レジェンドオブカーボニア~空から落ちてきた女の子を助けたら帝国軍に追われるハメになったが、一緒に手に入れた最強の剣で無双する

天水覚理

文字の大きさ
13 / 26

旅立ち

しおりを挟む
 作業も終わり、いざ出発となった。ジロは先に船に乗り込んでおり、メリダはサヴェロとジェリーに別れの挨拶をしていた。

「何から何まで面倒を見ていただき本当にありがとうございました」

 メリダは二人に深々とお辞儀をする。

「それなのに二人には危ない目に遭わせてばかりで……」

「もうそんな事言わないの。こうして無事でいられたんだから、これからも旅先で無茶はしないで頑張ってね」

そう言ってジェリーはメリダを抱き寄せた。

「旅が終わって落ち着いたらいつでも帰っておいで」

「うん。ありがとう……」

 メリダもギュッとジェリーを抱き締め、顔を埋める。そして、名残を惜しむように離れると、今度はサヴェロの方を向いた。

「サヴェロも助けてくれてありがとう」

「ああ、どういたしまして。まあ、何だ……その、元気でな」

 何か歯切れの悪い挨拶をするサヴェロに「ん?」と首を傾げるメリダだが、メリダも「元気でね」と返した。

『私からもお礼の言葉を申し上げます。お二人の協力がなければ無事ではいられなかったでしょう。感謝します』

 最後まで堅苦しいなと苦笑いするサヴェロ。それにつられフフッと微笑むメリダ。久しぶりに和んだ空気になるが、そこに「おーい! そろそろ出るぞ!」と船の準備を終えたジロの声がかかった。

「はーい! 今行きまーす! それじゃあね、二人とも。行ってきます」

 メリダは二人に手を振ると踵を返し船へと駆け出した。その後ろ姿に手を振って送り出すサヴェロとジェリーだったが、

「このままでいいの?」

 と、突然ジェリーがサヴェロに話しかけた。思わず「え?」と母ジェリーの顔を見るサヴェロ。

「このまま女の子を一人で行かせちゃうつもり? 私はそんな風にアンタを育てたつもりはないんだけど」

 ジェリーはサヴェロの方を向いてそう続けた。

「それって……」

「世界を見て回るのがアンタの夢なんでしょ? 女の子を守れて世界を巡って一石二鳥じゃない」

「でも、家の事は……」

「家の事は私に任せなさい。アンタが帰る場所は私が守るから、アンタはアンタのやりたい事をやりな。さあ、どうするの? 行くの? 行かないの?」

 その二択を突き付けられたサヴェロはほんの一瞬だけ目を閉じ、そして、目を見開くと、

「ありがとう母さん。行ってきます」

 そう言って、サヴェロはメリダの後を追った。

「よーし! 出発するぞ!」

 メリダが乗船したことを確認したジロは船を動かし離岸する。と、そこに「ちょっと待ったー!」という叫び声と共に、岸からジャンプしたサヴェロが船に飛び乗ってきた。

「え! サヴェロ! どうして……」

「ここまできたら最後まで協力させてくれ。まあ、ぶっちゃけ世界中の遺跡を見たいってのはあるけどさ、俺に出来る事があればなんでもいってくれ」

「……ありがとうサヴェロ」

 半泣きになりながらメリダはサヴェロに抱き付いた。あまりに突然の事で赤面し、体を硬直させるサヴェロ。
 そして、サヴェロから体を離すと、涙を浮かべながら笑い、「よろしく!」と言った。

『しかし、本当によろしいのですか?』

 メリダの腰に帯びているアイオスがサヴェロに尋ねる。

『この先、先程のような危険な出来事が何度も起きるでしょう。それでも――』

「行くよ」

 アイオスが言いきる前に、サヴェロは被せるように答えた。真っ直ぐな眼、確固たる意志を持った瞳でサヴェロはアイオスを見つめた。

『……了解しました。それでは今後ともよろしくお願いします』

 その覚悟を汲み取ったアイオスはそれ以上何も言わず、サヴェロを歓迎した。

「こちらこそよろしく」

『ここで一つ提案なのですが』

「ん? 何?」

『私の事はサヴェロ様がお使いになって下さい』

「俺がアイオスを?」

『はい。先程の戦闘で、貴方は私を扱うに相応しい方だと判断しました。貴方なら私の力を十全に発揮できるでしょう。それだけの力が貴方にはある』

「アイオスがいいなら、俺は構わないよ」

『了解です。それでは今後、貴方の事をマスターと、そうお呼びします』

「マ、マスター?」

『そうです。私を扱う方、故に主人(マスター)』

 アイオスからの新しい呼び名に、サヴェロは苦笑いを浮かべながらも、アイオスを手に取った。そして、アイオスをメリダと並べるように掲げるとサヴェロは苦笑から爽やかな笑顔に表情を変え「それじゃあ改めてよろしくな」とこれから旅をする仲間達に挨拶をした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

田舎おじさんのダンジョン民宿へようこそ!〜元社畜の俺は、民宿と配信で全国初のダンジョン観光地化を目指します!〜

咲月ねむと
ファンタジー
東京での社畜生活に心身ともに疲れ果てた主人公・田中雄介(38歳)が、故郷の北海道、留咲萌町に帰郷。両親が遺したダンジョン付きの古民家を改装し、「ダンジョン民宿」として開業。偶然訪れた人気配信者との出会いをきっかけに、最初の客を迎え、民宿経営の第一歩を踏み出す。 笑えて、心温かくなるダンジョン物語。 ※この小説はフィクションです。 実在の人物、団体などとは関係ありません。 日本を舞台に繰り広げますが、架空の地名、建造物が物語には登場します。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

処理中です...