人生の攻略本を拾いました~彼女の行動がギャルゲー感覚で予測できるので、簡単にハーレム……とおもいきや誰かが死んでしまうらしい~

星上みかん(嬉野K)

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心の闇

第112話

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「おまたせ」

 ゆきさんは出来上がった料理を皿に移して、テーブルに置く。どうやら作っていた料理はオムライスだったらしい。

 そして、ゆきさんはそのオムライスの皿を持って、僕の前までやって来る。

「はい。どうぞ」
「……どうぞ、と言われても……」

 両手両足を拘束されてるから動けないんですけど。

「食べさせてあげるよ。はい、あーん」
 
 ケチャップのかかった美味しそうなオムライスが僕の口まで近づけられる。口を開ければスプーンが口の中に入って、オムライスが食べられるだろう。

 だけれど……なんだか素直に食べさせてもらうのも気が引ける。そう思っていると、

「毒は入ってないよ」
「血液は?」
「入れようかと思ったけど、やめた」そもそも思わないで。「必要なら調味料にするけど」

 嫌すぎる。ゆきさんの血液が入ったボトルとか見たくない。しょうゆみたいにかけられるわけもない。

「口を開けてよ。自信作だから」
「……できれば自分で食べたいな……」
「……ふむ……」ゆきさんは一瞬振り返る。たぶん扉までの距離を確認したのだろう。「……まぁ……食事中くらいはいいか」

 そう言って、ゆきさんは僕に首輪をかける。その首輪はしっかりと壁に固定されており、引きちぎれそうにない。

 その状態で、僕の拘束は解かれた。まさか足まで自由にしてくれるとは思っていなかった。どうせ手だけ自由にしてくれると思っていた。

 聞いてみる。

「……こんなに自由にしていいの?」
「……キミが私を襲って、逃げようとするかもしれないってこと?」
「そうだね」

 ゆきさんは運動音痴だ。僕でも取り押さえられると思う。今からでも、その気になればできる。ゆきさんはその距離感にいる。

 だけれど……

「キミがそれをできない人なのは知ってるよ」 

 見透かされているらしい。たぶん僕は……暴力的なことなんてできない。ゆきさんを制圧するなんてことはできない。

 それに……仮にここでゆきさんを倒しても無意味だ。だってこの鎖は引きちぎれないのだから。そしていま現在僕の食料源を握っているのはゆきさんん。ゆきさんがいなくなれば、僕の食べるものはなくなる。

 だから……ゆきさんに手出しはできない。それを、相手も理解している。だからこそ、こうやって身体をある程度自由にしてくれた。

「じゃあ、食べよっか」

 言われるがまま、僕はテーブルに座った。目の前のオムライスはとても美味しそうで、もう毒が入っていても食べてしまいそうだった。

 ……とても空腹だ。もしかしたら1日くらい寝ていたのかもしれない。それとも、緊張感のせいで空腹に感じているだけだろうか。

 とにかく……食べてみよう。毒は入ってない、と思う。入っていたら……まぁしょうがない。

 オムライスを食べてみる。

 ……美味しい……紛れもなく美味しい。でも悔しいので感想は伝えない。これが通常の状態で振る舞ってくれた料理なら、素直に称賛できたのに。

「テレビも買えばよかったかなぁ……」同じテーブルで食事をしているゆきさんが世間話でもするみたいに、「そういえば……もう月影つきかげさんから告白されたの?」
「……」
「されたんだ」

 なんでわかる。僕は何も答えてないのに。そんなに表情に出ていたか? それとも、今のゆきさんは為人ひととなり会長レベルにキレているのだろうか。

「ちょっと準備に時間をかけすぎたなぁ……この部屋用意するのも結構かかっちゃったし」

 準備の時間……なるほど。だから一人旅なんて言い出したわけだ。今ゆきさんは一人旅に行っているはずだから、家に長時間帰らなくても問題視されることはない。その間に監禁の準備を進めていたと。

 そして……僕の親も海外旅行中である。しかも夏休み中だし……僕の不在を不審に思う人間も少ない。莉杏りあんは……恋人ができた僕に気を使って家にはあまり近寄らないはずだ。

 月影つきかげさんは……僕の家の場所を知らないな。

「まぁいいや。時間はまだまだあるし」

 そんなに長居するつもりはないのだけれど。ゆきさん視点からすれば、今から墓場まで僕と一緒にいるつもりなのだろうな。

「ねぇ。何か必要なものとかある? あるなら買ってくるよ」
「……自由とかどうかな」
「いいよ。コンビニで売ってる?」売ってるわけないだろ。「冗談だよ。もしもキミが自由を欲しがるというのなら……そうだね。1つ条件がある」
「何?」
「私を一生愛すると誓うこと」

 僕の自由は遠いようだ。いや……そう遠くない時期に、莉杏りあんが助けに来てくれるはず。莉杏りあんが僕のSOS……10円玉にさえ気づいてくれれば……

 それまで生き延びていればいい。ゆきさんを刺激することはない。彼女だって僕に危害を加えることはしないだろう。場合によっては警察だって動いてくれるはずだ。

 今の僕のミッションは、生きることだ。
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