35 / 43
最強魔導士、働く
4
しおりを挟む
そのシルヴァは腰に手を当てて、高見の見物のようにみえる。
肩の上のセトラは、先程からご機嫌だ。
淡いベージュの外皮をほんのりピンク色に染め、細い目をさらに細めて、ぷくぷくと楽しそうな声でずっと鳴いている。
シルヴァが頭を撫でてやると、さらにご満悦な顔で「ぷくにゅ」と甘えてきた。
「あ、こいつさ、熱いところのほうが好きなんだよ。
拾ってきた場所がもっと熱かったからな。
まあ地上でも寒いってわけじゃなさそうなんだが」
「……そう……なのか……」
地面の岩が溶けて流れていくような場所なのだ。
ここより熱い所など、イシュアには想像もつかなかった。
炎蜥蜴の群れが、みるみるうちに隊に肉薄した。
ギヨームが群れの中に飛び込むみ、鮮やかな一撃を食らわす。
体勢を崩したところに、すかさずアリエッタの大斧が襲いかかる。
炎蜥蜴は一体、また一体と倒されていった。
しかし数が多い。
しかもこの強さと、まき散らす炎の息の威力は尋常ではない。
まるで竜種の群れを相手にしているようだ。
アリエッタの息が上がっている。
それを見て取ったシルヴァが、手を掲げてアリエッタの体力を回復させる。
と同時にアリエッタが大きく飛びずさった。
アリエッタのいた場所に、蜥蜴の吐き出した炎の息が直撃する。
息を浴びた岩肌がじゅっと溶けて大きな穴が空いた。
「これ……炎蜥蜴じゃないんじゃない?」
おかしい。
炎蜥蜴と戦うのは初めてではなかったが、以前相対したときはもっと少ない手数で倒せたし、ここまで強力な炎の息をまき散らすこともなかった。
「上位種の煉獄蜥蜴かもしれませんな。
だとしたら少々面倒です」
ギヨームの表情にも余裕がなくなってきている。
噛みつこうとする顎や炎の息に加えて、思わぬ方向から飛んでくる尻尾も厄介だった。
そのたびシルヴァが強力な防御を施しているものの、直撃を喰らえば弾き飛ばされる。
攻撃を加えながら避け続けるうち、アリエッタの膝がわずかに落ちた。
すかさずギヨームがアリエッタの手を引き、後方へ押しやった。
「殿下、頼みます」
「ちょっと!」
そのまま一人で煉獄蜥蜴の群れに飛び込んでいく。
目で追うことも不可能な速さで剣を振るう。
さらに威力を増した剣の軌跡は、青白い炎となって魔物を分断していく。
イシュアは、託されたアリエッタをそのまま背後に回した。
想像を超える戦いに、頭は空っぽだ。
頬は引きつり、両手は見て判るほどに震えていた。
だが、そんな腕でも剣を構え、前を向く。
「王子様!」
かばわれたアリエッタは声を上げたが、その後ろのシルヴァはといえば、ひゅうと口笛を吹きそうになった。
いやはや、十二分に『勇者の試練』に応えているではないか。
思わず笑みがこぼれる。
そんな様子に、斧の柄で身体を支えながらぜえぜえと呼吸していたアリエッタが切れた。
肩の上のセトラは、先程からご機嫌だ。
淡いベージュの外皮をほんのりピンク色に染め、細い目をさらに細めて、ぷくぷくと楽しそうな声でずっと鳴いている。
シルヴァが頭を撫でてやると、さらにご満悦な顔で「ぷくにゅ」と甘えてきた。
「あ、こいつさ、熱いところのほうが好きなんだよ。
拾ってきた場所がもっと熱かったからな。
まあ地上でも寒いってわけじゃなさそうなんだが」
「……そう……なのか……」
地面の岩が溶けて流れていくような場所なのだ。
ここより熱い所など、イシュアには想像もつかなかった。
炎蜥蜴の群れが、みるみるうちに隊に肉薄した。
ギヨームが群れの中に飛び込むみ、鮮やかな一撃を食らわす。
体勢を崩したところに、すかさずアリエッタの大斧が襲いかかる。
炎蜥蜴は一体、また一体と倒されていった。
しかし数が多い。
しかもこの強さと、まき散らす炎の息の威力は尋常ではない。
まるで竜種の群れを相手にしているようだ。
アリエッタの息が上がっている。
それを見て取ったシルヴァが、手を掲げてアリエッタの体力を回復させる。
と同時にアリエッタが大きく飛びずさった。
アリエッタのいた場所に、蜥蜴の吐き出した炎の息が直撃する。
息を浴びた岩肌がじゅっと溶けて大きな穴が空いた。
「これ……炎蜥蜴じゃないんじゃない?」
おかしい。
炎蜥蜴と戦うのは初めてではなかったが、以前相対したときはもっと少ない手数で倒せたし、ここまで強力な炎の息をまき散らすこともなかった。
「上位種の煉獄蜥蜴かもしれませんな。
だとしたら少々面倒です」
ギヨームの表情にも余裕がなくなってきている。
噛みつこうとする顎や炎の息に加えて、思わぬ方向から飛んでくる尻尾も厄介だった。
そのたびシルヴァが強力な防御を施しているものの、直撃を喰らえば弾き飛ばされる。
攻撃を加えながら避け続けるうち、アリエッタの膝がわずかに落ちた。
すかさずギヨームがアリエッタの手を引き、後方へ押しやった。
「殿下、頼みます」
「ちょっと!」
そのまま一人で煉獄蜥蜴の群れに飛び込んでいく。
目で追うことも不可能な速さで剣を振るう。
さらに威力を増した剣の軌跡は、青白い炎となって魔物を分断していく。
イシュアは、託されたアリエッタをそのまま背後に回した。
想像を超える戦いに、頭は空っぽだ。
頬は引きつり、両手は見て判るほどに震えていた。
だが、そんな腕でも剣を構え、前を向く。
「王子様!」
かばわれたアリエッタは声を上げたが、その後ろのシルヴァはといえば、ひゅうと口笛を吹きそうになった。
いやはや、十二分に『勇者の試練』に応えているではないか。
思わず笑みがこぼれる。
そんな様子に、斧の柄で身体を支えながらぜえぜえと呼吸していたアリエッタが切れた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる