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第七章 3年目前半
第351話 サーロインでの合流
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サーロイン王城にやって来たベジタリウス王妃は、国王に謁見した後、客室に通される。
そして、そこではエスカ、ミズーナの二人の王女と、私とサキの二人、合計四人が呼ばれたのだった。
「お久しぶりでございますね、アンマリア。それと、ミズーナも元気そうで」
「お久しぶりです、ベジタリウス王妃」
「お久しぶりでございます、お母様」
ベジタリウス王妃の挨拶に、私とミズーナ王女が挨拶を返す。
「お初にお目にかかります。私、ミール王国王女、エスカ・ミールと申します」
「お、お初に、お、お目にかかります。サキ・テトリバーと申します」
続いてエスカとサキが挨拶をするが、エスカはさすがに落ち着いているが、サキは緊張のあまり少しどもっているようだった。
その様子を見ながら、ベジタリウス王妃は笑っている。
「そこまで気負わなくてもよろしいですよ。もっと気楽にしていただいて結構ですからね」
「は、はい」
王妃に声を掛けられれば、背筋を伸ばして返事をするサキである。王族相手なのだから緊張するのは当り前よね。
「えっと、お母様」
「何かしら、ミズーナ」
これ以上サキを緊張させないためか、ミズーナ王女が王妃に話し掛けて意識を逸らせる。
「そちらのメイドを紹介して頂けませんでしょうか。どうも新顔のようですからね」
ミズーナ王女から視線を向けられて、メチルは思わず驚いて体を縮こまらせていた。
「そうね、紹介しますわ。この子は私の新しい専属侍女でして、名前をメチルというの。なかなか可愛い子でしょう?」
ベジタリウス王妃はメチルを抱き寄せながら紹介をする。思わぬ行動に思わず跳ね上がりそうになるメチルだった。
「お、お、王妃様。ご、ご戯れを!?」
「ベジタリウス王妃殿下、そのくらいで勘弁して差し上げてはいかがでしょうか。さすがにメチルの心臓がもちませんよ……」
混乱するメチルを見かねた私は助け舟を出す。
「あらあら、ごめんなさい」
ようやく王妃から解放されるメチル。胸を撫で下ろしながら、すぐに姿勢を正していた。
落ち着いたところで、私は再び話を切り出す。
「それで王妃殿下、そちらのメチルと少しを話をしたいのですが、よろしいでしょうか」
「はい、構いませんよ。私はお邪魔でしょうか?」
王妃からはすんなり了承を頂けたものの、続いた言葉に思わず面食らってしまう。
「いえいえいえ、さすがに王妃殿下を邪魔とは申せません。確かに、ちょっと秘密にしたい事ではありますけれど!」
思わず慌ててしまう私。その姿を見た王妃はくすくすと笑っていた。
「エスカ、ミズーナ王女、構わないわよね?」
私は二人に小声で確認をする。サキにはそもそも言うつもりだったし、王妃にだったらまあいっかという感じになった。
「メチル、私にした話を、ここでしてもらっていいかしら」
「えっ、ええっ?!」
私たちの意見はまとまったので、この場に居るもう一人の転生者であるメチルに話を振る私。級に振られたせいか、メチルは大声で叫んでしまった。
「ちょっ、静かにしてよ。衛兵が来ちゃうわ」
「もが……」
私がメチルの口を押さえる。その様子に思わず王妃とサキも笑ってしまっていた。
その様子を見ながら、私は咳払いをする。そして、エスカやミズーナ王女と目を合わせると、こくりと頷き合った。
「王妃殿下、サキ。これから信じられないような話を致します。よろしいでしょうか」
私が言うと、サキはびっくりしたようだったが、最終的にはこくりと頷いていた。
「では、メチル。話してもらっていいかしら」
「わ、分かりました」
私の指名に、メチルは戸惑いながらも了承していた。
「アルー、出てきてもらってもいいかしら」
「はいはい~」
メチルが呼ぶと、小さな精霊であるアルーが姿を現した。
「うわっ、どっから出たのよ」
酷い反応をするエスカである。
「エスカ、彼女は精霊よ。姿を見せたり隠したりっていうのはお手の物なんだから」
「これが精霊ですか。初めて見ましたね」
ミズーナ王女がアルーに近付いていく。
「初めまして、ベジタリウス王国王女ミズーナ・ベジタリウスです。お母様の事をよろしくお願い致しますね」
「まっかせなさーい」
ミズーナ王女の言葉に、どんと胸を叩くアルーである。
「とりあえず挨拶はそのくらいにして、メチル、説明をお願いします」
「分かりました」
アルーを呼び出した状態で、改めてメチルは話を始める。
魔王の事、魔族の事、それと自分の能力の事と。その話を聞いたエスカたちは、言葉を失って黙り込んでしまった。簡単には話していたとはいえど、実際に本人から聞くと衝撃の大きさが段違いだったのだ。
「ということは、テールたちの一件は、その魔族たちによって引き起こされた。そういうわけなのね」
「はい、そういう事です」
エスカの質問をメチルが肯定した事で、何とも言えない空気が漂ってしまう。
「あいつらの最終的な目的は、サーロインやベジタリウスなどを滅ぼして魔王を復活させ、魔族による支配を行うためです。実際、ここに来るまでに、魔族の一人のテリアによる襲撃を受けましたからね」
「本当なのですか、お母様」
メチルの証言に、つい声が大きくなってしまうミズーナ王女。ベジタリウス王妃は黙ってこくりと頷いた。
「ああ、よくご無事で……」
ミズーナ王女は王妃に抱きついていた。
「メチルさんとアルーさんのおかげですよ」
王妃の言葉にメチルは頭を下げて、アルーは胸を張ってドヤ顔をしていた。
頭を上げたメチルは話を再開する。
「それでですけれど、途中立ち寄ったバッサーシ辺境伯邸で、魔族への対抗手段を見つける事ができました。これは朗報です」
これには私たちは驚くしかなかった。
「そ、それは何なのよ」
エスカがものすごく食いついている。私やミズーナからも熱い眼差しを向けられて、メチルは戸惑いながらもその口を開いた。
「それは、柑橘の香りです」
メチルの口から思わぬ単語が飛び出したのだった。
そして、そこではエスカ、ミズーナの二人の王女と、私とサキの二人、合計四人が呼ばれたのだった。
「お久しぶりでございますね、アンマリア。それと、ミズーナも元気そうで」
「お久しぶりです、ベジタリウス王妃」
「お久しぶりでございます、お母様」
ベジタリウス王妃の挨拶に、私とミズーナ王女が挨拶を返す。
「お初にお目にかかります。私、ミール王国王女、エスカ・ミールと申します」
「お、お初に、お、お目にかかります。サキ・テトリバーと申します」
続いてエスカとサキが挨拶をするが、エスカはさすがに落ち着いているが、サキは緊張のあまり少しどもっているようだった。
その様子を見ながら、ベジタリウス王妃は笑っている。
「そこまで気負わなくてもよろしいですよ。もっと気楽にしていただいて結構ですからね」
「は、はい」
王妃に声を掛けられれば、背筋を伸ばして返事をするサキである。王族相手なのだから緊張するのは当り前よね。
「えっと、お母様」
「何かしら、ミズーナ」
これ以上サキを緊張させないためか、ミズーナ王女が王妃に話し掛けて意識を逸らせる。
「そちらのメイドを紹介して頂けませんでしょうか。どうも新顔のようですからね」
ミズーナ王女から視線を向けられて、メチルは思わず驚いて体を縮こまらせていた。
「そうね、紹介しますわ。この子は私の新しい専属侍女でして、名前をメチルというの。なかなか可愛い子でしょう?」
ベジタリウス王妃はメチルを抱き寄せながら紹介をする。思わぬ行動に思わず跳ね上がりそうになるメチルだった。
「お、お、王妃様。ご、ご戯れを!?」
「ベジタリウス王妃殿下、そのくらいで勘弁して差し上げてはいかがでしょうか。さすがにメチルの心臓がもちませんよ……」
混乱するメチルを見かねた私は助け舟を出す。
「あらあら、ごめんなさい」
ようやく王妃から解放されるメチル。胸を撫で下ろしながら、すぐに姿勢を正していた。
落ち着いたところで、私は再び話を切り出す。
「それで王妃殿下、そちらのメチルと少しを話をしたいのですが、よろしいでしょうか」
「はい、構いませんよ。私はお邪魔でしょうか?」
王妃からはすんなり了承を頂けたものの、続いた言葉に思わず面食らってしまう。
「いえいえいえ、さすがに王妃殿下を邪魔とは申せません。確かに、ちょっと秘密にしたい事ではありますけれど!」
思わず慌ててしまう私。その姿を見た王妃はくすくすと笑っていた。
「エスカ、ミズーナ王女、構わないわよね?」
私は二人に小声で確認をする。サキにはそもそも言うつもりだったし、王妃にだったらまあいっかという感じになった。
「メチル、私にした話を、ここでしてもらっていいかしら」
「えっ、ええっ?!」
私たちの意見はまとまったので、この場に居るもう一人の転生者であるメチルに話を振る私。級に振られたせいか、メチルは大声で叫んでしまった。
「ちょっ、静かにしてよ。衛兵が来ちゃうわ」
「もが……」
私がメチルの口を押さえる。その様子に思わず王妃とサキも笑ってしまっていた。
その様子を見ながら、私は咳払いをする。そして、エスカやミズーナ王女と目を合わせると、こくりと頷き合った。
「王妃殿下、サキ。これから信じられないような話を致します。よろしいでしょうか」
私が言うと、サキはびっくりしたようだったが、最終的にはこくりと頷いていた。
「では、メチル。話してもらっていいかしら」
「わ、分かりました」
私の指名に、メチルは戸惑いながらも了承していた。
「アルー、出てきてもらってもいいかしら」
「はいはい~」
メチルが呼ぶと、小さな精霊であるアルーが姿を現した。
「うわっ、どっから出たのよ」
酷い反応をするエスカである。
「エスカ、彼女は精霊よ。姿を見せたり隠したりっていうのはお手の物なんだから」
「これが精霊ですか。初めて見ましたね」
ミズーナ王女がアルーに近付いていく。
「初めまして、ベジタリウス王国王女ミズーナ・ベジタリウスです。お母様の事をよろしくお願い致しますね」
「まっかせなさーい」
ミズーナ王女の言葉に、どんと胸を叩くアルーである。
「とりあえず挨拶はそのくらいにして、メチル、説明をお願いします」
「分かりました」
アルーを呼び出した状態で、改めてメチルは話を始める。
魔王の事、魔族の事、それと自分の能力の事と。その話を聞いたエスカたちは、言葉を失って黙り込んでしまった。簡単には話していたとはいえど、実際に本人から聞くと衝撃の大きさが段違いだったのだ。
「ということは、テールたちの一件は、その魔族たちによって引き起こされた。そういうわけなのね」
「はい、そういう事です」
エスカの質問をメチルが肯定した事で、何とも言えない空気が漂ってしまう。
「あいつらの最終的な目的は、サーロインやベジタリウスなどを滅ぼして魔王を復活させ、魔族による支配を行うためです。実際、ここに来るまでに、魔族の一人のテリアによる襲撃を受けましたからね」
「本当なのですか、お母様」
メチルの証言に、つい声が大きくなってしまうミズーナ王女。ベジタリウス王妃は黙ってこくりと頷いた。
「ああ、よくご無事で……」
ミズーナ王女は王妃に抱きついていた。
「メチルさんとアルーさんのおかげですよ」
王妃の言葉にメチルは頭を下げて、アルーは胸を張ってドヤ顔をしていた。
頭を上げたメチルは話を再開する。
「それでですけれど、途中立ち寄ったバッサーシ辺境伯邸で、魔族への対抗手段を見つける事ができました。これは朗報です」
これには私たちは驚くしかなかった。
「そ、それは何なのよ」
エスカがものすごく食いついている。私やミズーナからも熱い眼差しを向けられて、メチルは戸惑いながらもその口を開いた。
「それは、柑橘の香りです」
メチルの口から思わぬ単語が飛び出したのだった。
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