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第五章 姉編
(3)な、ななな……なに言ってんのアンタ⁉︎ く、口でって……ちょ、マジありえないからっ!
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背を向けたまま黙っていた姉が、不意に口を開いた。
「……あ、あのさ」
その声はやけに小さく震えている。
「なんだよ」
「……ウ、ウチ……ずっと、待ってんだけど」
「えっ⁉︎」
「次は、後ろからぎゅっと抱き寄せるのでしょうが! ふつう」
「なんだよ、それ」
「……漫画で読んだし」
(またそれか……)
僕はため息をついて呆れた口調で言った。
「姉ちゃんさぁ……このペースじゃ、手をつなぐとか胸触らせるとこで、止まったままだぞ」
「……うっ」
声を詰まらせた彼女に、すかさず畳みかける。
「彼氏と先に行きたいんだろ?」
「……うぅ……アンタはどうすればいいか知ってんの?」
「まあ……姉ちゃんよりは知ってると思うけど」
「っ……! な、なによ……ウチだって『スウィート・ラブステップ』__通称”スウィラブ”、全巻読破してんだからね!!」
がばっと起き上がり、振り返った顔は真っ赤。
胸を張ってドヤ顔を決めたつもりらしいが、空回り感しか漂っていなかった。
僕は思わず長い息を吐く。
彼女は気まずそうに視線を落とし、しばらく口を閉ざしていたが、やがて小さな声をぽつりともらした。
「……教えてよ、その続き」
さっきまでの強がりが嘘みたいに、声はか細かった。
僕は静かに頷くと、ベッドから腰を上げ、ゆっくりと床に降りる。
「まずはさ……相手のからだを、ちゃんと知ることが必要だ」
「え。ちょ……な、なに始めるよ……⁉︎」
姉は思わず半歩下がり、首筋まで赤く染めながら僕を見上げた。
「……僕のズボン……脱がせてみて」
「は、はぁ⁉︎ ……アンタ、マジで言ってんの⁉︎」
「もちろんだよ。これくらいできなきゃ、その先なんて一生無理だな」
「うぅ……」
迷った末、姉は観念したように膝をついた。
震える指先が、ためらいがちに僕の腰元へ伸びていく。
「うぅ……こ、こういうの……”スウィラブ”には載ってないんだけど……!」
「だから、漫画は忘れろって」
手をぷるぷる震わせながら、ゆっくりとズボンを引き下ろしていく。
ぎこちない仕草に、見ている僕の胸までざわついていた。
「ちょ、ちょっと……思ったより……リアルなんだけど……」
ぶつぶつ言いながらも、姉は数センチずつズボンを下ろしていく。
「っ……! む、無理っ!!」
突然姉は、両手を放して慌てて後ろに飛び退いた。
真っ赤になった顔をぶんぶん横に振り、両手を宙に泳がせる姿は、ギャルらしい余裕はどこにもない。
僕は頭を抱え、再び深いため息をついた。
「……やっぱりな。中身はただの純情乙女じゃん」
「う、うっさい!」
「そんなんじゃ……一生、彼氏とはできっこないな。愛想尽かされるのも時間の問題だ」
姉は唇を噛み、しばし沈黙すると、拳を握りしめながら答えた。
「さ……先に……進みたい」
その声に宿る思いは、本物だった。
次の瞬間_________。
彼女は迷いを振り切るように僕の腰へ手をかけると、一気にズボンを引き下ろした。
ズルッ!
だが勢い余って、下着まで一緒にずり落ちてしまう。
「……きゃっ、きゃあぁっ⁉︎」
数秒遅れて事態に気付いた彼女は、両手で顔を覆いながらうろたえた。
「な、なにしてんのウチ……っ! ち、ちが……今のは事故だから!」
指の隙間からちらりと覗いては、またうつむき、ベッドの端へずりずり逃げていく。
「……やっぱ無理! 漫画にこんなの出てこないし! アンタもなんで涼しい顔してんのよ!」
逃げ腰の姉の腕を、僕はぐっと掴んだ。
「ひゃあっ⁉︎」
「ここまできて逃げんのかよ」
目を見開いた姉は、真っ赤なまま固まっていた。
「さっきの覚悟はどうした。僕だってこうして覚悟決めてんだ。……そうだろ?」
「……っ」
僕の曝け出された下半身を見て、姉は観念したように、かすかな声を漏らす。
「……わかってるよ……わかってるけど……恥ずかしいんだってば……」
その声は、派手なギャルには似つかわしくないほど素直で、初々しかった。
僕はそっと彼女の手を導いた。
「まずは……ほら、やさしく触れてみて」
「……や、やさしく……?」
震える指先がおそるおそる近づき、ほんの少し触れた瞬間__。
「ひゃあっ⁉︎」
飛び上がるように肩をすくめた姉は、慌てて両手を引っ込める。
「い、今……動いた! ちょ、ちょっと待って……これほんとに大丈夫なん⁉︎」
慌てふためく顔がおかしくて、思わず苦笑が漏れる。
「姉ちゃん……ほんとに初心者なんだな……」
「しょ、初心者とか言うなぁ! ……でも……なんか……すご……」
姉はしばらく深呼吸すると、再び意を決したように戻ってきた。
そっと触れては離し、また触れては離す……。
そんな動作を繰り返すうちに、次第に手の震えが収まり、ぎこちなさも薄れていった。
「……な、なんか……慣れてきたかも……」
顔を赤い顔にしながらも、ちらりと僕を見上げてくる。
「……うん、上手いじゃん。ちゃんとできてるよ」
「へへっ」
褒められてさらに真っ赤になる姉に、僕は次の指示を出した。
「じゃあ今度は、口でやってみようか?」
「っ……⁉︎」
その一言に、姉はばね仕掛けみたいに飛び退く。
「な、ななな……なに言ってんのアンタ⁉︎ く、口でって……ちょ、マジありえないからっ!」
両手を振り回し、瞳は泳ぎっぱなしで、完全に動揺している。
「しょ、少女漫画にはそんなシーン出てこないからっ! そんなの大人向けじゃん!」
「姉ちゃん、成人式いつだよ。俺だって去年終わってる」
思わず素でツッコんでしまった。
「普通の男女なら、誰でもやってることだよ」
「……えっ」
姉は目を丸くして固まった。
「そ、そうなの……? マジで……? ウチ、全然知らなかったんだけど……」
耳まで赤くし、口をぱくぱくさせている。
____正直、次は「やっぱ無理!」と逃げ腰になるに決まってる、そう思ってた。
けれど。
姉はぎゅっと目を閉じ、意を決したように身をかがめる。
そして、僕の予想をあっさり裏切った。
____ぱく。
「……っ⁉︎」
一瞬で全身に電流が流れるような感覚が走る。
思わず息を呑む僕をよそに、ギャル姉は瞼をきつく閉じたまま必死に咥え込んでいた。
派手なメイクも、その瞬間ばかりは隠しきれない。
そこにいたのは、勇気を振り絞った不器用でまっすぐなひとりの乙女だった。
「……あ、あのさ」
その声はやけに小さく震えている。
「なんだよ」
「……ウ、ウチ……ずっと、待ってんだけど」
「えっ⁉︎」
「次は、後ろからぎゅっと抱き寄せるのでしょうが! ふつう」
「なんだよ、それ」
「……漫画で読んだし」
(またそれか……)
僕はため息をついて呆れた口調で言った。
「姉ちゃんさぁ……このペースじゃ、手をつなぐとか胸触らせるとこで、止まったままだぞ」
「……うっ」
声を詰まらせた彼女に、すかさず畳みかける。
「彼氏と先に行きたいんだろ?」
「……うぅ……アンタはどうすればいいか知ってんの?」
「まあ……姉ちゃんよりは知ってると思うけど」
「っ……! な、なによ……ウチだって『スウィート・ラブステップ』__通称”スウィラブ”、全巻読破してんだからね!!」
がばっと起き上がり、振り返った顔は真っ赤。
胸を張ってドヤ顔を決めたつもりらしいが、空回り感しか漂っていなかった。
僕は思わず長い息を吐く。
彼女は気まずそうに視線を落とし、しばらく口を閉ざしていたが、やがて小さな声をぽつりともらした。
「……教えてよ、その続き」
さっきまでの強がりが嘘みたいに、声はか細かった。
僕は静かに頷くと、ベッドから腰を上げ、ゆっくりと床に降りる。
「まずはさ……相手のからだを、ちゃんと知ることが必要だ」
「え。ちょ……な、なに始めるよ……⁉︎」
姉は思わず半歩下がり、首筋まで赤く染めながら僕を見上げた。
「……僕のズボン……脱がせてみて」
「は、はぁ⁉︎ ……アンタ、マジで言ってんの⁉︎」
「もちろんだよ。これくらいできなきゃ、その先なんて一生無理だな」
「うぅ……」
迷った末、姉は観念したように膝をついた。
震える指先が、ためらいがちに僕の腰元へ伸びていく。
「うぅ……こ、こういうの……”スウィラブ”には載ってないんだけど……!」
「だから、漫画は忘れろって」
手をぷるぷる震わせながら、ゆっくりとズボンを引き下ろしていく。
ぎこちない仕草に、見ている僕の胸までざわついていた。
「ちょ、ちょっと……思ったより……リアルなんだけど……」
ぶつぶつ言いながらも、姉は数センチずつズボンを下ろしていく。
「っ……! む、無理っ!!」
突然姉は、両手を放して慌てて後ろに飛び退いた。
真っ赤になった顔をぶんぶん横に振り、両手を宙に泳がせる姿は、ギャルらしい余裕はどこにもない。
僕は頭を抱え、再び深いため息をついた。
「……やっぱりな。中身はただの純情乙女じゃん」
「う、うっさい!」
「そんなんじゃ……一生、彼氏とはできっこないな。愛想尽かされるのも時間の問題だ」
姉は唇を噛み、しばし沈黙すると、拳を握りしめながら答えた。
「さ……先に……進みたい」
その声に宿る思いは、本物だった。
次の瞬間_________。
彼女は迷いを振り切るように僕の腰へ手をかけると、一気にズボンを引き下ろした。
ズルッ!
だが勢い余って、下着まで一緒にずり落ちてしまう。
「……きゃっ、きゃあぁっ⁉︎」
数秒遅れて事態に気付いた彼女は、両手で顔を覆いながらうろたえた。
「な、なにしてんのウチ……っ! ち、ちが……今のは事故だから!」
指の隙間からちらりと覗いては、またうつむき、ベッドの端へずりずり逃げていく。
「……やっぱ無理! 漫画にこんなの出てこないし! アンタもなんで涼しい顔してんのよ!」
逃げ腰の姉の腕を、僕はぐっと掴んだ。
「ひゃあっ⁉︎」
「ここまできて逃げんのかよ」
目を見開いた姉は、真っ赤なまま固まっていた。
「さっきの覚悟はどうした。僕だってこうして覚悟決めてんだ。……そうだろ?」
「……っ」
僕の曝け出された下半身を見て、姉は観念したように、かすかな声を漏らす。
「……わかってるよ……わかってるけど……恥ずかしいんだってば……」
その声は、派手なギャルには似つかわしくないほど素直で、初々しかった。
僕はそっと彼女の手を導いた。
「まずは……ほら、やさしく触れてみて」
「……や、やさしく……?」
震える指先がおそるおそる近づき、ほんの少し触れた瞬間__。
「ひゃあっ⁉︎」
飛び上がるように肩をすくめた姉は、慌てて両手を引っ込める。
「い、今……動いた! ちょ、ちょっと待って……これほんとに大丈夫なん⁉︎」
慌てふためく顔がおかしくて、思わず苦笑が漏れる。
「姉ちゃん……ほんとに初心者なんだな……」
「しょ、初心者とか言うなぁ! ……でも……なんか……すご……」
姉はしばらく深呼吸すると、再び意を決したように戻ってきた。
そっと触れては離し、また触れては離す……。
そんな動作を繰り返すうちに、次第に手の震えが収まり、ぎこちなさも薄れていった。
「……な、なんか……慣れてきたかも……」
顔を赤い顔にしながらも、ちらりと僕を見上げてくる。
「……うん、上手いじゃん。ちゃんとできてるよ」
「へへっ」
褒められてさらに真っ赤になる姉に、僕は次の指示を出した。
「じゃあ今度は、口でやってみようか?」
「っ……⁉︎」
その一言に、姉はばね仕掛けみたいに飛び退く。
「な、ななな……なに言ってんのアンタ⁉︎ く、口でって……ちょ、マジありえないからっ!」
両手を振り回し、瞳は泳ぎっぱなしで、完全に動揺している。
「しょ、少女漫画にはそんなシーン出てこないからっ! そんなの大人向けじゃん!」
「姉ちゃん、成人式いつだよ。俺だって去年終わってる」
思わず素でツッコんでしまった。
「普通の男女なら、誰でもやってることだよ」
「……えっ」
姉は目を丸くして固まった。
「そ、そうなの……? マジで……? ウチ、全然知らなかったんだけど……」
耳まで赤くし、口をぱくぱくさせている。
____正直、次は「やっぱ無理!」と逃げ腰になるに決まってる、そう思ってた。
けれど。
姉はぎゅっと目を閉じ、意を決したように身をかがめる。
そして、僕の予想をあっさり裏切った。
____ぱく。
「……っ⁉︎」
一瞬で全身に電流が流れるような感覚が走る。
思わず息を呑む僕をよそに、ギャル姉は瞼をきつく閉じたまま必死に咥え込んでいた。
派手なメイクも、その瞬間ばかりは隠しきれない。
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