補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く

パーティーランクを上げろ

待ち時間

　ニラダの接近戦、そしてケンの気功スキルで魔物達を次から次へと退けていき、魔物の数も減り、またニラダ達の強さに魔物が怯み、接近を躊躇する様子が見られ、その様子にケンはある決断をニラダに伝える。

「ニラダ君、あいつらが怯んでいるし、今の間にこの場から離脱して前にいるみんなと合流しよう」
「はい、分かりました」

　ニラダもケンの撤退する案に賛同するとニラダは魔法の呪文を唱える。

「クイック！」

　ニラダが補助魔法を唱え、速度を上げるとケンも気功スキルで足に気を纏わせて目にも止まらぬ速さで移動をする。

　ニラダとケンが突如目の前から消えたので、魔物は追いかける事ができず、その場で呆然する他なかった。

　ニラダ達が魔物との戦いを切り上げ撤退している頃、食料を守りながら移動しているミヨモ達や、他のパーティーはとりあえず山を下りる事に成功していた。

「とりあえず、山は下りれたな、少し休憩したら移動を開始するぞ」

　そう発言したのはティアの先輩聖職者であるリンダが所属するパーティーのリーダーであるロナウドであり、ロナウドの発言を聞いてミヨモは疑問をぶつける。

「あの、せめてニラダ君とケンさんの到着を待ってから出発というわけにはいきませんか？」
「俺達がやらなくちゃいけないのはこの食糧を村に届ける事だろう、あいつらを待ってまた魔物に襲われたらキリがねえぞ」
「ロナウドの言う通りだよ、戻ってくるかどうか分かんない奴を待つより、さっさと村に食料を届けないとダメだろ」
「あの、こういう事はあまり言いたくないんですけど、ご自分達の仲間が取り残されても同じことを言えますか？」

　ミヨモはまるでニラダ達を見捨てるような発言に聞こえたので思わず尋ねる、そのミヨモの質問にロナウドとリンダが返答をする。

「お嬢ちゃん、冒険者は危険がつきものだし、時には仲間を見捨ててでも目的を達成する覚悟がなくちゃいけねえ」
「そういう事だと、それにあんたらのリーダーや、その武道家もある程度そこら辺は織り込み済みなんじゃないのかい？」
「それは……」

　ミヨモもニラダ達が身を呈してクエスト達成の為の行動をしたのではないかと言われ、言葉に詰まり、また実際にニラダとケンはそのように行動しているのではないかと考えた。

「まあ、俺達は俺達でメシを食わないといけねえし、全・員・が食い終わるまでは待ってやるよ、食うのが遅い奴もいるだろうしな」
「え？あ、はい！」

　ロナウドの言葉を受けてミヨモは食事を摂る事としたとてもゆっくりとしたペースではあるが。