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第九章 拡張版ミズーナ編
第465話 最後の学園祭
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迎えた学園祭。
「アンマリアとサキも学園祭には来られるのですかね」
珍しくそろっての食事の席で、ミズーナ王女がアンマリアに尋ねている。
「ええ。剣術大会を見ていこうとフィレン殿下からお誘いを受けていますのでね。私も3年間皆勤で参加していますから」
「なるほど。自分たちの抜けた後が気になっているってところでしょうかね」
「ふふ、そうかもしれませんね」
他の王族たちも揃っているとあって、言葉遣いがやたらと丁寧である。
「そういえば、エスカ王女殿下が必死にやっておられたもの、ちゃんと完成していますかしら」
ミズーナ王女へと状況を確認するアンマリア。
すると、ミズーナ王女は隣に座るエスカと顔を見合わせて、にこっと微笑んでいる。
「大丈夫ですよ。エスカだけなら心配でしたが、アンマリアたちも手伝ってくれましたからね」
「ほう、それは実に期待してよさそうですね」
フィレン王子が割り込んでくる。アンマリアたちが何やらこそこそしていることに気が付いていたので、興味津々のようだ。
「フィレン殿下。申し訳ございませんけれど、何をしていたかの発表は学園祭の中でさせて頂きます。アンマリアもサキも、決して告げ口なさらないで下さいね」
「ええ、分かっていますよ」
「はい、もちろんです」
ミズーナ王女が唇に立てた人差し指を当てながら言うと、アンマリアとサキはこくりと頷いていた。
「まったく、何を企んでいるのやら……。楽しみで仕方ないですね」
「今日が終わりましたら、お持ち致しますわ」
おかしそうに笑うフィレン王子に、ミズーナ王女はそう答えておいた。
その様子に、国王たちも楽しそうに笑っていた。
今日も王家の食卓は平和なのであった。
早速学園へと向かったミズーナ王女たち。校門に到着すると、ボンジール商会のギーモが立っていた。
「これはこれは、ミズーナ・ベジタリウス王女殿下、エスカ・ミール王女殿下。お待ちしておりました」
丁寧に頭を下げて挨拶をするギーモ。昔を思えばまっとうな商人になったものである。
「ギーモですね。本当に、お話を聞いて頂いて感謝しております」
「いえいえ。以前のアロマキャンドルのこともありましたので、こちらとしても快くお受けすることができました」
ミズーナ王女の声に深々と頭を下げて反応するギーモ。
「それで、例のものはちゃんと持ってきておりますか?」
「はい。今は割り当てられた出店区画に運び込んでいるところでございます。いやはや、王女殿下方の発想力には脱帽でございますよ」
「ミズーナ」
「あら、お兄様」
ミズーナ王女とギーモが話していると、レッタス王子がリブロ王子と一緒に姿を見せた。
「今日は応援に来てくれるか?」
「ええ、もちろんでございますよ、お兄様。私もそこまで薄情ではございませんわ」
にこりと微笑むミズーナ王女。その姿を見てほっと胸を撫で下ろすレッタス王子である。
なにせ、去年までは強敵だったフィレン王子とタン・ミノレバー、それにサクラ・バッサーシが居たのである。彼らが卒業した今、レッタス王子にとっては優勝を飾るチャンスなのだ。
隣国ベジタリウス王国の王子として、勝ってその存在を示さなければならないのだ。
「ファイト、ですよ。お兄様」
脇を閉めて両手を力強く握りながら励ますミズーナ王女。その姿を見て、レッタス王子の緊張はさらにほぐれたようである。
「ああ、頑張ってくるよ。行こうか、リブロ殿下」
「はい、戦える時を楽しみにしていますよ」
「ああ、私もだ」
二人は仲良く並びながら、闘技場の方へと歩いていった。
「さて、私たちも参りましょうか」
「ええ、がっちり売り捌いてがっぽり儲けてやるわよ」
「それは王女から出る言葉ではありませんよ、エスカ王女殿下……」
付き添いでやって来ているメチルは頭を押さえている。
「なによ。商売の話をしているんだから当然でしょうが」
ぷんすかと怒り出すエスカ。その光景に思わず苦笑いをしてしまうミズーナ王女とギーモだった。
ミズーナ王女たちがボンジール商会の設営の手伝いに行っているちょうどその時、レッタス王子たちが闘技場にたどり着いていた。
「さて、貼り出された対戦表を確認しましょうか」
「そうですね。ボクはどこにあるかな……?」
会場入り口には対戦表が貼り出されていて、みんなが一生懸命に確認をしている。そのせいか、遅れてやってきたレッタス王子とリブロ王子はなかなか対戦相手の確認ができずにいた。
「あっ、リブロ殿下、レッタス殿下、ようやくお越しになられたのですね」
「おや、君はアンマリアのいとこの……」
「はい、タミール・ファッティです。どうやら、僕たちは勝ち進まないと当たらないようになっているみたいです」
そう言いながら、タミールは先に来て書き写していた対戦表を二人に見せている。
「本当ですね。まあ、楽しみは後にとっておくものです」
「ですね。でも、油断して敗退しないように気をつけませんとね」
「まったくですね」
笑い合う三人。
「おお、殿下たちもいらしてましたか」
「ミスミ教官。ええ、ボクたちも参加しますからね。普段の訓練の成果を見せてあげますよ」
「ふっ、それは楽しみだな」
息まくリブロ王子の姿に、思わず笑ってしまうミスミ教官である。
「そろそろ開会式が始まる。急いで控室に行った方がいいぞ」
「あっ、そうですね。殿下、急ぎましょう」
ミスミ教官に言われてリブロ王子たちは闘技場の中へと走っていった。
「さて、今年はどんな戦いが見れるのやらな」
ミスミ教官はその後ろ姿をじっと見つめているのだった。
「アンマリアとサキも学園祭には来られるのですかね」
珍しくそろっての食事の席で、ミズーナ王女がアンマリアに尋ねている。
「ええ。剣術大会を見ていこうとフィレン殿下からお誘いを受けていますのでね。私も3年間皆勤で参加していますから」
「なるほど。自分たちの抜けた後が気になっているってところでしょうかね」
「ふふ、そうかもしれませんね」
他の王族たちも揃っているとあって、言葉遣いがやたらと丁寧である。
「そういえば、エスカ王女殿下が必死にやっておられたもの、ちゃんと完成していますかしら」
ミズーナ王女へと状況を確認するアンマリア。
すると、ミズーナ王女は隣に座るエスカと顔を見合わせて、にこっと微笑んでいる。
「大丈夫ですよ。エスカだけなら心配でしたが、アンマリアたちも手伝ってくれましたからね」
「ほう、それは実に期待してよさそうですね」
フィレン王子が割り込んでくる。アンマリアたちが何やらこそこそしていることに気が付いていたので、興味津々のようだ。
「フィレン殿下。申し訳ございませんけれど、何をしていたかの発表は学園祭の中でさせて頂きます。アンマリアもサキも、決して告げ口なさらないで下さいね」
「ええ、分かっていますよ」
「はい、もちろんです」
ミズーナ王女が唇に立てた人差し指を当てながら言うと、アンマリアとサキはこくりと頷いていた。
「まったく、何を企んでいるのやら……。楽しみで仕方ないですね」
「今日が終わりましたら、お持ち致しますわ」
おかしそうに笑うフィレン王子に、ミズーナ王女はそう答えておいた。
その様子に、国王たちも楽しそうに笑っていた。
今日も王家の食卓は平和なのであった。
早速学園へと向かったミズーナ王女たち。校門に到着すると、ボンジール商会のギーモが立っていた。
「これはこれは、ミズーナ・ベジタリウス王女殿下、エスカ・ミール王女殿下。お待ちしておりました」
丁寧に頭を下げて挨拶をするギーモ。昔を思えばまっとうな商人になったものである。
「ギーモですね。本当に、お話を聞いて頂いて感謝しております」
「いえいえ。以前のアロマキャンドルのこともありましたので、こちらとしても快くお受けすることができました」
ミズーナ王女の声に深々と頭を下げて反応するギーモ。
「それで、例のものはちゃんと持ってきておりますか?」
「はい。今は割り当てられた出店区画に運び込んでいるところでございます。いやはや、王女殿下方の発想力には脱帽でございますよ」
「ミズーナ」
「あら、お兄様」
ミズーナ王女とギーモが話していると、レッタス王子がリブロ王子と一緒に姿を見せた。
「今日は応援に来てくれるか?」
「ええ、もちろんでございますよ、お兄様。私もそこまで薄情ではございませんわ」
にこりと微笑むミズーナ王女。その姿を見てほっと胸を撫で下ろすレッタス王子である。
なにせ、去年までは強敵だったフィレン王子とタン・ミノレバー、それにサクラ・バッサーシが居たのである。彼らが卒業した今、レッタス王子にとっては優勝を飾るチャンスなのだ。
隣国ベジタリウス王国の王子として、勝ってその存在を示さなければならないのだ。
「ファイト、ですよ。お兄様」
脇を閉めて両手を力強く握りながら励ますミズーナ王女。その姿を見て、レッタス王子の緊張はさらにほぐれたようである。
「ああ、頑張ってくるよ。行こうか、リブロ殿下」
「はい、戦える時を楽しみにしていますよ」
「ああ、私もだ」
二人は仲良く並びながら、闘技場の方へと歩いていった。
「さて、私たちも参りましょうか」
「ええ、がっちり売り捌いてがっぽり儲けてやるわよ」
「それは王女から出る言葉ではありませんよ、エスカ王女殿下……」
付き添いでやって来ているメチルは頭を押さえている。
「なによ。商売の話をしているんだから当然でしょうが」
ぷんすかと怒り出すエスカ。その光景に思わず苦笑いをしてしまうミズーナ王女とギーモだった。
ミズーナ王女たちがボンジール商会の設営の手伝いに行っているちょうどその時、レッタス王子たちが闘技場にたどり着いていた。
「さて、貼り出された対戦表を確認しましょうか」
「そうですね。ボクはどこにあるかな……?」
会場入り口には対戦表が貼り出されていて、みんなが一生懸命に確認をしている。そのせいか、遅れてやってきたレッタス王子とリブロ王子はなかなか対戦相手の確認ができずにいた。
「あっ、リブロ殿下、レッタス殿下、ようやくお越しになられたのですね」
「おや、君はアンマリアのいとこの……」
「はい、タミール・ファッティです。どうやら、僕たちは勝ち進まないと当たらないようになっているみたいです」
そう言いながら、タミールは先に来て書き写していた対戦表を二人に見せている。
「本当ですね。まあ、楽しみは後にとっておくものです」
「ですね。でも、油断して敗退しないように気をつけませんとね」
「まったくですね」
笑い合う三人。
「おお、殿下たちもいらしてましたか」
「ミスミ教官。ええ、ボクたちも参加しますからね。普段の訓練の成果を見せてあげますよ」
「ふっ、それは楽しみだな」
息まくリブロ王子の姿に、思わず笑ってしまうミスミ教官である。
「そろそろ開会式が始まる。急いで控室に行った方がいいぞ」
「あっ、そうですね。殿下、急ぎましょう」
ミスミ教官に言われてリブロ王子たちは闘技場の中へと走っていった。
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ミスミ教官はその後ろ姿をじっと見つめているのだった。
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