救援隊(レスキューパーティー)『黄金の鈴』出動します!~最強賢者パーティーはダンジョンで誰かの野望をレスキューする~

高村渚

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はじめての迷宮

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(……驚い……た……)

 あの状況でよくぞ護符を使えたものだ。
 我ながら信じられない。
 怪我一つ負っていないのはほとんど奇跡に近かった。

 落下の恐怖と命を拾った安堵で、急激に震えが襲ってきた。
 立ち上がろうとするが、脚全体に力が入らない。
 奥歯ががちがちと鳴っていた。
 かあっと血が上って、こめかみが痛いほど激しく脈打っている。頭の中が真っ白だ。

(……落ち着け……大丈夫。命は拾ったのだ……落ち着いて……)
 パニックになりそうな思考をなんとかなだめようとする。

 しかし、落ち着いて思考がクリアになるにつれ、別の恐怖が忍び寄ってきた。

(……なんなんだこの重さは……!)

 魔法の素質がほとんどないイシュアにも、『要素マナ』の濃密さが肌にまといついてくるのがわかる。

 いったいここは第何階層なのだろう。
 自分はいったい、どこまで深く落ちてしまったのか。
 傍らに落ちていたランプは変わらず明かりを灯しているというのに、底知れぬ迷宮の闇の暗さが、すべての光を打ち消しているかのようだ。

 緊張か、それとも恐怖のためか、脈が速くなっているのがわかる。
 息苦しさをなだめるために深く息を吸い込む。
 先程までいた第三階層とは比べものにならない強烈なかび臭い匂いと、何か腐ったような不快な匂いに、思わずえずきそうになる。

 イシュアはなんとか立ち上がり、今落ちてきた縦穴を見上げた。
 ランプをかざしても、上の方に全く光は届かない。
 縦穴の側面に手を遣る。わずかに足がかりとなる凹凸はあるようだ。

 昇るか、それともこのまま下へ降りるか。

 逡巡ののち、イシュアは側面の出っ張りに足をかけた。
 ずいぶん長く迷宮の廊下を歩いたし、もう日も暮れる時間だろう。一度地上に戻ったほうがいい。

「迷宮初心者は、絶対に野営はやめておきなさい!」

 そうアリエッタからきつく言い含められている。
 少し怒りながらもあれこれと気遣ってくれる彼女の顔を思い出し、イシュアの頬がわずかに緩んだ。

 その時、ぞっとするような冷気がイシュアの足下に流れ込んできた。 
 「な……なんだ?」
 慌てて周囲を見渡す。日干しレンガの壁に囲まれた、広い空間だ。

 何カ所か出口が見える。そのひとつから、骸骨たちの群れが入ってきた。

「っ……!」

 茶色くすすけた人間の骨に、ぼろぼろになった着衣のかけらがまとわりついている。
 骸骨たちはぎしぎしと嫌な音を立て、次々とイシュアのほうへと向かってくる。

 素早く踏み込み、剣で薙ぎ払った。
 間近に迫った数体の骸骨を見事に倒した。骨だけの身体がバランスを失って崩れ落ちる。

 しかしすぐに後ろの骸骨たちが、倒れた骸骨の骨を踏み越えてこちらへと迫ってきた。
 意思のない、空洞の眼が、不気味にイシュアをとらえる。
  続けて何体も倒していく。だが後ろの骸骨たちが歩みを止めることはない。
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