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5. ただ回っている
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ルルが川で瞑想しているとある人がやって来ました。その人はこの国の国王で数々の伝説を作って来た明王だった。
王はルルに言います。
「私はこれまで多くの決断を下し、その度に大切な物を切り捨てて来ました。それは皆の幸せのためにしたことです。しかしどうしてか、辛く苦しいのです」
王は俯き、川の流れを見る。ルルは静かに微笑んだ。しばしの静かな風が流れた後にルルは言います。
「王様、あなたは皆のために良く勤めています。この国の流れる水も吹く風も皆清らかです。王様の心が清らかであるからこそ水も食事もうまいのです」
ルルの言葉を聞いて王は安心した顔になる。続いてルルは言います。
「王様、この空の向こうに何がいると思いますか」
「それは、限りない宇宙であろう」
「ええ、ではその宇宙の向こうに何がいるのでしょうか」
「それは、また私達と同じく生命の営みがあるでしょうな」
「そうですね、私達は宇宙の小さな一部で懸命に生きています。宇宙もまた生命達を生かし続けています」
ルルの言葉を聞いて王は考える。宇宙とはまるで広い国のようだと。ルルはさらに続けます。
「宇宙は広く、全ての生命を慈しみます。苦しみ、不安、恐怖をも包んで回っているのです。生きとし生ける全ての生命は回り回るこの現象から逃れません」
王はルルの言葉を聞いてから、また考える。なら私達は先が見えない暗闇の中にいるではないかと。ルルは続けます。
「王様、善も悪も回っているのです」
ルルの言葉を聞いて、王は分かった。善も悪も一緒に回るこの世界で私達も同じく回っている。止まってはいられないと言う点で全てが一緒のようだ。
「ルル、私も君も回っていることを分かった。しかしそれはどう言うことなんだろうか」
「回っているということは王様の心もまた同じく回っています。心は回り回り、そこに終始はありません。宇宙も空も私も終わりはありません」
「?」
「終わりはないってことは永遠でありません。ただ回ってると言うだけのことなのです」
今度こそ王は分かった。人の営みも歴史も大したことではないことを。ただ回っている。私達はただ回ってることが分からないから苦しでいるんだ。
王の心はもう悩みを抱えることはありません。全ての事柄を良く理解したからです。
シャガは川の流れる音を聞くルルと穏やかな表情をする王を見ていた。
王はルルに言います。
「私はこれまで多くの決断を下し、その度に大切な物を切り捨てて来ました。それは皆の幸せのためにしたことです。しかしどうしてか、辛く苦しいのです」
王は俯き、川の流れを見る。ルルは静かに微笑んだ。しばしの静かな風が流れた後にルルは言います。
「王様、あなたは皆のために良く勤めています。この国の流れる水も吹く風も皆清らかです。王様の心が清らかであるからこそ水も食事もうまいのです」
ルルの言葉を聞いて王は安心した顔になる。続いてルルは言います。
「王様、この空の向こうに何がいると思いますか」
「それは、限りない宇宙であろう」
「ええ、ではその宇宙の向こうに何がいるのでしょうか」
「それは、また私達と同じく生命の営みがあるでしょうな」
「そうですね、私達は宇宙の小さな一部で懸命に生きています。宇宙もまた生命達を生かし続けています」
ルルの言葉を聞いて王は考える。宇宙とはまるで広い国のようだと。ルルはさらに続けます。
「宇宙は広く、全ての生命を慈しみます。苦しみ、不安、恐怖をも包んで回っているのです。生きとし生ける全ての生命は回り回るこの現象から逃れません」
王はルルの言葉を聞いてから、また考える。なら私達は先が見えない暗闇の中にいるではないかと。ルルは続けます。
「王様、善も悪も回っているのです」
ルルの言葉を聞いて、王は分かった。善も悪も一緒に回るこの世界で私達も同じく回っている。止まってはいられないと言う点で全てが一緒のようだ。
「ルル、私も君も回っていることを分かった。しかしそれはどう言うことなんだろうか」
「回っているということは王様の心もまた同じく回っています。心は回り回り、そこに終始はありません。宇宙も空も私も終わりはありません」
「?」
「終わりはないってことは永遠でありません。ただ回ってると言うだけのことなのです」
今度こそ王は分かった。人の営みも歴史も大したことではないことを。ただ回っている。私達はただ回ってることが分からないから苦しでいるんだ。
王の心はもう悩みを抱えることはありません。全ての事柄を良く理解したからです。
シャガは川の流れる音を聞くルルと穏やかな表情をする王を見ていた。
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