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降参できる雰囲気じゃなさそうですね
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――
「っ……!」
一瞬、意識ごと持っていかれた。しかし吹き飛ばされている間意識がなくて助かったかもしれない。意識があったら走馬灯の一つや二つ見たかもしれない。
「イタタ……」意識が戻って、「……どこですかここは……」
さっきまで戦っていた場所ではない。目の前の建物は穴が空いていたり建物ごと倒壊していたり……
……おそらく私がふっ飛ばされて、その衝撃で建物が壊れたんだろうな……いったい何百メートルふっとばされたのだろう。よくぞ生きていたものだ。
「……」体を起こそうとして、脇腹に激痛。「……折れてますかね……これはまいった」
たぶんアバラの数本持っていかれている。どう考えてもヒビの痛さではない。確実に折れている。
ううむ……逃げるタイミングをなくしてしまった。脇腹に激痛を抱えた状態で、果たして逃げ切れるだろうか。あるいは……こっからどうやって勝つ? 不可能に思えるけれど……逃げるか勝つかどちらかをしないといけない。
そうしないと、死んでしまう。
フラフラしながら立ち上がって、咳き込む。血が口から出てきたところを見ると、内臓まで痛めているようだ。
あの蹴り一発でこれですか……まったく……素晴らしい力だな。興味本位で覗いたのが間違っていた。まぁ楽しいからいいけれど。
「さて……」ゆっくりと、アルが近づいてくる。まだ距離はあるはずだが、威圧感のせいか彼が大きく見える。「降参できる雰囲気じゃなさそうですね……」
じゃあやっぱり戦うしかないか。逃げるという選択肢もあるけれど、せっかくの悪魔の力だ。最期まで堪能させてもらおう。
「って……あれ?」アルが私の視界から一瞬消えて、「……瞬間移動でもできるんですか……?」
いつのまにか、彼は目の前にいた。私の動体視力では追いきれない速度で、私の眼前に迫っていた。
そして、躊躇なく右手を振り上げる。
ああ……これは死んだ。そう覚悟して、振り下ろされるアルの拳を見ていた。
その時だ、
「……?」
急にアルの手が止まった。高速で振り下ろされていた拳は突然停止し、私の目の前にとどまった。
なんだ情でもかけられたか、と興ざめしそうになったが、どうやら違う。
アルの腕を止めたのは、とある男性の腕だった。横からアルの手をがっしりと掴んで固定している男性が、いつの間にか存在していた。
その人は……見たことがある。私のバイトの先輩であり、無口で方向音痴な男性だった。
「ソラさん……?」
「っ……!」
一瞬、意識ごと持っていかれた。しかし吹き飛ばされている間意識がなくて助かったかもしれない。意識があったら走馬灯の一つや二つ見たかもしれない。
「イタタ……」意識が戻って、「……どこですかここは……」
さっきまで戦っていた場所ではない。目の前の建物は穴が空いていたり建物ごと倒壊していたり……
……おそらく私がふっ飛ばされて、その衝撃で建物が壊れたんだろうな……いったい何百メートルふっとばされたのだろう。よくぞ生きていたものだ。
「……」体を起こそうとして、脇腹に激痛。「……折れてますかね……これはまいった」
たぶんアバラの数本持っていかれている。どう考えてもヒビの痛さではない。確実に折れている。
ううむ……逃げるタイミングをなくしてしまった。脇腹に激痛を抱えた状態で、果たして逃げ切れるだろうか。あるいは……こっからどうやって勝つ? 不可能に思えるけれど……逃げるか勝つかどちらかをしないといけない。
そうしないと、死んでしまう。
フラフラしながら立ち上がって、咳き込む。血が口から出てきたところを見ると、内臓まで痛めているようだ。
あの蹴り一発でこれですか……まったく……素晴らしい力だな。興味本位で覗いたのが間違っていた。まぁ楽しいからいいけれど。
「さて……」ゆっくりと、アルが近づいてくる。まだ距離はあるはずだが、威圧感のせいか彼が大きく見える。「降参できる雰囲気じゃなさそうですね……」
じゃあやっぱり戦うしかないか。逃げるという選択肢もあるけれど、せっかくの悪魔の力だ。最期まで堪能させてもらおう。
「って……あれ?」アルが私の視界から一瞬消えて、「……瞬間移動でもできるんですか……?」
いつのまにか、彼は目の前にいた。私の動体視力では追いきれない速度で、私の眼前に迫っていた。
そして、躊躇なく右手を振り上げる。
ああ……これは死んだ。そう覚悟して、振り下ろされるアルの拳を見ていた。
その時だ、
「……?」
急にアルの手が止まった。高速で振り下ろされていた拳は突然停止し、私の目の前にとどまった。
なんだ情でもかけられたか、と興ざめしそうになったが、どうやら違う。
アルの腕を止めたのは、とある男性の腕だった。横からアルの手をがっしりと掴んで固定している男性が、いつの間にか存在していた。
その人は……見たことがある。私のバイトの先輩であり、無口で方向音痴な男性だった。
「ソラさん……?」
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