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第四章 学園編・1年後半
第167話 暇人襲来
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学園祭も迫ってきた日の事、またまたあの子がやって来た。
「お久しぶりです、アンマリア」
「え、エスカ王女殿下? 何しにいらしたんですか?」
そう、エスカだった。なんでこんなに頻繁に来れるんですかね、この子。王女なんだからいろいろ大変でしょうにねぇ?
「王女殿下は、陛下たちを来年からの留学に向けて見学とか言いくるめて、今回の学園祭に行く許可を取られました」
エスカの従者がしれっと答えてきた。聞いてもないけれど、私の顔を見て察したのでしょうね。勘のいい従者のおかげで話がスムーズだわ。
それにしても、私も無茶苦茶をしている方な気がするんだけど、エスカもかなりよね。第一、年に三度も他国にホイホイ出かけるというのが、王女としてあり得る話なのかしらね。自国に帰省するっていうならまだしもさ。そういった意味で本当に奔放だと思う。
「それに、私たちミール王国も今回は出店させて頂きますからね。こっそりと申請を出しておきましたのよ。おほほほほ」
なんともまぁ、相変わらず突拍子のない事をする王女様である。大胆だったり強かだったり、性格がつかめないお姫様だと思う。これで私と同じ異世界からの転生者なんだから信じられないわ。まあ、乙女ゲームだと気付けなかったから、知識無双でもしようとして暴走した結果なんでしょうね。私は遠い目をしたのだった。
「ま、まあ、そこまで言うのなら期待させてもらおうじゃないかしら。海産物かしらね」
私がそう言うと、エスカは指を立てて左右に指を振る。
「ちっちっちっ、甘いわね、アンマリア。ミール王国が海に面しているからといってそうとは限らないわ。ただ……」
「ただ?」
エスカがもったいぶるので私がそれに乗っかる。
「今は内緒よ。当日楽しみにしていてちょうだい」
「……まあ、そうよね。期待はさせてもらうわよ」
エスカが両手を腰に当ててドヤ顔をするので、私は呆れながらも普通に対応しておいた。
「というか、なんで城じゃなくて私の家に直接来られたのかしら」
「何を言っているのかしら。私とアンマリアとの仲じゃないの。ちなみに他の従者や護衛たちには城に行ってもらったわ。それと、先触れ自体は出してましてよ。アンマリアには言わないようにしておきましたから、サプライズ成功ですわね」
めちゃくちゃ満足そうなエスカである。
それにしても私に対して内緒って……、エスカもモモもちょっと人が悪くなくって?!
「あら、エスカ様。いらしてたんですね」
エスカの後ろからモモが現れる。どうやら今帰ってきたらしい。
「モモじゃありませんの、元気してましたか?」
「はい、見ての通り元気にしております」
エスカとモモが仲良く話をしている。あれだけびびっていたモモが、エスカと平然と話をしているなんて……。ああ、姉として感激してしまうわ。
でも、そんな事よりも気になる事を私はモモに問い掛ける。
「モモ」
「なんでしょうか、お姉様」
「学園祭の出し物の準備は順調かしら」
「はい、滞りなく進んでいます。お姉様にも内容をお話しできないのはつらいですが、お姉様はお気になさらず剣術大会に集中して下さいませ」
モモは申し訳なさそうな顔をしながら答えた後、にこりと笑って私の応援をしてきた。これは怒れないわね。
「ええ、当日は楽しみにしておいて下さいな。私の剣で武術型の連中をばったばったと倒して差し上げますから」
私が素振りをするような仕草を見せると、
「ええ、お姉様。期待しております」
モモは驚いた表情をした後、また笑顔になってそう言ってくれた。くうう、モモは可愛いわねえ。
「えっ、アンマリア。剣術大会に出るの?」
ゲームの内容を覚えているのか、エスカがドン引きしながら私に確認してくる。
「ええ、出ますわよ。体格の事を気にしてらっしゃるんでしたら、ご安心下さいませ。これでもそれなりに動く事はできますから」
なまじゲームの内容を知っているエスカの反応に、少し青筋を立てながら私は反論しておいた。勝手に負ける前提で話をしないでもらいたいわね。
「ま、まあ、アンマリアならお兄様に後れを取るような事はないでしょうけれど、あまり無茶をしないで下さいませ。何かあればご家族の方が卒倒なさいますわよ」
「残念ね、参加表明の際に既に卒倒していますわ」
否定かと思いきや、既に起きていたようである。まあ、今の親バカな両親からすれば当然の反応だろう。
「もう倒れられていたのね……。アンマリアのお父様はこの国の大臣なのでしょう? あまり心労は掛けない方がいいですわよ……」
エスカに呆れられるなんて心外だわね。そういうあなたの父親はミール国の国王でしょうが。
私はツッコミを入れようとしたけれど、その言葉をごくりと飲み込んだ。
「そうですわね。何かあってからでは遅いですし、その忠告、ありがたくお受け致します」
私はとにかく抑えてエスカに頭を下げておいた。
「お姉様、そろそろ中に入りましょう。エスカ様、従者の方、お屋敷の中へ案内致します」
やれやれと思っている私に声を掛けたモモ。そして、そのままエスカの案内を申し出ていた。本当に成長したわね、モモ。
館の中へと入っていった私たちは、エスカの到着を両親へと報告したのだった。
何にしても、このエスカの到着をもって、学園に役者たちが勢ぞろいする事になった。
さあ、1年目の学園祭はどんな事が起きるのかしらね。わくわくが止まらないわ。
「お久しぶりです、アンマリア」
「え、エスカ王女殿下? 何しにいらしたんですか?」
そう、エスカだった。なんでこんなに頻繁に来れるんですかね、この子。王女なんだからいろいろ大変でしょうにねぇ?
「王女殿下は、陛下たちを来年からの留学に向けて見学とか言いくるめて、今回の学園祭に行く許可を取られました」
エスカの従者がしれっと答えてきた。聞いてもないけれど、私の顔を見て察したのでしょうね。勘のいい従者のおかげで話がスムーズだわ。
それにしても、私も無茶苦茶をしている方な気がするんだけど、エスカもかなりよね。第一、年に三度も他国にホイホイ出かけるというのが、王女としてあり得る話なのかしらね。自国に帰省するっていうならまだしもさ。そういった意味で本当に奔放だと思う。
「それに、私たちミール王国も今回は出店させて頂きますからね。こっそりと申請を出しておきましたのよ。おほほほほ」
なんともまぁ、相変わらず突拍子のない事をする王女様である。大胆だったり強かだったり、性格がつかめないお姫様だと思う。これで私と同じ異世界からの転生者なんだから信じられないわ。まあ、乙女ゲームだと気付けなかったから、知識無双でもしようとして暴走した結果なんでしょうね。私は遠い目をしたのだった。
「ま、まあ、そこまで言うのなら期待させてもらおうじゃないかしら。海産物かしらね」
私がそう言うと、エスカは指を立てて左右に指を振る。
「ちっちっちっ、甘いわね、アンマリア。ミール王国が海に面しているからといってそうとは限らないわ。ただ……」
「ただ?」
エスカがもったいぶるので私がそれに乗っかる。
「今は内緒よ。当日楽しみにしていてちょうだい」
「……まあ、そうよね。期待はさせてもらうわよ」
エスカが両手を腰に当ててドヤ顔をするので、私は呆れながらも普通に対応しておいた。
「というか、なんで城じゃなくて私の家に直接来られたのかしら」
「何を言っているのかしら。私とアンマリアとの仲じゃないの。ちなみに他の従者や護衛たちには城に行ってもらったわ。それと、先触れ自体は出してましてよ。アンマリアには言わないようにしておきましたから、サプライズ成功ですわね」
めちゃくちゃ満足そうなエスカである。
それにしても私に対して内緒って……、エスカもモモもちょっと人が悪くなくって?!
「あら、エスカ様。いらしてたんですね」
エスカの後ろからモモが現れる。どうやら今帰ってきたらしい。
「モモじゃありませんの、元気してましたか?」
「はい、見ての通り元気にしております」
エスカとモモが仲良く話をしている。あれだけびびっていたモモが、エスカと平然と話をしているなんて……。ああ、姉として感激してしまうわ。
でも、そんな事よりも気になる事を私はモモに問い掛ける。
「モモ」
「なんでしょうか、お姉様」
「学園祭の出し物の準備は順調かしら」
「はい、滞りなく進んでいます。お姉様にも内容をお話しできないのはつらいですが、お姉様はお気になさらず剣術大会に集中して下さいませ」
モモは申し訳なさそうな顔をしながら答えた後、にこりと笑って私の応援をしてきた。これは怒れないわね。
「ええ、当日は楽しみにしておいて下さいな。私の剣で武術型の連中をばったばったと倒して差し上げますから」
私が素振りをするような仕草を見せると、
「ええ、お姉様。期待しております」
モモは驚いた表情をした後、また笑顔になってそう言ってくれた。くうう、モモは可愛いわねえ。
「えっ、アンマリア。剣術大会に出るの?」
ゲームの内容を覚えているのか、エスカがドン引きしながら私に確認してくる。
「ええ、出ますわよ。体格の事を気にしてらっしゃるんでしたら、ご安心下さいませ。これでもそれなりに動く事はできますから」
なまじゲームの内容を知っているエスカの反応に、少し青筋を立てながら私は反論しておいた。勝手に負ける前提で話をしないでもらいたいわね。
「ま、まあ、アンマリアならお兄様に後れを取るような事はないでしょうけれど、あまり無茶をしないで下さいませ。何かあればご家族の方が卒倒なさいますわよ」
「残念ね、参加表明の際に既に卒倒していますわ」
否定かと思いきや、既に起きていたようである。まあ、今の親バカな両親からすれば当然の反応だろう。
「もう倒れられていたのね……。アンマリアのお父様はこの国の大臣なのでしょう? あまり心労は掛けない方がいいですわよ……」
エスカに呆れられるなんて心外だわね。そういうあなたの父親はミール国の国王でしょうが。
私はツッコミを入れようとしたけれど、その言葉をごくりと飲み込んだ。
「そうですわね。何かあってからでは遅いですし、その忠告、ありがたくお受け致します」
私はとにかく抑えてエスカに頭を下げておいた。
「お姉様、そろそろ中に入りましょう。エスカ様、従者の方、お屋敷の中へ案内致します」
やれやれと思っている私に声を掛けたモモ。そして、そのままエスカの案内を申し出ていた。本当に成長したわね、モモ。
館の中へと入っていった私たちは、エスカの到着を両親へと報告したのだった。
何にしても、このエスカの到着をもって、学園に役者たちが勢ぞろいする事になった。
さあ、1年目の学園祭はどんな事が起きるのかしらね。わくわくが止まらないわ。
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