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第一章 転生アンマリア

第49話 キャラが少なくても情報量は多いです

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 さて、本命たる攻略対象たち。

 まずは国の第一王子フィレン・サーロイン。さすがは王族の名前というか、いい部位が名前の由来となっている。あっ、よだれが……。
 金髪碧眼の軽いウェーブのかかった髪型に甘いマスク。さすがは王子というべき理想的な姿をしている。
 スタート時点で120kgある私にとってしてみれば、最難関たる体重55kg未満という厳しい攻略条件の上に、ドーピングをすればほぼ容赦なくサキと一緒に断罪をしてくる鬼畜王子である。なので、平穏に済ませるにはこの断罪一直線のドーピング薬のイベントを発生させない事が重要なのよね。2年目スタートまでに100kg以上で、フィレン王子の好感度が上がっていると発生するのよね。休日に王都にお出かけすると発生しちゃうので、発生自体の回避はほぼ困難。フィレン王子以外だと、ドーピングなしでもなんとか条件を満たせるけれど、王子だけはほぼ無理だから仕方がないわよね。一年間で50kg以上体重減らすなんて苦行を超えた何かよ。

 そして、次は第二王子リブロ・サーロイン。リブロというのはリブロースからの発想ね。本当においしそうな名前だわ、じゅるり。
 兄のフィレンと同じ金髪碧眼で、髪の毛はこちらの方が長い。隠しキャラで年は1つ下なので、おのずと出現は1年遅れる事になるわね。
 兄が王位を継ぐ事が濃厚なので、リブロは学園に通うものの出現はまれだし、1年目はどうあがいても絶対に出てこない。これが王子様って奴か。
 攻略での鍵は兄へのコンプレックスの解消だけど、さすがに現実じゃ隠れキャラになんかならなかったわね。既に会ってしまっているもの。
 ゲームではとにかく確率ながらに出現させながら必死に攻略だったけれど、現実はどうなるかしら……。

 王子たちに一番近いと言えば、侯爵子息であるタカー・ブロックかしら。由来は肩ブロック。
 父親はバラクーダ・ブロック侯爵で、こっちの由来はおそらく『バラブロック食うだ』でしょうね。本編出てこなかった人だけど。
 名前がブロック肉という事だし、父親が宰相という立場にあるのでお堅い人物かと思ったけれど、バッサーシ領へ出向いた時の様子を見る限り、幼い時はそういう感じはなかった模様。むしろ周りへの興味は強かった気がするわね。
 髪は意外と銀髪のストレートで、右目は隠しながら左側は額丸出しという感じの髪型。瞳はエメラルドのようなきれいな緑色。きれいな見た目でいて、なおかつ堅物感のある姿なのだ。
 モモのところでも言ったけれど、ライバルとなるモモは積極的にアピールしない。タカーとは知らず知らずのうちに惹かれ合うという、結構しっかりとした恋愛関係になるのだ。このルートでは、タカーが私とモモのどっちを選ぶかで悩むかというより、モモが私とタカーのどっちを選ぶかという不思議なシナリオだったと記憶しているわね。
 ちなみにこのエンディングでは、宰相の妻として私も手腕を発揮しているわ。うん、アンマリアってば本当になんでもできるわね。

 同じく王子の近くに居ると言えば、騎士を目指すタン・ミノレバー。お肉だけどお肉じゃない部位ばかりね。
 辺境伯令嬢であるサクラ同様の脳筋族で、サクラよりもひどい脳筋。喋るよりは行動、考えるよりも行動、とにかく口よりも手が出る直感タイプ。
 赤い髪が炎のように見える髪型で、瞳は予想外に青い。
 家は代々が騎士を務めてきている騎士一家で、そもそもミノレバー家の始まりも一兵士だった先祖が上げた武勲から。
 攻略は分かりやすくひたすら筋トレすればいいというね。RTAじゃないんだからさ……。とはいえ、最後の最後に驚くような仕掛けがあって驚かされたプレイヤーもそれなりに居た模様。私もその一人。
 攻略対象として選ばれなかった彼はサクラと結婚して、辺境伯領で伝説を作る事になるらしい。

 最後は伯爵令息のカービル・バラロースね。『ハラロース』でも『バラローズ』でもないわ、『バラロース』よ。説明は割愛。
 青色の髪色と紫の瞳が特徴的な物静かな男性ね。髪型としてはタカーとは分け方が逆。左目が隠れがちな前髪が特徴で、髪質はストレート。長さは肩にかかるくらいよ。
 ただ、このカービルはなかなかにマザコンで、その母親が太っていたからか、かなりぽっちゃりしている人を好む模様。ちなみに彼の体格は一般的なもの。
 まあ、そのせいで一番攻略が楽。求められるステータスは低いし、ひたすら甘やかしていればとりあえずはオッケー。ちょろい。
 そんな彼でもやっぱり地雷は用意されているもので、そこだけ気を付ければあっさりハッピーエンドになる。
 ちなみに彼の家も私の父親同様に国政のそれなりの部分を担っているので、人物としては重要なのよね。そこはゲームでも軽く語られていたし、転生してからも調べさせてもらったわ。

 それ以外に攻略をしていく上で起きるイベントも、覚えている限り全部書き込んでいく私。気が付けば空が白み始めていた。
「ふぅ、やっぱりひと晩掛かっちゃったか。今からでも遅くないわ。このメモは引き出しにしまって寝ましょうか」
 ひと通り大仕事を終えた私は、眠い目をこすりながらベッドへと入る。そして、すやぁっと眠りに就いたのだった。
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