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第九章 拡張版ミズーナ編
第481話 必死な抗い
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「おおんっ!」
もやがエスカへと向かって突進していく。あまりにも突然なことにアンマリアたちの反応が遅れている。
「まったく、どうやら闇が好みのようね!」
周囲に闇の結界を張り切れていないエスカだが、かなり反応が早かった。
ズドン!
ものすごい音が響いて、もやが地面へと叩きつけられる。
「もやだろうがなんだろうが、質量が存在している時点で私の魔法は効果があるのよ。そのまま地べたに這いつくばりなさい!」
「おおん……、おおんっ!!」
じたばたともがくもや。だが、エスカが放った重力魔法によって地面からまったく動けない。地面に潜り込もうとしても重力で固められてしまっては入り込むことができなさそうだった。
エスカの反応の良さに、アンマリアたちはぽかんとその様子を見つめていた。
「光魔法の使い手がそんだけ揃ってて何をしてるのよ」
じたばたと暴れるもやを前にエスカのお説教が飛ぶ。これには四人揃って顔を見合わせて苦笑いである。実際その通りなんだし、言い返せなかった。
それにしても、エスカの魔法によって地面に押さえつけられたもやはかなり大きい。夏合宿直後からの時間経過を考えれば、かなり成長したものと思われる。なにせ、その時は影も形もなかったはずなのだから。
「これは放っておけば大惨事間違いなかったですね」
「そうですね。とにかく落ち着いて浄化してしまいましょう」
こくりと頷き合うアンマリアたち。
エスカの取り押さえたもやを取り囲み、早速浄化魔法をかけていく。
しかし、聖女二人に光魔法の使い手二人が浄化魔法を使っているというのに、このもやはなかなかしぶとい。
「この……うらみ……はらさで……」
じたばたと暴れながら重力魔法と浄化魔法から逃れようと必死である。
「はらさで、おくべきかぁっ!」
「きゃっ!」
突如として爆発するもや。魔法のすべてを振り切ってエスカへと突進していく。
「アンチグラヴィティ!」
しかし、エスカは落ち着いていた。反重量を作用させて、もやを上へと弾き飛ばしてしまう。
もやは何が起きたのか分からずにそのまま上空へとなすすべなく飛ばされてしまう。
「さぁ、さっさとやっちゃってよ、みんな」
「え、ええ」
予想外の展開の連続で、困惑しっぱなしのアンマリアたち。しかし、このままエスカに活躍されてしまったままでは終われない。今度はしっかり逃げられないように強めに魔法を展開する。
「おおん?!」
空中で動きを縛られて、もやは驚き戸惑っている。
「まったく、ろくに言葉も喋れない怨念のくせに、王都を自分の領域にしようだなんて許せないわね」
「みなさんの平穏な暮らしを壊させはしません」
「後始末をする私たちの身にもなって下さい」
ミズーナ王女以外の全員が一斉に好き勝手言い放っている。これにはミズーナ王女とエスカは困った表情を見せていた。
「まあ、魔王の不始末は封印されていた場所であるベジタリウス王国の不名誉にもなります」
手に力をぐっと籠めるミズーナ王女。
「消えてなくなりなさい。いつまでも現世に固執する亡者よ!」
空中に浮かぶもやに光の魔力が収束していく。かなり強い魔力ではあるものの、エスカが展開している闇の結界によって光は一切外に漏れていない。
なんといっても今日は楽しい収穫祭の日。王都の民の楽しみを邪魔してはいけないのである。
「おおん……、おおおんっ!」
だが、もやも簡単には消えようとしない。よほど強い怨念の塊なのだろうか。聖女二人、光魔法の使い手二人の浄化魔法を食らいながらも必死に耐えている。
「まったく、しつこいものね」
「どれだけ強い怨念を持ち続けているのかしらね」
かなり強めに魔法を放っているというのに、怨念のもやはまったく浄化される気配がなかった。
「ふん、怨念ごときが強情にも抗いおって……」
「おおん?!」
次の瞬間、誰かの声がしたかと思うと怨念のもやが激しく揺らぐ。すると、一気にもやの抵抗が弱まり、浄化の魔法が効き始めていた。
「魔王?!」
「ふん、面倒な魔力を感じたので助太刀に来てやったぞ、感謝するのだな」
魔王がもやを小突いたことで、もやの抵抗力に綻びが生じたようである。そのために、ミズーナ王女たちの魔法がまともに通じるようになったのだ。
「助かりました、魔王様」
メチルが叫んで礼を言うと、魔王はこくりと小さく頷いていた。
「元々は我の不始末だからな。責任を取らねばいかぬだろう?」
どこか不満げな表情で吐き捨てる魔王である。
それもそうというもの。魔王は本来この世界の支配を目論んでいた存在だ。人間たちがどうなろうと知ったこっちゃないはずである。だというのに、こうやって人間たちを守るために動いているのだ。不本意以外のなにものでもないというわけなのだ。
「我ができるのはここまでだ。あとはお前たちでどうにかしろ」
そう言い残して魔王は姿を消す。
「今よ、浄化にパワーを!」
なぜかそんなワードを叫ぶエスカである。
だがしかし、今はそんな事を気にしている場合ではない。ミズーナ王女たちは浄化の魔法へと集中を強めたのだった。
もやがエスカへと向かって突進していく。あまりにも突然なことにアンマリアたちの反応が遅れている。
「まったく、どうやら闇が好みのようね!」
周囲に闇の結界を張り切れていないエスカだが、かなり反応が早かった。
ズドン!
ものすごい音が響いて、もやが地面へと叩きつけられる。
「もやだろうがなんだろうが、質量が存在している時点で私の魔法は効果があるのよ。そのまま地べたに這いつくばりなさい!」
「おおん……、おおんっ!!」
じたばたともがくもや。だが、エスカが放った重力魔法によって地面からまったく動けない。地面に潜り込もうとしても重力で固められてしまっては入り込むことができなさそうだった。
エスカの反応の良さに、アンマリアたちはぽかんとその様子を見つめていた。
「光魔法の使い手がそんだけ揃ってて何をしてるのよ」
じたばたと暴れるもやを前にエスカのお説教が飛ぶ。これには四人揃って顔を見合わせて苦笑いである。実際その通りなんだし、言い返せなかった。
それにしても、エスカの魔法によって地面に押さえつけられたもやはかなり大きい。夏合宿直後からの時間経過を考えれば、かなり成長したものと思われる。なにせ、その時は影も形もなかったはずなのだから。
「これは放っておけば大惨事間違いなかったですね」
「そうですね。とにかく落ち着いて浄化してしまいましょう」
こくりと頷き合うアンマリアたち。
エスカの取り押さえたもやを取り囲み、早速浄化魔法をかけていく。
しかし、聖女二人に光魔法の使い手二人が浄化魔法を使っているというのに、このもやはなかなかしぶとい。
「この……うらみ……はらさで……」
じたばたと暴れながら重力魔法と浄化魔法から逃れようと必死である。
「はらさで、おくべきかぁっ!」
「きゃっ!」
突如として爆発するもや。魔法のすべてを振り切ってエスカへと突進していく。
「アンチグラヴィティ!」
しかし、エスカは落ち着いていた。反重量を作用させて、もやを上へと弾き飛ばしてしまう。
もやは何が起きたのか分からずにそのまま上空へとなすすべなく飛ばされてしまう。
「さぁ、さっさとやっちゃってよ、みんな」
「え、ええ」
予想外の展開の連続で、困惑しっぱなしのアンマリアたち。しかし、このままエスカに活躍されてしまったままでは終われない。今度はしっかり逃げられないように強めに魔法を展開する。
「おおん?!」
空中で動きを縛られて、もやは驚き戸惑っている。
「まったく、ろくに言葉も喋れない怨念のくせに、王都を自分の領域にしようだなんて許せないわね」
「みなさんの平穏な暮らしを壊させはしません」
「後始末をする私たちの身にもなって下さい」
ミズーナ王女以外の全員が一斉に好き勝手言い放っている。これにはミズーナ王女とエスカは困った表情を見せていた。
「まあ、魔王の不始末は封印されていた場所であるベジタリウス王国の不名誉にもなります」
手に力をぐっと籠めるミズーナ王女。
「消えてなくなりなさい。いつまでも現世に固執する亡者よ!」
空中に浮かぶもやに光の魔力が収束していく。かなり強い魔力ではあるものの、エスカが展開している闇の結界によって光は一切外に漏れていない。
なんといっても今日は楽しい収穫祭の日。王都の民の楽しみを邪魔してはいけないのである。
「おおん……、おおおんっ!」
だが、もやも簡単には消えようとしない。よほど強い怨念の塊なのだろうか。聖女二人、光魔法の使い手二人の浄化魔法を食らいながらも必死に耐えている。
「まったく、しつこいものね」
「どれだけ強い怨念を持ち続けているのかしらね」
かなり強めに魔法を放っているというのに、怨念のもやはまったく浄化される気配がなかった。
「ふん、怨念ごときが強情にも抗いおって……」
「おおん?!」
次の瞬間、誰かの声がしたかと思うと怨念のもやが激しく揺らぐ。すると、一気にもやの抵抗が弱まり、浄化の魔法が効き始めていた。
「魔王?!」
「ふん、面倒な魔力を感じたので助太刀に来てやったぞ、感謝するのだな」
魔王がもやを小突いたことで、もやの抵抗力に綻びが生じたようである。そのために、ミズーナ王女たちの魔法がまともに通じるようになったのだ。
「助かりました、魔王様」
メチルが叫んで礼を言うと、魔王はこくりと小さく頷いていた。
「元々は我の不始末だからな。責任を取らねばいかぬだろう?」
どこか不満げな表情で吐き捨てる魔王である。
それもそうというもの。魔王は本来この世界の支配を目論んでいた存在だ。人間たちがどうなろうと知ったこっちゃないはずである。だというのに、こうやって人間たちを守るために動いているのだ。不本意以外のなにものでもないというわけなのだ。
「我ができるのはここまでだ。あとはお前たちでどうにかしろ」
そう言い残して魔王は姿を消す。
「今よ、浄化にパワーを!」
なぜかそんなワードを叫ぶエスカである。
だがしかし、今はそんな事を気にしている場合ではない。ミズーナ王女たちは浄化の魔法へと集中を強めたのだった。
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