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第一章 転生アンマリア
第19話 どうやらルートは二択のようです?
出てきたのは宰相だった。今回の夜会の主催は国王と王妃である。なので、そのすぐ下である宰相が出てくるのは当然と言えば当然かしら。
「皆の者、大変お待たせした。国王陛下、ならびに王妃殿下、フィレン殿下、リブロ殿下のご入場である」
宰相の声に、注目が前方の玉座に集中する。すると、部隊の裾から国王たちがゆっくりと現れ、国王と王妃が玉座の前に立ち、王子たち二人はその両脇に立っている。王族全員の登場に、会場に集まった貴族たちは頭を下げている。さすがは王国の貴族たち。子どもたちも含めて見事に動きが揃っていた。これにはさすがに驚いてしまったわ。
この会場には洗礼式を終えた子どもたちも集まっていた。実はこの夜会はデビュタントも兼ねているので、こうやって子どもたち参加しているというわけなの。
この国の子どもたちは8歳になると洗礼式を受けて恩恵を授かる。その後行われる最初の夜会で、こうやって社交界デビューをするのである。それを思えば、リブロ殿下が居るというのは王族ゆえの例外と言える。ちなみに会場には洗礼式を終えたばかりの8歳児ばかりではなく、それ以外の子どもたちもちゃんと居たりする。
全員が頭を下げ静まり返る中、国王が口を開く。
「よく集まってくれたな、皆の者。頭を上げて楽にして構わぬぞ」
この言葉で一斉に敬礼を解除する一同。
「洗礼式を終えた子どもたちよ、この国の者としての責務の第一歩を果たした事を我々は労おうぞ」
国王の労いの言葉に、私たちは再び頭を下げる。多くの子どもたちは親に促されるようにして頭を下げていたようだ。
「本来はこの後、宰相からいろいろ話があって終わりなのだが、今回の夜会は重大発表があるので、私から直々に発表させてもらうとしよう」
国王が一歩前に出てくる。その様子を見て、私はやっぱりかとため息を吐いてしまった。そしたら、父親と母親から揃って肘で小突かれてしまった。これは失敗。
私が両親から注意されている間、国王が宰相との間で顔を見合わせて頷き合っていた。そして、宰相が会場の方を見る。
「先日行われた洗礼式の結果をもって、ここに我々はフィレン殿下とリブロ殿下の婚約者候補を立てる事に決定した。だが、あくまで候補であって、正式決定ではない。そこは留意されたし」
宰相から告げられると、会場内に集まった貴族たちが騒めき出す。王子たちは今8歳と7歳なのだから、早いのではないかというような事なのだろうか。理由はどうあれ、反応としては批判寄りのようだ。この批判はこの後、さらに強まる事となる。
「アンマリア・ファッティ伯爵令嬢、サキ・テトリバー男爵令嬢、前に出てきなさい」
「はい」
宰相に名前を呼ばれて返事をする私とサキ。そして、言われるがままに前に出ていった私たちは、よく見えるようにと国王たちの居る場所と同じ壇上へと登らされてしまった。そうしたら丸々と太った私とすらりと痩せたサキの対比が、これでもかと言わんばかりに目立ってしまっている。いやまあ、なんとも恥ずかしいわね。何の公開処刑なのだろうか。正直私はここから逃げ出したかった。
壇上に上がった私たちは、国王から声を掛けられて、夜会に集まっている貴族たちの方へと振り向いた。正直言って、貴族たちから向けられる視線が怖かった。
「我らの協議の結果、このアンマリア・ファッティ伯爵令嬢とサキ・テトリバー男爵令嬢を、我が息子たちの婚約者候補とする事に決定した」
国王の言葉が会場に響き渡ると、どよめきがさらに大きくなる。
「静粛に! 国王陛下の御前である、静まりなさい!」
間髪入れずに宰相の声が響き渡る。すると、会場の中のざわめきは、一瞬で静まり返った。
「諸君らもいろいろと思うところもあるだろうが、今回のこの決定は、洗礼式の結果と我が息子フィレンからの進言があって決定した事だ。先に釘を刺しておくが、今は候補とはいえ、この二人が国にとって重要な人物である事に変わりはない。よって、二人にもし危害を加えるような事があれば、我ら王家への反逆と見なす事になる。その事をよく肝に銘じておくがよいぞ」
国王からもしっかりはっきりと言い渡された事で、貴族たちは黙り込むしかなかった。正直、太っている私と貴族最下位の男爵家の令嬢が婚約者候補に選ばれた事は、多くの貴族の中では屈辱的だと考えているはず。いろいろと追い落としを考える者もいるだろうから、国王に先回りをされて封じられたわけだから、そりゃもう苦虫を噛み潰したような表情しかできないというわけなのだ。
まあ、私は襲われたって自動で身を守れるように防御魔法を張り巡らせているから平気なんだけど、サキはそうはいかないものね。それを考えれば、国王の対応は評価できるものだわ。
だけど、この後は実に予想通りの事で私は顔を青ざめさせた。婚約者候補の披露という事で、フィレン殿下とリブロ殿下とそれぞれ踊る事になったのだから。ただ、私の方はこの数日の特訓でなんとか対応ができていたものの、サキの方は予想通り何度となく殿下の足を踏み抜きかけていた。しかし、そこは二人のリードが上手だったのか、どうにか事なきを得ていたようで安心した。踊り終わった時には、会場からは嫌々ながらの拍手が沸き起こっていた。もう皆の顔が……ね、うん……。
どうにか無事に婚約者候補のお披露目が終わったところで、ここからがこの日の夜会は本番。何事もありませんよーに!
「皆の者、大変お待たせした。国王陛下、ならびに王妃殿下、フィレン殿下、リブロ殿下のご入場である」
宰相の声に、注目が前方の玉座に集中する。すると、部隊の裾から国王たちがゆっくりと現れ、国王と王妃が玉座の前に立ち、王子たち二人はその両脇に立っている。王族全員の登場に、会場に集まった貴族たちは頭を下げている。さすがは王国の貴族たち。子どもたちも含めて見事に動きが揃っていた。これにはさすがに驚いてしまったわ。
この会場には洗礼式を終えた子どもたちも集まっていた。実はこの夜会はデビュタントも兼ねているので、こうやって子どもたち参加しているというわけなの。
この国の子どもたちは8歳になると洗礼式を受けて恩恵を授かる。その後行われる最初の夜会で、こうやって社交界デビューをするのである。それを思えば、リブロ殿下が居るというのは王族ゆえの例外と言える。ちなみに会場には洗礼式を終えたばかりの8歳児ばかりではなく、それ以外の子どもたちもちゃんと居たりする。
全員が頭を下げ静まり返る中、国王が口を開く。
「よく集まってくれたな、皆の者。頭を上げて楽にして構わぬぞ」
この言葉で一斉に敬礼を解除する一同。
「洗礼式を終えた子どもたちよ、この国の者としての責務の第一歩を果たした事を我々は労おうぞ」
国王の労いの言葉に、私たちは再び頭を下げる。多くの子どもたちは親に促されるようにして頭を下げていたようだ。
「本来はこの後、宰相からいろいろ話があって終わりなのだが、今回の夜会は重大発表があるので、私から直々に発表させてもらうとしよう」
国王が一歩前に出てくる。その様子を見て、私はやっぱりかとため息を吐いてしまった。そしたら、父親と母親から揃って肘で小突かれてしまった。これは失敗。
私が両親から注意されている間、国王が宰相との間で顔を見合わせて頷き合っていた。そして、宰相が会場の方を見る。
「先日行われた洗礼式の結果をもって、ここに我々はフィレン殿下とリブロ殿下の婚約者候補を立てる事に決定した。だが、あくまで候補であって、正式決定ではない。そこは留意されたし」
宰相から告げられると、会場内に集まった貴族たちが騒めき出す。王子たちは今8歳と7歳なのだから、早いのではないかというような事なのだろうか。理由はどうあれ、反応としては批判寄りのようだ。この批判はこの後、さらに強まる事となる。
「アンマリア・ファッティ伯爵令嬢、サキ・テトリバー男爵令嬢、前に出てきなさい」
「はい」
宰相に名前を呼ばれて返事をする私とサキ。そして、言われるがままに前に出ていった私たちは、よく見えるようにと国王たちの居る場所と同じ壇上へと登らされてしまった。そうしたら丸々と太った私とすらりと痩せたサキの対比が、これでもかと言わんばかりに目立ってしまっている。いやまあ、なんとも恥ずかしいわね。何の公開処刑なのだろうか。正直私はここから逃げ出したかった。
壇上に上がった私たちは、国王から声を掛けられて、夜会に集まっている貴族たちの方へと振り向いた。正直言って、貴族たちから向けられる視線が怖かった。
「我らの協議の結果、このアンマリア・ファッティ伯爵令嬢とサキ・テトリバー男爵令嬢を、我が息子たちの婚約者候補とする事に決定した」
国王の言葉が会場に響き渡ると、どよめきがさらに大きくなる。
「静粛に! 国王陛下の御前である、静まりなさい!」
間髪入れずに宰相の声が響き渡る。すると、会場の中のざわめきは、一瞬で静まり返った。
「諸君らもいろいろと思うところもあるだろうが、今回のこの決定は、洗礼式の結果と我が息子フィレンからの進言があって決定した事だ。先に釘を刺しておくが、今は候補とはいえ、この二人が国にとって重要な人物である事に変わりはない。よって、二人にもし危害を加えるような事があれば、我ら王家への反逆と見なす事になる。その事をよく肝に銘じておくがよいぞ」
国王からもしっかりはっきりと言い渡された事で、貴族たちは黙り込むしかなかった。正直、太っている私と貴族最下位の男爵家の令嬢が婚約者候補に選ばれた事は、多くの貴族の中では屈辱的だと考えているはず。いろいろと追い落としを考える者もいるだろうから、国王に先回りをされて封じられたわけだから、そりゃもう苦虫を噛み潰したような表情しかできないというわけなのだ。
まあ、私は襲われたって自動で身を守れるように防御魔法を張り巡らせているから平気なんだけど、サキはそうはいかないものね。それを考えれば、国王の対応は評価できるものだわ。
だけど、この後は実に予想通りの事で私は顔を青ざめさせた。婚約者候補の披露という事で、フィレン殿下とリブロ殿下とそれぞれ踊る事になったのだから。ただ、私の方はこの数日の特訓でなんとか対応ができていたものの、サキの方は予想通り何度となく殿下の足を踏み抜きかけていた。しかし、そこは二人のリードが上手だったのか、どうにか事なきを得ていたようで安心した。踊り終わった時には、会場からは嫌々ながらの拍手が沸き起こっていた。もう皆の顔が……ね、うん……。
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