魔法戦士ギン

burazu

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魔法

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 ギルドより手配された馬車にギンとエイムは乗り込み、コッポとプレツの国境まで向かうこととした。コッポとプレツは交易関係であり、比較的出入国はしやすいのである。とはいえ2人にとっては異国の地であり不安もあるため道中でエイムが御者に尋ねる。

「あの、国境付近の森には魔物が多く出るとは聞いたんですけど森を抜けてからこの僧侶様が住んでいらっしゃるスップの町までは安全ですよね?」
「まあ、森さえ抜ければ特に危険はないと思いますよ」
 仕事柄、馬車で人や物を国内外問わず輸送することが多い御者にとっては地域の危険度を知り尽くしているためすんなりと答える。
「御者さんは危険な目にあわれたことがあるんですか?」
「私らはそういったことも含めて仕事ですからね、それにそういった危険地域に行く場合はそこにいらっしゃる剣士さんのような傭兵が護衛につくことが多いので死ぬほどのことはありませんよ。まあかすり傷を負うことぐらいはありますかね、はっはっはっ」

 自分の仕事に誇りを持っているのかそれとも危険な目にあって感覚が狂っているのかエイムの質問を笑い飛ばす余裕があるようだ。

 ようやく国境に着き、国同士が陸路で地続きなためその場で出国手続きと入国手続きを行うのである。といっても国境にいる兵士に通行料を支払うことで済むのである。コッポとプレツは交易が盛んなため互いの国からの出入国の検問は比較的簡単に済ますのである。

 想像よりあっさり入国できたエイムは少し拍子抜けしている様子であった。

「なんでしょう、私達国を越えたのになんかあっさりしすぎて実感がわきません」

 その言葉を聞いて先程まで無口だったギンが口を開いた。

「まあ、今はあちらこちらで戦争があり、国同士が警戒しあっていると思えばそう思うのも無理はないだろう」

 戦争という単語を聞いて、ふとエイムに疑問が生まれた。

「あの、少しお聞きしてもよろしいですか?」
「何だ?」
「ギンさんは傭兵をされているんですよね?戦争にも参加されたことがあるんですか?」
「いや、俺の仕事は魔物の討伐や先日の商人の一団の護衛などが主な仕事だ。大体商人ギルドで戦争のための傭兵の依頼なんてないからな」
「そうなんですね」

 少しづつではあるがギンとエイムの間にも会話が増えつつある。無言の旅はやはりつまらないものであるから手さぐりで話題を見つけ気付いたことを話すことを繰り返している。そんな時ギンが何かの気配に気づいて御者に声をかける。

「馬車を止めてくれ、近くになにかいる」

 会話をしているうちに森に入ったようでしばらく危険な様子はなかったが、わずかな気配をギンは見逃さなかった。次の瞬間何かが飛び出す。

「あれはゴブリンか、それも集団でいる」

 ゴブリンとは小柄な鬼のような外見をしており、集団で人を襲う魔物である。厄介な魔物であることを知るギンはエイムに声をかける。

「馬車の中にいろ、こいつらを蹴散らす」

 そう言ってギンはゴブリンの群れに切り込み、剣でゴブリンたちをなぎ倒していく。

「す、すごい。あれだけのゴブリンの群れをお一人で…」
「私はよくあの人と仕事柄会うことが多いんですが、すごい剣の腕前なんですよ。そのうえ魔法剣まで使いこなすんですから」
「魔法剣!?そのような高等技術まで…、でもそんな方が魔力感知を私にお願いしたいなんて」
「まっ、私には専門的なことは分かりませんがね」

 ギンのことを見知っている御者だが、ギンの細かい能力のことまでは知らないようである。そんな時にギンから言葉が発せられる。

「とりあえず蹴散らすことができた、このまま森を突っ切るぞ」

 そう言ってる間に更なる群れが出てきてギンたちは驚愕する。

「なんだと。あんなに多く…」

 少なくとも20体はいるであろうゴブリンの群れと戦いながらエイムを守り抜くという困難がたち塞がる。ギンは魔法を使いこの場を切り抜けることを考え、火球の粒手を放つが、ゴブリンが素早くかわされてしまう。

 ギンに残された手段は速度強化の魔法でゴブリンのスピードに追い付くことだが魔力が尽きれば隙ができ、ゴブリンにやられる恐れがある。そうなればこの依頼を果たすことができない。そんな思いがギンによぎった時、エイムが声をかける。

「あの、私の魔法でゴブリンだけを攻撃できます」
「だが、それでは君を危険な目にあわせてしまう。それでは君の両親を悲しませることになる」
「大丈夫です。遠距離からの魔法なので」

 そう言ってエイムは馬車から降りて呪文の詠唱を始める。

「火を司りし者よ、古の盟約に従ひて我の望みに応えよ。我に仇名すものを焼き尽くせ。火の弾丸フレイムバレット!!」

 エイムのステッキから大きな火が放たれゴブリンの方へ向かい、ゴブリンたちを焼き尽くす。

「これが私の魔法です。私が父を救うために村から出たんですから私も頑張らないと…」

 そう言って、突如エイムはその場に倒れこんだ。

「おい、大丈夫か。おい!」

 強力な魔法を使ってその場に倒れたエイム。彼女の身はどうなるのか?
 続く
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