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第一章 転生アンマリア
第50話 導入はおしまいです
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私が起きたのは昼を過ぎてしまっていた。昼ご飯も終わってる。
「うわぁああっ!」
とても令嬢らしからぬ声を出す私だったが、スーラを呼んで身支度を整え、アラブミに無理を言って簡単な昼食を食べると、私は両親に謝罪に行った。さすがに徹夜したからとはいっても寝過ごした事は事実なわけで、そこはちゃんと謝っておくべきだと考えたのだ。
一応らしい言い訳をしておいたら、罰として魔石ペンの量産化と新しいアイディアを出すように言われた。これを聞くに、どうやらボンジール商会に汚名返上と名誉挽回の機会を与えたようと動いているようだ。王国の中ではそこそこ大きいだけに、救済措置を出す模様。やらかしたなら潰せばいいと思っても、そうはいかない事情があるという事だ。
それに、知っているのは王家とファッティ伯爵家、それとテトリバー男爵家だけである。他に知っているのはこれに直接かかわった貴族たち。しかし、それらの貴族は男爵に降爵、または爵位剥奪なので、大した影響はもうないのだ。王家とファッティ伯爵家でいくらでも握り潰せるし、彼らには監視の目が付いているのでおとなしくなるはずである。
「お姉様、何をなさっておられるのですか?」
部屋に閉じこもっている私を気に掛けたのか、モモが部屋へとやって来ていた。さすがは愛され少女の恩恵を受けたモモは、伯爵家の財力でますます可愛らしくなっていた。目に入れても痛くはない。
「ああ、モモ。今から魔石ペンを作ろうと思いましてね」
「魔石ペン?」
私の返答に、モモは目を白黒させていた。何か分からないという感じだろう。
「ボンジール商会からお詫びで魔石を頂きましたのでね、これらを使って魔石ペンを作るのです。ちょっと見ていきますか?」
「はい、ぜひとも」
というわけで、私はモモが見ている中、魔石ペンを作っていく。魔石を片方の先の尖った円柱に変化させていき、ケルピーの骨を変化させた円柱に入れる。そして、ノックする部分を魔石に魔力で接着させると、それを閉じ込めるように円柱のお尻側を出っ張らせていく。内部の細かい構造はまぁこの際置いておくけれど、これで魔石ペンが完成したわよ。
「お姉様って、錬金魔法が使えますのね」
「まぁね。あとはイメージの問題かしらね。まぁ発想の元は詳しくは教えられないけれど、思い付きっていうのは重要だと思いますよ」
錬金魔法というのは、物質を思うように変化させられる魔法の事らしいのだけれど、そこそこ存在するので、珍しいは珍しいけれどそこまででもないみたい。元子爵令嬢であるモモが知っているくらいだから、そこそこの認知度がちゃんとあるようだ。
モモも試しに作ろうとしていたけれど、火属性の適性だけではイメージができたとしても加工は厳しそうだった。その頑張る姿は微笑ましく思えたけれど、モモには魔法の制御の練習として、他の雑魚の魔物の骨で練習をさせてみたわ。
で、結局この後はスーラが夕食に呼びに来るまで、私たちは魔石ペンを作り続けていたというわけ。
数日後。
「で、できましたわ、お姉様!」
モモが何かを作り上げたようである。本当は火魔法で柔らかくして、土魔法で延ばし、風魔法で形を変え、水魔法で固定化させるんだけど、モモは努力の甲斐あってか、火魔法だけで魔物の骨を変形、加工してしまったのである。作り上げたのは髪をはさみ込んで止めるバレッタだ。さすがはアンマリアの一番の親友である。
「どうでしょうか」
モモはバレッタを私に見せてくる。だが、私は道具の専門家ではないので、他の人にも見てもらう事を提案する。モモは渋っていたものの、とりあえずは母親に見せる事となった。
「まあ、アンマリア、モモ、どうしたのかしら」
刺繍の作業中だった母親の元を訪れる私たち。そこで、モモの初めて作ったバレッタを見せてみると、母親は刺繍をやめてずいぶんと熱心にバレッタを見ていた。
「まあまあ、ずいぶんいい感じにできてるじゃないの。それで、これを作ったのは?」
「モモです。火の適性しかないモモですけれど、頑張ってついに加工技術を身に付けたのですよ」
母親の質問に、私が満面の笑みで答えた。
「そうなのね。ふふっ、アンマリアのお願いで迎え入れたかいがあるというものね。こんな才能を腐らせておくなんてもったいなさすぎるわ」
本当にその通りだと思う。あのまま元子爵の両親の下においておけば、間違いなく飼い殺しだっただろう。これは本当によかったと思う。両親は自業自得だから知らないけれど。
さて、そんなこんなでモモを義理の妹にしてからというもの、毎日が楽しいものである。
しかし、私の転生生活はこれからが本番なのよ。
待ってなさいよ。必ず私は太っちょ生活から脱してやるんだからね!
「うわぁああっ!」
とても令嬢らしからぬ声を出す私だったが、スーラを呼んで身支度を整え、アラブミに無理を言って簡単な昼食を食べると、私は両親に謝罪に行った。さすがに徹夜したからとはいっても寝過ごした事は事実なわけで、そこはちゃんと謝っておくべきだと考えたのだ。
一応らしい言い訳をしておいたら、罰として魔石ペンの量産化と新しいアイディアを出すように言われた。これを聞くに、どうやらボンジール商会に汚名返上と名誉挽回の機会を与えたようと動いているようだ。王国の中ではそこそこ大きいだけに、救済措置を出す模様。やらかしたなら潰せばいいと思っても、そうはいかない事情があるという事だ。
それに、知っているのは王家とファッティ伯爵家、それとテトリバー男爵家だけである。他に知っているのはこれに直接かかわった貴族たち。しかし、それらの貴族は男爵に降爵、または爵位剥奪なので、大した影響はもうないのだ。王家とファッティ伯爵家でいくらでも握り潰せるし、彼らには監視の目が付いているのでおとなしくなるはずである。
「お姉様、何をなさっておられるのですか?」
部屋に閉じこもっている私を気に掛けたのか、モモが部屋へとやって来ていた。さすがは愛され少女の恩恵を受けたモモは、伯爵家の財力でますます可愛らしくなっていた。目に入れても痛くはない。
「ああ、モモ。今から魔石ペンを作ろうと思いましてね」
「魔石ペン?」
私の返答に、モモは目を白黒させていた。何か分からないという感じだろう。
「ボンジール商会からお詫びで魔石を頂きましたのでね、これらを使って魔石ペンを作るのです。ちょっと見ていきますか?」
「はい、ぜひとも」
というわけで、私はモモが見ている中、魔石ペンを作っていく。魔石を片方の先の尖った円柱に変化させていき、ケルピーの骨を変化させた円柱に入れる。そして、ノックする部分を魔石に魔力で接着させると、それを閉じ込めるように円柱のお尻側を出っ張らせていく。内部の細かい構造はまぁこの際置いておくけれど、これで魔石ペンが完成したわよ。
「お姉様って、錬金魔法が使えますのね」
「まぁね。あとはイメージの問題かしらね。まぁ発想の元は詳しくは教えられないけれど、思い付きっていうのは重要だと思いますよ」
錬金魔法というのは、物質を思うように変化させられる魔法の事らしいのだけれど、そこそこ存在するので、珍しいは珍しいけれどそこまででもないみたい。元子爵令嬢であるモモが知っているくらいだから、そこそこの認知度がちゃんとあるようだ。
モモも試しに作ろうとしていたけれど、火属性の適性だけではイメージができたとしても加工は厳しそうだった。その頑張る姿は微笑ましく思えたけれど、モモには魔法の制御の練習として、他の雑魚の魔物の骨で練習をさせてみたわ。
で、結局この後はスーラが夕食に呼びに来るまで、私たちは魔石ペンを作り続けていたというわけ。
数日後。
「で、できましたわ、お姉様!」
モモが何かを作り上げたようである。本当は火魔法で柔らかくして、土魔法で延ばし、風魔法で形を変え、水魔法で固定化させるんだけど、モモは努力の甲斐あってか、火魔法だけで魔物の骨を変形、加工してしまったのである。作り上げたのは髪をはさみ込んで止めるバレッタだ。さすがはアンマリアの一番の親友である。
「どうでしょうか」
モモはバレッタを私に見せてくる。だが、私は道具の専門家ではないので、他の人にも見てもらう事を提案する。モモは渋っていたものの、とりあえずは母親に見せる事となった。
「まあ、アンマリア、モモ、どうしたのかしら」
刺繍の作業中だった母親の元を訪れる私たち。そこで、モモの初めて作ったバレッタを見せてみると、母親は刺繍をやめてずいぶんと熱心にバレッタを見ていた。
「まあまあ、ずいぶんいい感じにできてるじゃないの。それで、これを作ったのは?」
「モモです。火の適性しかないモモですけれど、頑張ってついに加工技術を身に付けたのですよ」
母親の質問に、私が満面の笑みで答えた。
「そうなのね。ふふっ、アンマリアのお願いで迎え入れたかいがあるというものね。こんな才能を腐らせておくなんてもったいなさすぎるわ」
本当にその通りだと思う。あのまま元子爵の両親の下においておけば、間違いなく飼い殺しだっただろう。これは本当によかったと思う。両親は自業自得だから知らないけれど。
さて、そんなこんなでモモを義理の妹にしてからというもの、毎日が楽しいものである。
しかし、私の転生生活はこれからが本番なのよ。
待ってなさいよ。必ず私は太っちょ生活から脱してやるんだからね!
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