魔法戦士ギン

burazu

文字の大きさ
25 / 207

治癒

しおりを挟む
 ルルーの治癒魔法によって体に活力が戻ったエイムの父、状況について行けずにいた為、とりあえずエイムに見知らぬ人物たちのことを尋ねる。

「エイム……、この方たちは?」

 エイムの父の問いにギン達が答える。

「自分は傭兵のギンと申します。娘さんの依頼で護衛を務めています」
「俺はブライアンって言います」
「お初お目にかかります。わたくしはミッツ教シスターのルルーと申します。エイムさんのお願いで治療に参上し、たった今お父様の治療は完了致しました」

 エイムの父は自分の病気の治療を終えたと知るや、自分の体が軽くなったことを感じ、ルルーに礼を述べる。

「ありがとうございます、そういえば体が軽いような……」

 激しく体を動かしそうであった為、ルルーがエイムの父に釘を刺す。

「お待ちください、病み上がりなのでご無理をなさらないでください」
「あ、そ、そうですね」

 エイム、そしてエイムの母からもルルーに対して礼が述べられる。

「ルルーさん、ありがとうございます!」
「シスター様、ありがとうございます!」
「いえ、ミッツ教徒としての務めを果たしただけですから」

 エイムは体を向き直してギンとブライアンにも礼を述べる。

「ギンさんとブライアンさんもここまでありがとうございました」
「まあ、俺はここまで何もしていないけどな」
「良かったなお父さんが良くなって、それじゃあ俺はここで失礼する」
「えっ?」

 ギンの言葉にエイムは戸惑いギンに問い直す。

「ま、待って下さい。魔力感知の話はどうなったんですか?」
「もちろんしてもらう。そいつはまたいずれ俺を狙ってくるだろう。その時に狙ってきた奴の持ち物の1つでも手に入れたらまたここに来て感知してもらう」

 ギンの言葉を聞いたエイムは声をあげて自分の考えをギンにぶつける。

「待って下さい。それじゃあギンさんは危険にさらされます。帰る前の馬車の会話で私思ったんです。魔法剣を使うギンさんを戦争に参加させるか、殺そうとしている国があるかも知れないって」

 魔法剣という言葉にエイムの父が一瞬反応を示すがエイムは話を続ける。

「それなのにギンさんがお1人でいたら今度こそ殺されかねません。探知以外でも私がどこまで力になれるか分かりませんがそれでもギンさんをお1人にするよりはいいと思うんです」

 エイムの言葉を聞いてギンが強く反論をする。

「何を言っているんだ、例え本当にその話の通りだったとして君も俺と一緒に危険にさらされるだけだ。せっかくお父さんが治ったんだ、わざわざ危険を冒すことはない」
「でも私、ギンさんに助けられっぱなしだから力になりたいんです」
「そんなことを気にする必要はない。俺よりもご両親を大事にするんだ」
「でも……」

 ギンとエイムのやりとりの最中に突如ルルーが話に割って入る。

「ちょっと待ってよ2人とも、国家が関わっているかもしれない話を2人だけで勝手に話を進めないでよ。ギンが本当に軍事的な理由で狙われてるとなると対応策が必要よ。またスップに戻って司祭様に相談してみましょう、なにかいい案があるかも知れないし、その上でエイムも付いてくるならどうかな?」

 ルルーの提案に全員言葉が止まり、しばらく考えた末エイムが言葉を放つ。

「お父さん、お母さん、私に旅の許可を下さい」
「え、でも危険よあなたがそこまでする必要はないはずよ」
「お母さん、私はお母さんのように治療薬を作る魔法やお父さんのように魔導具を作ることもできません。でも私は強力な攻撃魔法で少しだけギンさんのお役に立つことが出来ました。ギンさんは危険を承知で私の依頼だけでなく、無実の罪を着せられたブライアンさんを助けたり、町を守るルルーさんを助けたりしてきました。そんなギンさんが殺されるかもしれないのに放っておくことなんてできません」
「で、でも……」

 母が戸惑う中、父がエイムに告げる。

「エイム、父さんが病気の間にお前にそんなことがあったなんてな。いや、いつかはこういう日が来ることを覚悟しておかねばならなかったんだな」
「お父さん……」
「お前がそこまで言うならギン殿を助けてあげなさい。但し、無理はするな。自分の身を第一に考えるんだ。いいな」
「……はい!」

 エイムの旅の許可を出した父はギン達に向かって言葉を放つ。

「皆さん、娘を……エイムをよろしくお願いします。皆さん今日はお疲れでしょうから今日はうちに泊まって明日出発してはいかがでしょうか」
 ギン達はエイムの家に一晩泊って旅立つとした。
続く
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!=== ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。 でも別に最強なんて目指さない。 それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。 フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。 これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

才能に打ち砕かれた日から、僕の最強は始まった

雷覇
ファンタジー
ワノクニ、蒼神流・蒼月道場。 天城蒼真は幼き頃から剣を学び、努力を重ねてきた。 だがある日、異世界から来た「勇者」瀬名隼人との出会いが、すべてを変える。 鍛錬も経験もない隼人は、生まれながらの天才。 一目見ただけで蒼真と幼馴染の朱音の剣筋を見切り、打ち破った。 朱音は琴音の命で、隼人の旅に同行することを決意する。 悔しさを抱えた蒼真は、道場を後にする。 目指すは“修羅の山”――魔族が封印され、誰も生きて戻らぬ死地へと旅立つ。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...