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第六章 2年目後半
第304話 報告のお時間です
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翌日、私とサクラはやむなく瞬間移動魔法でサーロイン王城まで跳んだ。さすがに一週間も国を空けてしまったのだから、特にモモが心配でならなかった。
「ただいま戻りました」
「国王陛下、王妃殿下」
私とサクラはすぐさま国王夫妻に謁見をする。そして、すぐさま隣国ベジタリウス王国であった事を報告しておいた。
国王夫妻はあまりに衝撃的な事に、しばらく言葉を失っていたようだった。
「それはまた……。パセラは大丈夫だったのか?」
「はい、すぐに私が防護魔法を張って、サクラ様が刺客を取り押さえましたので問題はございません。念のために、ベジタリウス王城に結界は展開した上で戻って参りました」
「そうか……」
とりあえず無事だったという報告を聞いて、国王は椅子に深く腰を掛けていた。こうやって見る限り、サーロイン王国とベジタリウス王国の間には、不和というものはない感じだわね。
「それで、何か情報を仕入れてくる事はできたのか?」
「はい、パセラ国王陛下の許可を得て書庫の閲覧を行いました。実に有意義な時間だったと思います」
私はそう言いながら、収納魔法からメモ書きをした紙を取り出した。ちなみに複製魔法を使ったので、このメモ書きはいくつも存在している。こういう重要書類を1部しか作らないなんて真似、するわけないでしょう?
「これは?」
「書庫で調べ上げてきた内容をまとめた報告書でございます。魔法で複製してありますので、陛下にお渡ししてもまったく問題ございません」
「そうか。……さらりととんでもない事をしてくれるな、お前は」
困惑の表情で固まっていた国王だったが、驚きのせいでもっと複雑な顔になっていた。
「調べてみた限りですと、ベジタリウス王国の北部に魔王は封印されたというような記述が見当たります。事実とするなら、魔王の力を宿した呪具がベジタリウス王国に存在していてもまったく不思議でありません。イスンセなる人物が持っていたとしても不思議ではないでしょう。ただ……」
説明する私は、ここで一度言葉を途切れさせる。
それというのも、呪具に関する効力について疑問が浮かんでいたからだった。推測ではあるものの、これを口にしていいのかものすごく迷ったのだ。
「イスンセという人物とは、一体何者かという疑問が浮かんできました。ロートント男爵は持っているだけで狂ってしまったのです。そんなものを持って平気でいられるという、その状況が不思議でならないのです」
「むぅ、確かにそうだな……」
私の指摘というのはもっともな話だった。
テールという例外はいるものの、呪いの発動を抑えていたと考えれば何も矛盾はなかった。
やはり、呪具を持ち歩いて平気でいられるというのが引っ掛かる。収納魔法さえあれば可能かもしれないけれど、どこまで効果があるかはさすがに私にも分からないわね。それに、試してみて私に万一があれば、それこそ大災害になりかねないもの。
「とりあえず、この報告書は預かっておく。他の者に見せても構わぬだろうか?」
「それは、陛下の信用する者だけに限って下さるのでしたら、問題ないかと存じます。相手は諜報部ですから、どこに潜んでいるのか分かりませんゆえ、なにとぞ慎重に願います」
「うむ、分かった」
国王が返事をすると、私は頭を下げる。
「サクラ・バッサーシの方はどうなのだ?」
「えっと……」
国王がサクラの方に話を振る。
しかしだ、この手の話でサクラがまともに対応できるとは思えない。
「国王陛下、サクラ様が手伝われた分もその報告書にすべてまとめてございます。お目通し頂ければすべて分かりますから、ご容赦下さいませ」
にこりと微笑んでおく私。眉はぴくぴくと動いてるけどね。
ただ、私がそう言うと、国王も王妃も察してくれたらしく、ここで話は一応終わる事ができた。
「とりあえずですが、ベジタリウス王城を新たな結界で覆う必要がございますので、魔石を調達する必要がございます。暗殺未遂が起きてしまった以上、早急に対応をせざるをえませんから」
私の訴えに、国王が唸っている。
「どのくらいの魔石が必要だ?」
「せめて上級クラスといったところでございます。そのくらいの魔石に魔力を込めれば、半年は持続させられると思います」
私たちが話をしていると、突然バーンと扉が開く。
「話は聞かせてもらったわ!」
入ってきたのミズーナ王女だった。どうやらどこからともなく私たちの帰還を聞きつけたようだった。
「まったく、ベジタリウスの話だっていうのに、私を呼ばないなんて。水臭いわよ、アンマリア」
扉をいそいそと閉めてから、ずかずかと玉座に向けて歩いてくるミズーナ王女。
「無礼をお許し下さいませ、サーロイン国王陛下、王妃殿下」
ぺこりと深く頭を下げたミズーナ王女は、私の方へと視線を向ける。
「上級クラスの魔石なら、ほら、ミール王国に行った時に手に入ってるじゃないの」
そう言って、ミズーナ王女は自分の収納魔法から魔石を取り出した。確かにかなりの大きさと魔力純度を持った魔石が出てきた。
「集まってきた魔物の中に、紛れていたみたいだわ。お父様、お母様を守るためにこれを託すわよ、アンマリア」
ミズーナ王女は、大きな魔石を私に手渡してきたのだった。
「ただいま戻りました」
「国王陛下、王妃殿下」
私とサクラはすぐさま国王夫妻に謁見をする。そして、すぐさま隣国ベジタリウス王国であった事を報告しておいた。
国王夫妻はあまりに衝撃的な事に、しばらく言葉を失っていたようだった。
「それはまた……。パセラは大丈夫だったのか?」
「はい、すぐに私が防護魔法を張って、サクラ様が刺客を取り押さえましたので問題はございません。念のために、ベジタリウス王城に結界は展開した上で戻って参りました」
「そうか……」
とりあえず無事だったという報告を聞いて、国王は椅子に深く腰を掛けていた。こうやって見る限り、サーロイン王国とベジタリウス王国の間には、不和というものはない感じだわね。
「それで、何か情報を仕入れてくる事はできたのか?」
「はい、パセラ国王陛下の許可を得て書庫の閲覧を行いました。実に有意義な時間だったと思います」
私はそう言いながら、収納魔法からメモ書きをした紙を取り出した。ちなみに複製魔法を使ったので、このメモ書きはいくつも存在している。こういう重要書類を1部しか作らないなんて真似、するわけないでしょう?
「これは?」
「書庫で調べ上げてきた内容をまとめた報告書でございます。魔法で複製してありますので、陛下にお渡ししてもまったく問題ございません」
「そうか。……さらりととんでもない事をしてくれるな、お前は」
困惑の表情で固まっていた国王だったが、驚きのせいでもっと複雑な顔になっていた。
「調べてみた限りですと、ベジタリウス王国の北部に魔王は封印されたというような記述が見当たります。事実とするなら、魔王の力を宿した呪具がベジタリウス王国に存在していてもまったく不思議でありません。イスンセなる人物が持っていたとしても不思議ではないでしょう。ただ……」
説明する私は、ここで一度言葉を途切れさせる。
それというのも、呪具に関する効力について疑問が浮かんでいたからだった。推測ではあるものの、これを口にしていいのかものすごく迷ったのだ。
「イスンセという人物とは、一体何者かという疑問が浮かんできました。ロートント男爵は持っているだけで狂ってしまったのです。そんなものを持って平気でいられるという、その状況が不思議でならないのです」
「むぅ、確かにそうだな……」
私の指摘というのはもっともな話だった。
テールという例外はいるものの、呪いの発動を抑えていたと考えれば何も矛盾はなかった。
やはり、呪具を持ち歩いて平気でいられるというのが引っ掛かる。収納魔法さえあれば可能かもしれないけれど、どこまで効果があるかはさすがに私にも分からないわね。それに、試してみて私に万一があれば、それこそ大災害になりかねないもの。
「とりあえず、この報告書は預かっておく。他の者に見せても構わぬだろうか?」
「それは、陛下の信用する者だけに限って下さるのでしたら、問題ないかと存じます。相手は諜報部ですから、どこに潜んでいるのか分かりませんゆえ、なにとぞ慎重に願います」
「うむ、分かった」
国王が返事をすると、私は頭を下げる。
「サクラ・バッサーシの方はどうなのだ?」
「えっと……」
国王がサクラの方に話を振る。
しかしだ、この手の話でサクラがまともに対応できるとは思えない。
「国王陛下、サクラ様が手伝われた分もその報告書にすべてまとめてございます。お目通し頂ければすべて分かりますから、ご容赦下さいませ」
にこりと微笑んでおく私。眉はぴくぴくと動いてるけどね。
ただ、私がそう言うと、国王も王妃も察してくれたらしく、ここで話は一応終わる事ができた。
「とりあえずですが、ベジタリウス王城を新たな結界で覆う必要がございますので、魔石を調達する必要がございます。暗殺未遂が起きてしまった以上、早急に対応をせざるをえませんから」
私の訴えに、国王が唸っている。
「どのくらいの魔石が必要だ?」
「せめて上級クラスといったところでございます。そのくらいの魔石に魔力を込めれば、半年は持続させられると思います」
私たちが話をしていると、突然バーンと扉が開く。
「話は聞かせてもらったわ!」
入ってきたのミズーナ王女だった。どうやらどこからともなく私たちの帰還を聞きつけたようだった。
「まったく、ベジタリウスの話だっていうのに、私を呼ばないなんて。水臭いわよ、アンマリア」
扉をいそいそと閉めてから、ずかずかと玉座に向けて歩いてくるミズーナ王女。
「無礼をお許し下さいませ、サーロイン国王陛下、王妃殿下」
ぺこりと深く頭を下げたミズーナ王女は、私の方へと視線を向ける。
「上級クラスの魔石なら、ほら、ミール王国に行った時に手に入ってるじゃないの」
そう言って、ミズーナ王女は自分の収納魔法から魔石を取り出した。確かにかなりの大きさと魔力純度を持った魔石が出てきた。
「集まってきた魔物の中に、紛れていたみたいだわ。お父様、お母様を守るためにこれを託すわよ、アンマリア」
ミズーナ王女は、大きな魔石を私に手渡してきたのだった。
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