS2』。これに使われている部品が兵器にも使われているとの噂も聞いたことがあります。既に『PS4』まで出ている昨今、これが兵器にも技術が転用されていると思うと怖い限りです。
 先進国に籍を置く人々の9割近くが持っているであろうスマホも怖いですね。
扱い方次第では頼もしいモノなんですけど、なんでもかんでもスマホってのはどうかと。商品を買う時もスマホ。
誰かに連絡する時もスマホ。遊ぶにもスマホ。他者との繋がりを確認する時もスマホ。
SNSが始まった時に、すぐ想像つきました。そのうち、殺人事件とか起きるって。
『いいね!』ってなんですか? そこまで人からの称賛が欲しいですか? 自身には分からない領域です。
知ってますか? それが『思考の統一』を図るためだって。
自身にはそう思えてしまうのです。
 この世の中、インターネットが無ければ生きにくくなりましたがあれだって『情報収集』なんですよ?
通販使えば、以前に自分が買った物に似た商品や『これを買った人はこっちも買いました』といった意味合いの言葉が表示される。しまいには通販ページにログインすれば、そのログイン者が好きであろうジャンルのモノがトップに並ぶ。
 遊びの面でもそう。前に遊んだのと似たゲームが紹介される。
現実で出来ないことをする。ゲームの醍醐味でしょう。良いです、良いです。
 ただ……、執拗にミリタリー系のゲームがテレビのCMで流れると怖くなってきます。何故、そこまで人気のあるものにしたいのか、と。これは真に勝手な邪推ですが、『人を殺すこと』に対しての抵抗心を減らそうととしているのかもしれません。自身はそう思います。
 登場して間もない『ドローン』も怖いですよ。あれ。
そりゃ、配達や捜索といったとこを見ると、人が行くには困難だったり危険だったりな場所で活躍してくれるのは良いんでしょうがね。もしドローンを兵器として用いるとしたら? どうなるんでしょうね?
『航空ドローンショー』と称して、人々をその会場に集め、始まると同時に搭載されている小銃で打って来るんです。そんなことになったら凄惨な結果がまっているのは確実ですね。
いやぁ、怖い怖い。
第二は『医療技術の向上』でしょう。臓器の生成、遺伝子の解読。その他諸々。
この技術における最果ては何処ですか? 私には『不老不死』を目指しているようにしか見えなくて怖いんです。ホントに。
 第三は『自動車の開発』ですかね。
車のおかげで人の行動範囲は徒歩の時よりも格段に広くなりました。その分自然を壊して道を造らなければなりません。そして、自動運転(オートドライブ)。これって本当に大丈夫なんですかね?
確かにそりゃあ、高齢者による交通事故を見てるとあったほうが良いとも思えてしまいます。事故った者のコメントの大半が「アクセルとブレーキ踏み間違えた」ですからね。そんなんで、身内を引き殺された遺族からしてみれば、たまったもんじゃない、って話ですよね。そこだけを見れば、あったほうが良いと思いますがね。
だけど、想像してください。もしですよ? もし、自動運転を統轄するシステムが攻撃されて何者かに操られたら? それがISのような凶悪な犯罪組織だったら?
私には地獄絵図しか見えません。こういう事を言うと、「マイナス思考」だと揶揄されがちですが、気にはしません。高みの見物的に起きるだろう出来事(イベント)を冷静に予想しているだけですので。一人こんなのがいても、社会に影響などはそれほど無いかと。

 昨今の異常気象も異常気候も人が自然を蔑ろにしてきたコトの『ツケ』なのでは?

『住宅街にクマ出現』。
このニュースにしたって人が森を壊さなければ、自然環境を改変しなければ、共存していれば避けられたのかもしれません。
捕獲され、屠殺されてしまった生物たちの運命もまた違ったものになっていたことでしょう。

 『自然には八百万の神が宿る』。

大和の国、日本にはかつてこうした考えがありました。例えば、雨。農作をするようになった人間は作物を育てる為に「雨を降らせて下さい」「雨を止めて下さい」と祈っていたそうです。その度に生贄を奉げていたらしいです。
『驟雨(しゅうう)』と『止雨』っていうんだとか。

そこを考えた時、今ってどうなんでしょう? その精神はありますか?

レジャー施設建設の為になんて口実作って森を伐採していく。あったほうが便利だからって理由で埋め立てを行う。
 自身の思う所は、そろそろ制裁が下るのでは? というコトです。
雨が長く降り続けたってだけで誰が死んでしまうって予想できましたか? 熱中症に関してもそうです。自身が思うところは、遂に太陽が人を殺しにきたってコトです。

 さて、ここまで長々と話してきましたが、改めて聞きます。
このまま目先の利便性だけを追い求め、技術の発展を続けて良いモノなのでしょうか? 自身が考えてしまうのは、思ってしまうのはもっと『利便性に対する免疫』を鍛えなくてはいけないという事です。。
 ここからの話は私個人の単なる傾いた見解に過ぎませんが、『技術発展の顛末(フィナーレ)』を述べましょう。
お時間の許す限りお付き合いくださいませ
未理解の社会不適合案内人
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

悪役令嬢は手加減無しに復讐する

田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。 理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。 婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

とある令嬢の断罪劇

古堂 素央
ファンタジー
本当に裁かれるべきだったのは誰? 時を超え、役どころを変え、それぞれの因果は巡りゆく。 とある令嬢の断罪にまつわる、嘘と真実の物語。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...