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1 許さないからな
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「えーっと……『別の地球からやってきたスライデント太郎は、ウィンドストーブの解雇になりました』」
「何聞いてたんですか先輩」
学校近くのカフェの片隅で、私は目の前の先輩に向かって言う。
「英語のリスニングでそんな例文出ると思います?」
「……ほら……あの……最近流行りの多様性で……」
「ああ……じゃあありえますね」
「あり得るの?」
「ありえませんよ。気を使ったんです」
「それはどうも」
よくわからん会話だ。しかし恋人関係になって毎日会っていたら、たまにはわけのわからない会話だって巻き起こるだろう。
それにしても……
「誰ですかスライデント太郎って」
「僕も誰だろうと思ってた」
なら仕方がない。いや、別に仕方がなくない。どっちでもいい。
やはりこの先輩は……私の恋人は英語が苦手だ。他にも数学が苦手だ。それ以外の教科は得意だというのに……どうしてこの2科目だけ絶望的なのだろう。
こうやって、後輩の私が先輩にお知えられるくらいには、彼は英語を苦手としている。苦手なんて次元じゃなく苦手なのだ。
「林檎先輩」
リンゴ先輩、というのは別にあだ名じゃない。というか本名である。林檎林檎。名字が林檎で名前が林檎が名前なのだから、林檎先輩と呼ぶしかないだろう。
「何? 桃」
桃、というのは別に桃を注文したわけではない。私の名前だ。小桃桃姫。略して桃である。親はどうかしていると思う。お互いに。
「……?」
名前を呼ぶだけ呼んで何も言わない私に、先輩は首を傾げて疑問を伝えてくる。
そんな先輩の姿を見て『ああ……今日もかわいいなぁ……』なんてことを思うのだった。
そう。私の彼氏はかわいい。一つ先輩の林檎林檎先輩は名前に負けず劣らず容姿がいい。一般受けはしないかもしれないけれど。
彼は小さい。高校2年生にしてはかなり小柄。痩せ型だが丸顔で、ちょっと背伸びした中学生くらいにしか見えない。
顔立ちも幼く中性的で、油断してもしなくても女子に見えてしまう。ということで、私達は結構な確率で姉妹だと間違われる。あるいは、同性カップルか。
可愛くて英語と数学が苦手な先輩が、私の彼氏である。他にも苦手なところは多々あれど、それを補ってあまりある魅力が彼にはあるのだ。
「何……? 何かついてる?」
「いえ……ごめんなさい」
お顔に見惚れていただけです。なんてことを言ったら彼が照れてしまうから言わないけれど。
「ふぅん……まぁいいや。ちょっとトイレ行ってくる」
「どうぞどうぞ」
了承を得て、先輩は立ち上がる。そして男性トイレに入っていった。こういうところを見ると先輩も男なんだなぁ……なんてことを思うのだった。
さて一人になってしばらくして……
「おう姉ちゃん。一人か?」
そう声をかけてきたのは……大学生くらいの金髪のお兄さんだった。何やらお酒臭いので……この時間から呑んでいるらしい。
しかも一人ではない。4人の集団だ。いつの間にか店内には『危ない人達が来店してしまった』というような雰囲気が漂っていた。
「……連れがいますので」
「意地張るなよ」そう言って、チンピラは私の肩を叩く。「どうせ彼氏なんていないだろ? ナンパされてんだから、ありがたく流されとけ」
「いや……あの、彼氏いるんで」
「嘘つくなって」なんで嘘だと思うんだろう。そんなに魅力ないように見えるか。「お前で我慢してやるって言ってんの」
……お酒臭い……面倒臭い……手間のかかる人たちに絡まれてしまった。
さてどうしようかと悩んでいると。
「おまたせ」トイレから戻ってきた先輩が、チンピラたちを一瞥して、
「知り合い?」
「いえ。他人です」
私と先輩を見て、チンピラたちが吹き出す。
「ほら見ろ、女友達しかいないじゃねぇか。それとも妹か? 丁度いい、二人まとめて相手してやるよ」
そう言って、チンピラの一人が私に手を伸ばす。
しかし、その手が私に触れることはなかった。
林檎先輩が、チンピラの手を掴んだからだった。
「気安く触らないでくださいよ。僕の彼女に」
「あ……? なんだお前……邪魔すんなよ……!」
段々と、チンピラの顔が赤くなっていった。
チンピラの腕に力が込められているのは確かだ。先輩の手を振りほどこうと必死になっているのは見て取れる。
しかし、腕はピクリとも動かない。先輩の手によって、完全に固定されている。
「……っ! ……なんだ……!」
「僕の彼女に触るなって言ってるんですよ」先輩はそのままチンピラの胸ぐらを掴んで、引き寄せる。「あんたがどこで何してようが、あんたの勝手だよ。だけど……僕の彼女に手を出したら許さないからな」
「……!」
チンピラは声にならない悲鳴を上げて、顔を青くした。そして腰を抜かしたように地面に一度倒れ込んでから、
「おい……行くぞ……!」
そう言って、このお店を去っていったのだった。
「ごめん」
先輩は私に向き直る。そこにさっきの威圧感はなく、いつもの可愛い林檎先輩だった。
「ケガはない?」
「……外傷はないですね……」
私が言うと、先輩は息を呑んだ。
「何か言われたの……! ねぇ……桃……!」
「いえ……何も……」
「ホントに……?」
「……はい……」
「そう……なら良かった……」
本当になんともない。あのチンピラたちに言われて、私の心は傷ついていない。
ただちょっと、心臓がドキドキしているだけだ。
ああやってチンピラたちを追い返してくれた先輩がカッコよかったから。こうやって真剣に私の心配をしてくれる先輩が愛おしいから。
ああ……ヨダレ出そう。
「何聞いてたんですか先輩」
学校近くのカフェの片隅で、私は目の前の先輩に向かって言う。
「英語のリスニングでそんな例文出ると思います?」
「……ほら……あの……最近流行りの多様性で……」
「ああ……じゃあありえますね」
「あり得るの?」
「ありえませんよ。気を使ったんです」
「それはどうも」
よくわからん会話だ。しかし恋人関係になって毎日会っていたら、たまにはわけのわからない会話だって巻き起こるだろう。
それにしても……
「誰ですかスライデント太郎って」
「僕も誰だろうと思ってた」
なら仕方がない。いや、別に仕方がなくない。どっちでもいい。
やはりこの先輩は……私の恋人は英語が苦手だ。他にも数学が苦手だ。それ以外の教科は得意だというのに……どうしてこの2科目だけ絶望的なのだろう。
こうやって、後輩の私が先輩にお知えられるくらいには、彼は英語を苦手としている。苦手なんて次元じゃなく苦手なのだ。
「林檎先輩」
リンゴ先輩、というのは別にあだ名じゃない。というか本名である。林檎林檎。名字が林檎で名前が林檎が名前なのだから、林檎先輩と呼ぶしかないだろう。
「何? 桃」
桃、というのは別に桃を注文したわけではない。私の名前だ。小桃桃姫。略して桃である。親はどうかしていると思う。お互いに。
「……?」
名前を呼ぶだけ呼んで何も言わない私に、先輩は首を傾げて疑問を伝えてくる。
そんな先輩の姿を見て『ああ……今日もかわいいなぁ……』なんてことを思うのだった。
そう。私の彼氏はかわいい。一つ先輩の林檎林檎先輩は名前に負けず劣らず容姿がいい。一般受けはしないかもしれないけれど。
彼は小さい。高校2年生にしてはかなり小柄。痩せ型だが丸顔で、ちょっと背伸びした中学生くらいにしか見えない。
顔立ちも幼く中性的で、油断してもしなくても女子に見えてしまう。ということで、私達は結構な確率で姉妹だと間違われる。あるいは、同性カップルか。
可愛くて英語と数学が苦手な先輩が、私の彼氏である。他にも苦手なところは多々あれど、それを補ってあまりある魅力が彼にはあるのだ。
「何……? 何かついてる?」
「いえ……ごめんなさい」
お顔に見惚れていただけです。なんてことを言ったら彼が照れてしまうから言わないけれど。
「ふぅん……まぁいいや。ちょっとトイレ行ってくる」
「どうぞどうぞ」
了承を得て、先輩は立ち上がる。そして男性トイレに入っていった。こういうところを見ると先輩も男なんだなぁ……なんてことを思うのだった。
さて一人になってしばらくして……
「おう姉ちゃん。一人か?」
そう声をかけてきたのは……大学生くらいの金髪のお兄さんだった。何やらお酒臭いので……この時間から呑んでいるらしい。
しかも一人ではない。4人の集団だ。いつの間にか店内には『危ない人達が来店してしまった』というような雰囲気が漂っていた。
「……連れがいますので」
「意地張るなよ」そう言って、チンピラは私の肩を叩く。「どうせ彼氏なんていないだろ? ナンパされてんだから、ありがたく流されとけ」
「いや……あの、彼氏いるんで」
「嘘つくなって」なんで嘘だと思うんだろう。そんなに魅力ないように見えるか。「お前で我慢してやるって言ってんの」
……お酒臭い……面倒臭い……手間のかかる人たちに絡まれてしまった。
さてどうしようかと悩んでいると。
「おまたせ」トイレから戻ってきた先輩が、チンピラたちを一瞥して、
「知り合い?」
「いえ。他人です」
私と先輩を見て、チンピラたちが吹き出す。
「ほら見ろ、女友達しかいないじゃねぇか。それとも妹か? 丁度いい、二人まとめて相手してやるよ」
そう言って、チンピラの一人が私に手を伸ばす。
しかし、その手が私に触れることはなかった。
林檎先輩が、チンピラの手を掴んだからだった。
「気安く触らないでくださいよ。僕の彼女に」
「あ……? なんだお前……邪魔すんなよ……!」
段々と、チンピラの顔が赤くなっていった。
チンピラの腕に力が込められているのは確かだ。先輩の手を振りほどこうと必死になっているのは見て取れる。
しかし、腕はピクリとも動かない。先輩の手によって、完全に固定されている。
「……っ! ……なんだ……!」
「僕の彼女に触るなって言ってるんですよ」先輩はそのままチンピラの胸ぐらを掴んで、引き寄せる。「あんたがどこで何してようが、あんたの勝手だよ。だけど……僕の彼女に手を出したら許さないからな」
「……!」
チンピラは声にならない悲鳴を上げて、顔を青くした。そして腰を抜かしたように地面に一度倒れ込んでから、
「おい……行くぞ……!」
そう言って、このお店を去っていったのだった。
「ごめん」
先輩は私に向き直る。そこにさっきの威圧感はなく、いつもの可愛い林檎先輩だった。
「ケガはない?」
「……外傷はないですね……」
私が言うと、先輩は息を呑んだ。
「何か言われたの……! ねぇ……桃……!」
「いえ……何も……」
「ホントに……?」
「……はい……」
「そう……なら良かった……」
本当になんともない。あのチンピラたちに言われて、私の心は傷ついていない。
ただちょっと、心臓がドキドキしているだけだ。
ああやってチンピラたちを追い返してくれた先輩がカッコよかったから。こうやって真剣に私の心配をしてくれる先輩が愛おしいから。
ああ……ヨダレ出そう。
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