可愛いあの子は溺愛されるのがお約束

猫屋ネコ吉

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グローディアス王国編

千尋君王都に立つ!

王太子が帰還する3週間前、千尋はようやく修行を終えていた。

「どう?こんな感じなら大丈夫かな?」
「ふむ…地味であるがコレならば大丈夫じゃろ。」

千尋の姿は髪と目の色を神の魔道具により黒から明るめの茶色に変え服も白雪が街で調達してきた生成りの綿シャツとズボンに濃い茶色のベストを合わせ、少し草臥れた感じの膝下まで覆い隠せるフードの付いたコートを着た。

「これならば目立ってしまう事は無い……とよいな…顔は変えられ無いからな…仕方ないの…。」
「……僕の顔って…そんなに…いや、大丈夫だよね!平凡だもん…平凡だよね…」
「千尋は可愛いから大丈夫じゃ!本当じゃぞ!」
「…うん…ありがとう…」

千尋は白雪が気を使っていると思っていた。
男の子の僕に可愛いはダメだよね…なんて思っていた。
事実白雪は気を付けねば千尋の尋常じゃない可愛さが変態を呼び寄せる事を1番心配しているのだが、カッコいいが至上である千尋にとって可愛いはどうでもいい判定なのだ。

「さて千尋よ、今から父上のいる王都に転移で行く…」
「うん、あの王子様の国だよね!」
「そうじゃ、グローディアス国は人間の国だが多種族を受け入れている国でな…この世界で最も平和な国じゃ…昔千尋と同じ神の愛し子が落ちた国で、その愛し子は落ちて来る前は学校の先生という仕事をしていたそうじゃ。」
「学校の先生!!」
「そう、愛し子は国に学校を作って国の子供たちを教育した…人種や形が違うからといって命に差は無い…人間であろうと獣人やドワーフそして魔物であっても命に差は無いのだと教育した…そして世界で最も平和的な国となったのじゃ…その後愛し子はその時の国王に嫁いだ…それ故にあの王族はこの世界では珍しい黒髪黒眼の子供が出来る様になったのじゃ。」
「きっと、その落ちて来た人は僕と同じ日本人だったのかもね…日本は大きな戦争に一度負けて…そして二度と戦争をしない国になったんだよ…。」
「ほう~それは凄いのぉ~争わないのは簡単な様でそうでも無いからな…。」
「そうだね…戦争をしなくなってからの日本はとても豊かな国になったよ…。」
「そうか…グローディアス国も同じじゃ…戦をしなくなった事で国は安定し人も増えた…争わないからといって他国とは交渉や通商条約を結んでお互いの利を持つ事で戦では無い方法で国を守って来た…故にあの国での王族は民に愛されている。」
「そうなんだ~」
「まあ、豊かになった事で馬鹿な国に狙われておるがな…だが千尋が行くのに安心も出来る国でもある…色々な人種がいる国だから多少変わった身なりであっても受け入れてくれる国なのじゃ!それに愛し子信仰があるからの…。」
「愛し子信仰?」
「そうじゃ、神は主神様だけじゃがグローディアスでは神の愛し子もまた信仰されておる。」
「ええ~!じゃあ僕の正体がもしバレたら…?」
「皆に拝まれるな!なかなか外には出して貰えなくなるぞ!」
「ええ~それは嫌だな…」
「そうであろ?だから今度こそバレない様に気を付けるのじゃ!」
「はい!」
「もう少ししたら真白も修行を終えるであろ…今色々国としてあるから様子を見て旅に出るのもいいだろうが…今は王都でこちらの生活に慣れる事が大事じゃ。」
「うん!頑張る!」
「まずは王都に着いたら冒険者ギルドで冒険者として登録じゃ!では行くぞ!」
「はい!」

白雪は千尋の肩に触れて転移を唱えた。

「千尋着いたぞ!あれがグローディアス国の王都じゃ!」
「ふわぁぁぁぁぁぁ~~~!大きい~!」
「ふふふ…流石は大国であるな…立派な城壁じゃな。」
「うん!中はどんなんだろう?ワクワクするよ!」
「では、正門へ行くぞ!」
「はい!」

いきなり町中に転移せず少し離れている場所に転移した二人は仲良く歩いて正門へと進んで行った。
その間、千尋はおのぼりさん宜しくキョロキョロ回りを見ては凄い凄いと興奮している。
段々人が千尋達と同じように歩いていたりするが、その子供の様子を微笑ましい顔で見ていたのに気が付く訳もなく千尋は幼い子供のように口を開けたまま歩く。
そんな千尋を女神の微笑みで眺めながら千尋が遠くに行かない様に手を繋いで歩くゴージャス美人に見惚れてる男達もいるが全くこれぽっちも視界に入れていない白雪だった。

「千尋、よそ見ばかりしていたら怪我をする…落ち着きなさい。」
「白雪!だって凄いんだよ!大きいし!綺麗だし!初めて見る景色なんだもの!向こうにはこんな大きな城壁ないよ!」
「そうなのか?千尋の国には無いのか?まあよい、正門はあそこじゃ、入国するために並ぶようじゃ、参るぞ!」
「はーい!」

列の最後尾に並ぶ為に列に並ぶ人々を眺めると色々な人種の人が馬車が並んでいて千尋はそれにもキラキラした目で眺めていた。
小さい子がキラキラした目で見られる事の微笑ましさで千尋の周りはホンワカした空気だ。
そんな中王都に入る列の最後尾に来た千尋はニコニコしながら白雪と並んだ。

「白雪…どの位掛かるかな?」
「そうじゃな~2時間くらいだろうか?」
「楽しみだね~!城壁の中!」

そんな会話をしていた千尋達に話し掛けたい周りの人々なのだが白雪の無言結界に阻まれて可愛い顔を眺めるだけしか出来ない、でもなんだかニコニコ笑う千尋の笑顔に癒されてしまう。
長い列に並んで、だいたい2時間くらいで千尋は城門前に来ることが出来た。
大きな鐘楼を持つグローディアス国正門は巨大なレンガ造りで今は開いている門は普通にビル2階分ほどの高さがある分厚い木の門で大人の人が6人で開け閉めする。
門の入口前にある関所で門を警備している騎士達がいて城門の中に入る為の身分証明書を確認していた。
白雪と千尋の番がようやく来た。

「身分証明出来るものを出して下さい。」
「妾の分はこちらのカードじゃ…この子は田舎から来たばかりで身分を示すものが無い…冒険者ギルドで登録する予定じゃ。」
「ああ…分かりました、ではこちらの球に手を置いて下さい。」
「はい!」

ボーリング球ぐらいの透明な球体の上に手を置くと透明だった球は明るく光り出した。

「はい、大丈夫ですね!っていうかこんなに明るく光ったの始めてかもしれん!」
「そうなの?」
「ああ…お嬢ちゃんは犯罪歴は無い証拠だよ…では、後は入国料銀貨1枚払って下さい、この銀貨は仮カードの代金になるので本身分証になるギルドカード作ったら返還しに来て下さい、その時銀貨は返します。」
「はい!」
「お姉さんは、確認出来ましたのでカードをお返しします、ではお二人ともようこそ!グローディアスへ!この先へどうぞ!」
「ありがとうございます!」
「ありがとう、では千尋参るぞ。」
「はーい!」

暗いトンネルの様な回廊を過ぎると…その先には石畳の道と石作りの家やたくさんの店、そしてたくさんの人々が忙しくなく動いていた。
中世ヨーロッパのような街の佇まいに千尋は大きな口を開けたまま驚いていた。

「す!凄い!!!綺麗な街だよ!大きな建物だよ!たくさんの人だよ!」
「ふふふ…千尋面白い顔になっておるぞ?」
「うわぁ~うわぁ~!!!」

綺麗な白雪と可愛い千尋の二人は思いっきり目立っていた…。

「さあ千尋、冒険者ギルドへ参るぞ!」
「はっ!はい!!」

ここでも白雪は迷子にならない様に千尋と手を繋いで歩き出した。
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