今すぐ告白だ!

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今すぐ告白だ!

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 運命というも物は突然に来る物ではない。少なくとも私はそう思う。例えば
私の隣に不機嫌そうに歩いてるこの馴染みとはほぼ生まれた時から一緒だったりする。
私は清崎明音で彼は赤崎明里だ。名前が微妙に同じなのだ。双子かとハッと思いきゃ苗字も微妙な所だ。
そしてなんと生まれた年月も微妙に近い。
私は四月九日に生まれたがその三日後に彼が生まれた。また微妙でしょ。せめて同じ日にしてよ。
そして隣人同士で親子兄弟友人同士だ。
そして小学校の時に明里から「あかね、しょうらいの、よめなって」とか言われたらもうその運命の星に生まれたんじゃないかって思うでしょ。完全に私の中で未来夫に認定されてます。

さて今日この頃、不機嫌に眉間に皺寄った私の未来夫は学校に行くの憂鬱だそうだ。
彼は高校に入ってからモテまくりだ。なんとラブレターもいっぱいもらい年中告られるという始末だ。
過去から今現在彼に彼女がいたことが一度もない。

「あぁ~、行きたくねぇ」
「いい加減諦めて、ほら明里のせいよ。遅刻だ」
明里を引き連れて走った。ギリギリセーフだった。
そして昼休み早めに弁当を堪能して昼寝タイムを一人で満喫していた。いつもなら明里もちょこっと添い寝もするのだが今日どっか行ってた。

そして戻った来た明里を呼んだ時、違和感に気づいた。
「あ、明里。どうしたの?」
「べ、別に」
顔を赤らめてちょっとキラキラしてた。
嘘、と思った。
後に世間の流れた噂話から知ったのだが明里は告られてそれにオッケーしたらしい。相手は学校一キレイ系マドンナだった。
そして現在私泣いています。家から出来るだけ遠い遠い場所と思い電車の一番最後のバス停に下りて田舎みたいなところで泣いてます。
失恋です。何運命だ。何が未来夫だ。そんな妄想にも程があると嗤うしかない。
見っともなく泣いて溢れた涙が頬を伝って鼻水が口に入って微妙だな。
明里が好きだ。大好き。優しいけど厳しいし守って大切にしてくれる。今思えば三日遅れて生まれたくせに私を妹扱いしていたんだな。

明里のやろう。好き。
色々考えあぐねていて思い出し泣きを繰り返していた私はようやく落ち着いて泣き終わった。

「大丈夫ですか?」
頭の上に声が降ってくる。すごく綺麗な声。頭を上げて見れば美人さんがいた。
妖精のように綺麗な女性だな。
「ぇ、ぁ。は、い。」
軽くパニックになり人に泣き顔見られて恥ず。
「可愛い女の子がこんな所で泣いちゃ行けないよ。まぁ取り敢えず喉乾いたでしょ。はい、お水」
人の良さそうな親しげな感じで水ボトルをくれた。
  私は失恋話を彼女に何から何まで話した。彼女は静かに聞いた。
「大変だね、悲しかったね。明音ちゃん、でももう暗くなっちゃったし家に帰らないと」
「そ、その通りだけど。もう、電車は来ないし、帰れない。もう、私、どうしたら~」
「ほ-ら、泣いちゃダメ。私が車で送ってあげるよ」
 綺麗で可愛いお姉さんの名前は玲奈と言った。彼女は車を走れせてから自分の話を話始めた。

「私にもこういう青春っていう恋はあったな。何も分からなくてひたすら苦しかった。結局逃げちゃってでも忘れなくて今も苦しい」
「え、今も。どうして?何があったんですか」
 私のいい所は興味を持てば何だって忘れることだ。自分の苦しみもしかり。
「高校の時、私は地味で弱くてそんな自分が嫌で嫌で仕方がなかった。そんな時私より地味というか無頓着な男の子に出会ったんだ」
「へー、それは変わった恋の話ですね」
「そうね。彼はでも誰より強く見えた。憧れで初恋だった。彼は、寂しい人に見えたんだよく見るようになってから。勇気出して話かけて、一緒にいてでもやはり届かなくて。私は諦めちゃったんだ」
「う~ん。なんだかよく分からないな」
「ごめん。私、話下手で」
「そうですね」
私は素直に言うと見て分かるように落ち込む玲奈さん。
「男の子に告白したんですか」
「いや、しなかった」
「なぜ、好きなら」
 好きなら言うべきですと言いたかったが忘れた胸の痛みが降ってくる。
「色々あったが私は単に臆病物だったというだけの話だ。今なら大好きって言えるけど昔ちょっと」

私はう~んとうねる。こんな綺麗なお姉さんは昔は地味だったという。昔自称地味だったのでわ。むしろ窓際の清楚な綺麗系女子だろ絶対に。そしてそんな彼女が惚れた地味男子は遠慮したんじゃないのかな。告白さえしてればオッケーもらえたんじゃね。う~、玲奈さん。

「その男の子は今は?」
「分からないんだ」
「れ、玲奈さん」
「え?」
「いい加減にしてくださいよ。何故行く先を聞いたり、尋ねたりしなかったんですか。電話番号も知らないんですか。何やってるんですか今もウジウジ鑑賞に浸って」
 あまりにも積極性がないことに悔しくなって来た。
「ご、ごめん。」
「よし、今すぐ探しますよ」
「え、今ですか」
「そ、今。玲奈さんに今しか無い。今だよ今。同級性に全員知ってる番号聞きまくれ、どう思われるか何って全然気にするな。さぁ、早く」
「うん、私頑張る」

彼女は車を止めて、高校の友人に電話した。なんと一発で思い人の電話ゲット。

 さぁ思いをぶつけるのよウジウジの玲奈姉さん。熱い応援を心に留めて彼女を見守る。

「あ、あの。池谷さんですか」
『は、ぃ。この声は』
 電話越しにめっちゃいい大人な男の声が聞こえてくる。がんばれ玲奈さん。
「沢城玲奈ですぅ、お、覚えてい、ますか」
『あ、はぃ』
「私、その。ずっと、ずっと好きなんです。池谷春さんのことが」
目をくるくるさせて意を消してように強く告げる彼女目から涙がぽろり落ちた。
「池谷さん。高校の時言えなかった。私ってノロまなんです。ウジウジで引きずってるんです。ごめんなさい」
『沢城さん、俺は。よく分からないんです。でも沢城さんの勇気が伝わって来ます。だからそのもしよかったら今度話していいですか』
 おい、玲奈さんを好きなヘタレじゃなくて鈍感やろうなのか。
「うん、池谷さんともっと話したい」
 横から見た玲奈さんは幸せだった。
あぁ恋って凄い、愛ってすごいなぁ。

 玲奈さんはその夜私を無事届け、凄く感謝した。私ってすごい。
 
 私はベッドの上で今日のこと思い浮かぶ。すごいこと見たな。恋は激しく積極的ではなくちゃ。
 あっ、明里忘れてた。あいつなんで急に付き合い出したんだ?やっぱりマドンナが好きなのか。まぁ、でもいいか。
 何故か疲れたせいか今日の出来事のせいかすんなり受け入れて寝た。

 よく朝に明里の顔があった。
「お前、あんな夜遅くどこ行ってたの」
「うーん、えっと。恋の相談?キュピット?」
「は?」
「てか、朝からつら見せるな気持ち悪い」
「おい」
 朝から嫌なこと思い出せやがって。
「マドンナのと付き合い出したのか」
「そ、それがどうしたんだ」
「一応言っとくが私はお前がだーい好きだ」
「は?え?」
「私を好きだと思ってたのに。もうお前なんか知らない」
 ふんと言っての私は顔を背け準備をする。昨日のことで告白がサラッと出た。
 まぁというわけで暫く微妙に気まずかったが吹っ切れば吹きれてしまう。明里は大切な友人になってマドンナの美琴は可愛らしい友達になった。
  あぁなんかもう。
そして私に恋はまだだ。

「え?玲奈ねえ、それ誰?」

 私の目は今日は眩しく空を捉えた。


       Fin 
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