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憂鬱な転生【カノンの場合】
4.苦手なひと
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――次は、えーと玲央先輩ね……。
昼食時に込み合うなか、カノンは萌木玲央に渡す犬のキーホルダーを買って足早に購買を出た。この世界でヒロインならヒロインらしく振舞ってやろうと腹をくくったものの、如何せんそれもなかなかどうしてハードだった。
普段の授業は、学生の頃の勉強を思い出して、なんとかこなせた。やっぱり問題はヴァイオリンだ。
学園の授業についていくために、日夜練習を重ねなければならない。
学園の授業はひどく緊張した。
それでも演奏を始めれば、ブローチの力が作用するのか周囲の者が感嘆の声を漏らすような演奏がなされる。それでも、それにだけ頼っているのは不安だった。
これから季節ごとに様々なイベントがある。それは当然大勢の人前でヴァイオリンを演奏しなければならないということだ。
これまで人前に立つ経験など皆無に等しかったのに、ましてや自分自身の力でもなしに大勢の前で演奏を披露するだなんて。
想像するだけで、卒倒してしまいそうだった。
――それだけでも大変なのに、毎日攻略対象のところに顔を出さなきゃいけないなんて……。
そんなこと止めてしまおうか、とも思う。
でも攻略対象との親密度が低くて、季節のイベントに失敗した場合にも、このゲームはゲームオーバーになってしまう。
そう、なんらかの理由をつけて退学になってしまうのだ。
今のカノンがそうなるのかは分からない。でもこんなに困難だとはいえ、せっかく手に入れた別の人生なのだ、みすみす失ってしまうのは惜しい。
そして何よりも、小さいころから、失敗する、ということが怖い。
失敗したら、見捨てられてしまう。一人になるのは怖い、これ以上の孤独には耐えられない。
『こんなことも出来ないの?』
耳の奥に母親の声がこだまする。遠く離れ、カノンになった今も、その声はことあるごとに自分自身を責めたてた。
――あぁ、本当に。私はこんなこともできない。せめてヒロインなんかじゃなければ、攻略対象になんて関わらず、学園生活を楽しめたのかもしれないのにな。
そう思ってすぐに、……本当に自分が、人生を楽しむところなんて想像もつかないけれど、と思った。
カノンは手に持った犬のキーホルダーを、ぎゅっと握りしめた。
◇◇◇◇◇
玲央は昼食時には大体いつも中庭にいることは、ゲームの知識で知っていた。その日は風が強かったが、気持ちのいい日和だった。
廊下を小走りに向かう。中庭へ続くドアを開けると、すぐにベンチで楽しそうに話す玲央の声が聞こえてきた。
「玲央せんぱいっ、こんにちは」
「あっ! カノンちゃん! お疲れさま! 昼ごはん食べたー?」
「これからです。気持ちいいお天気だったんで、中庭で食べようかなーって思って、…ッ」
玲央の隣にいる、長い黒髪のシルエットに、思わず身体が強張るのを感じた。
攻略対象との接触は仕方ないと思っているけれど、できれば一番避けたいと思っている人物がそこにいたからだ。
「おや、君が舞宮さんかい?」
「あ……、城野院先輩、ですよね……?こ、こんにちは……」
心の準備が出来ていなかったので、動揺が表れてしまった。風に舞う髪を抑える仕草でなんとかごまかす。城野院が紫色の瞳でおや?とこちらを興味深そうに見つめてくるのを感じた。
――いやいや、興味なんて持たないでクダサイ。
「あれー? 城野院ってカノンちゃん初めてだっけー? 彼女は2年に編入してきた舞宮カノンちゃんだよっ。すっごくいいヴァイオリン弾くんだ!」
何故か自分のことのように誇らしげにいう玲央の姿に、強張った心がちょっとだけ軽くなる。
「はじめまして。2年生に編入してきました、舞宮カノンです」
「はじめまして、3年の城野院光之助だよ。僕はチェロを弾くんだ。僕とも仲良くしてくださいね?」
そう言って差し出された手に、戸惑いを感じながらも仕方なく握手を交わす。
私はヒロイン、ヒロイン…と必死に心の中で唱えてみても、きっと笑顔は強張っていた気がする。
――まいった……。城野院先輩は苦手なんだよね……。
先月プレイを始めて、一通りのキャラクターのエンディングは見終わったところだった。だが、城野院のルートは「うーん」といった感想しかなかった。
エンディングはそれなりに甘いものだったけれど、彼の普段の皮肉を多分に含んだ物言いは、どちらかというと嫌悪に近い戸惑いを感じて、恋愛といった感じには楽しめなかったのだ。
パラメーター上げが大変で、中途ゲームオーバーも何度も経験していたし、城野院のスチル回収にちゃんとプレイしなきゃな、と思ったまま、手をつけていなかった。
どうせ恋愛をするなら、優しいひとがいい。それは理想だったが、ゲームの中でも同じだった。例えそういうゲームの仕様であったとしても、自分を苛んだり責めたりしない、優しいひとと恋愛がしたい。
――でもたしか城野院先輩は、玲央先輩とルイ先輩と友達なんだよね……。これからも顔を合わせるかなぁ……。
昼食を一緒にとることになり、仕方なく持ってきていたサンドウィッチを広げながら、玲央と城野院がする会話に曖昧に相槌をうつ。
このゲームでは季節のイベントごとに課題となる曲が変わるから、その曲を演奏できる人を集めてアンサンブルを組まなければならない。
――城野院先輩がアンサンブルに必要になることあったかな……? 次はまず夏のチャリティーコンサートのはずだから、確か時雨くんがいれば良さそうな……。まずは時雨くんとの親密度あげていこうかな。
他にも攻略対象はいるし、城野院先輩とは親密度そんなに高くなくてもこなせた気がする。まぁ曖昧に好意を示しておけば、ゲームエンドにまではならないか。
当たり障りなく、ヒロインを演じていこう。
「――カノンちゃん?」
「は、はいっ! なんですかっ?」
――しまった、全然話を聞いてなかった……!
二人の視線を受けて、焦りに冷や汗が滲む。
「あはは、そんなに焦らなくても大丈夫だよー。今度さ一緒に練習しない? 一人の練習は当然必要だけど、たまに合わせたり、他の人とじっくりやるのも勉強になるよー!」
「あ、はい。ありがとうございます」
記憶を辿ると、週末にそういえばそんなイベントもあった気がする。無邪気に笑う玲央に、にっこりと微笑みを返した。
「いいねぇ、僕とも一緒に練習しないかい? 是非ゆっくりと君のヴァイオリン聞いてみたいな」
「はい……?」
うっかり怪訝な表情を返してしまったカノンに、城野院は瞳を瞬いた。
――あ、やばっ!うっかり素が出ちゃった……!
しまった、と口元を抑え、城野院の方をうかがうと、一瞬呆気にとられた表情のあとすぐに、にぃっと口元をあげ微笑まれた。
微笑んだというよりも、目は笑ってない。その笑顔は、相貌の美しさもあいまって、睨まれるよりも恐ろしい。
その微笑みに、カノンは思わずビクッと肩を震わせてしまった。
「すみません、あの、間違えました。あの――今度、是非お願いします……」
「――君って面白いねぇ? 僕のことが怖いの……?」
「……ッッ!!」
つ……、と頬を撫でられる。突然触れられた冷たい指の感触に一気に頬に熱が走るのを感じる。
――なんなのこの人ッ!ヒロインなんかじゃなかったら、絶対近づかないのに!!
ぐいっとその手を押し返して、城野院を睨む。突然のことに、その目にはうっすら滲むものが光る。
「怖いとか、ないです、から……っ!」
「ちょっ! 城野院、カノンちゃんに何してんのー!? セクハラすんなよっ! カノンちゃんごめんね? ほら謝れって!」
「ふぅん……。ごめんね?」
「城野院……、全然謝ってる感じしないけど、それ……」
「いえ……、いえ。大丈夫です、なんか私の方こそすみません……」
その時予鈴が響いた。そのことに深く安堵すると、そそくさとその場を後にした。やっぱり城野院とは関わりあいにならないでおこうと、深く心に刻んだ。
昼食時に込み合うなか、カノンは萌木玲央に渡す犬のキーホルダーを買って足早に購買を出た。この世界でヒロインならヒロインらしく振舞ってやろうと腹をくくったものの、如何せんそれもなかなかどうしてハードだった。
普段の授業は、学生の頃の勉強を思い出して、なんとかこなせた。やっぱり問題はヴァイオリンだ。
学園の授業についていくために、日夜練習を重ねなければならない。
学園の授業はひどく緊張した。
それでも演奏を始めれば、ブローチの力が作用するのか周囲の者が感嘆の声を漏らすような演奏がなされる。それでも、それにだけ頼っているのは不安だった。
これから季節ごとに様々なイベントがある。それは当然大勢の人前でヴァイオリンを演奏しなければならないということだ。
これまで人前に立つ経験など皆無に等しかったのに、ましてや自分自身の力でもなしに大勢の前で演奏を披露するだなんて。
想像するだけで、卒倒してしまいそうだった。
――それだけでも大変なのに、毎日攻略対象のところに顔を出さなきゃいけないなんて……。
そんなこと止めてしまおうか、とも思う。
でも攻略対象との親密度が低くて、季節のイベントに失敗した場合にも、このゲームはゲームオーバーになってしまう。
そう、なんらかの理由をつけて退学になってしまうのだ。
今のカノンがそうなるのかは分からない。でもこんなに困難だとはいえ、せっかく手に入れた別の人生なのだ、みすみす失ってしまうのは惜しい。
そして何よりも、小さいころから、失敗する、ということが怖い。
失敗したら、見捨てられてしまう。一人になるのは怖い、これ以上の孤独には耐えられない。
『こんなことも出来ないの?』
耳の奥に母親の声がこだまする。遠く離れ、カノンになった今も、その声はことあるごとに自分自身を責めたてた。
――あぁ、本当に。私はこんなこともできない。せめてヒロインなんかじゃなければ、攻略対象になんて関わらず、学園生活を楽しめたのかもしれないのにな。
そう思ってすぐに、……本当に自分が、人生を楽しむところなんて想像もつかないけれど、と思った。
カノンは手に持った犬のキーホルダーを、ぎゅっと握りしめた。
◇◇◇◇◇
玲央は昼食時には大体いつも中庭にいることは、ゲームの知識で知っていた。その日は風が強かったが、気持ちのいい日和だった。
廊下を小走りに向かう。中庭へ続くドアを開けると、すぐにベンチで楽しそうに話す玲央の声が聞こえてきた。
「玲央せんぱいっ、こんにちは」
「あっ! カノンちゃん! お疲れさま! 昼ごはん食べたー?」
「これからです。気持ちいいお天気だったんで、中庭で食べようかなーって思って、…ッ」
玲央の隣にいる、長い黒髪のシルエットに、思わず身体が強張るのを感じた。
攻略対象との接触は仕方ないと思っているけれど、できれば一番避けたいと思っている人物がそこにいたからだ。
「おや、君が舞宮さんかい?」
「あ……、城野院先輩、ですよね……?こ、こんにちは……」
心の準備が出来ていなかったので、動揺が表れてしまった。風に舞う髪を抑える仕草でなんとかごまかす。城野院が紫色の瞳でおや?とこちらを興味深そうに見つめてくるのを感じた。
――いやいや、興味なんて持たないでクダサイ。
「あれー? 城野院ってカノンちゃん初めてだっけー? 彼女は2年に編入してきた舞宮カノンちゃんだよっ。すっごくいいヴァイオリン弾くんだ!」
何故か自分のことのように誇らしげにいう玲央の姿に、強張った心がちょっとだけ軽くなる。
「はじめまして。2年生に編入してきました、舞宮カノンです」
「はじめまして、3年の城野院光之助だよ。僕はチェロを弾くんだ。僕とも仲良くしてくださいね?」
そう言って差し出された手に、戸惑いを感じながらも仕方なく握手を交わす。
私はヒロイン、ヒロイン…と必死に心の中で唱えてみても、きっと笑顔は強張っていた気がする。
――まいった……。城野院先輩は苦手なんだよね……。
先月プレイを始めて、一通りのキャラクターのエンディングは見終わったところだった。だが、城野院のルートは「うーん」といった感想しかなかった。
エンディングはそれなりに甘いものだったけれど、彼の普段の皮肉を多分に含んだ物言いは、どちらかというと嫌悪に近い戸惑いを感じて、恋愛といった感じには楽しめなかったのだ。
パラメーター上げが大変で、中途ゲームオーバーも何度も経験していたし、城野院のスチル回収にちゃんとプレイしなきゃな、と思ったまま、手をつけていなかった。
どうせ恋愛をするなら、優しいひとがいい。それは理想だったが、ゲームの中でも同じだった。例えそういうゲームの仕様であったとしても、自分を苛んだり責めたりしない、優しいひとと恋愛がしたい。
――でもたしか城野院先輩は、玲央先輩とルイ先輩と友達なんだよね……。これからも顔を合わせるかなぁ……。
昼食を一緒にとることになり、仕方なく持ってきていたサンドウィッチを広げながら、玲央と城野院がする会話に曖昧に相槌をうつ。
このゲームでは季節のイベントごとに課題となる曲が変わるから、その曲を演奏できる人を集めてアンサンブルを組まなければならない。
――城野院先輩がアンサンブルに必要になることあったかな……? 次はまず夏のチャリティーコンサートのはずだから、確か時雨くんがいれば良さそうな……。まずは時雨くんとの親密度あげていこうかな。
他にも攻略対象はいるし、城野院先輩とは親密度そんなに高くなくてもこなせた気がする。まぁ曖昧に好意を示しておけば、ゲームエンドにまではならないか。
当たり障りなく、ヒロインを演じていこう。
「――カノンちゃん?」
「は、はいっ! なんですかっ?」
――しまった、全然話を聞いてなかった……!
二人の視線を受けて、焦りに冷や汗が滲む。
「あはは、そんなに焦らなくても大丈夫だよー。今度さ一緒に練習しない? 一人の練習は当然必要だけど、たまに合わせたり、他の人とじっくりやるのも勉強になるよー!」
「あ、はい。ありがとうございます」
記憶を辿ると、週末にそういえばそんなイベントもあった気がする。無邪気に笑う玲央に、にっこりと微笑みを返した。
「いいねぇ、僕とも一緒に練習しないかい? 是非ゆっくりと君のヴァイオリン聞いてみたいな」
「はい……?」
うっかり怪訝な表情を返してしまったカノンに、城野院は瞳を瞬いた。
――あ、やばっ!うっかり素が出ちゃった……!
しまった、と口元を抑え、城野院の方をうかがうと、一瞬呆気にとられた表情のあとすぐに、にぃっと口元をあげ微笑まれた。
微笑んだというよりも、目は笑ってない。その笑顔は、相貌の美しさもあいまって、睨まれるよりも恐ろしい。
その微笑みに、カノンは思わずビクッと肩を震わせてしまった。
「すみません、あの、間違えました。あの――今度、是非お願いします……」
「――君って面白いねぇ? 僕のことが怖いの……?」
「……ッッ!!」
つ……、と頬を撫でられる。突然触れられた冷たい指の感触に一気に頬に熱が走るのを感じる。
――なんなのこの人ッ!ヒロインなんかじゃなかったら、絶対近づかないのに!!
ぐいっとその手を押し返して、城野院を睨む。突然のことに、その目にはうっすら滲むものが光る。
「怖いとか、ないです、から……っ!」
「ちょっ! 城野院、カノンちゃんに何してんのー!? セクハラすんなよっ! カノンちゃんごめんね? ほら謝れって!」
「ふぅん……。ごめんね?」
「城野院……、全然謝ってる感じしないけど、それ……」
「いえ……、いえ。大丈夫です、なんか私の方こそすみません……」
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