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第260話 世界が相手
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迎えてしまった世界大会の日。よりもよって、その日はクリスマスイブだった。
満たちは会場となる施設に足を運んでいる。
「まさか、ニュースか何かで見るような場所に足を運ぶことになるとは思ってもみませんでしたね」
満は目の前の会場を見て、とても驚いている。
「まあ、こんな時期にこの会場が押さえられるとは思ってもないだろうな」
「おっ、見ろよ。各国からの参加者が集まってきてるぜ」
「あそこにいるのは去年苦しめられた人たちね」
会場を見て驚いている満の横で、マッハたちは会場にやって来ている参加者たちを確認しているようだ。
全部で16の国と地域から参加を表明した、配管工レーシングの猛者たちである。なんとも放っている雰囲気が明らかに違っている。
「とりあえず、当日の受付を済ませて控室に行こう。知ってる連中ばかりだが、捕まるといろいろ厄介なんでな」
「そうね。特に、あのチームに絡まれるわけにはいかないもの」
どうやらキーンが特に警戒しているチームがあるらしい。満は気にはなったものの、キーンに確認する前にマッハたちの手によって強引に会場内に連れていかれてしまった。
無事に受付を済ませ、控室に移動する。
1チームごとに一室が与えられるため、別のチームと鉢合わせをして険悪な雰囲気になることはない。ただし、他のチームの訪問を制限しているわけではないので、やってくる可能性はある。
控室の中で腰を落ち着けたマッハたちだが、満とキーンの服装についてツッコミを入れざるを得ないようである。
「どこで買ってきたんだよ、そんな服」
「いやぁ、せっかくアバ信そっくりな子が来てるわけだし、同じような服装を着せたかったのよね。一人じゃ恥ずかしいだろうからって、私が付き合ってあげてるのよ」
「嘘つけ、お前が着たかっただけだろ」
「うっさいわね」
チームメイトに指摘されて、図星だったのかキーンはちょっとへそを曲げていた。
「も、もう。みなさん、大会前にケンカはダメですってば!」
「わ、わりぃ」
満が叱ると、おとなげなかったと反省しているようだった。
「しかし、よくそういう服あったな。まるで光月ルナがリアルに出てきたみたいじゃないか」
「えへ、えへへへ……」
自分の使っているアバターそっくりだといわれて、満はなぜかとても照れている。
[よう、マッハ!]
「げっ、うるさいのが来やがった」
控室の入口から英語が聞こえてくる。
入口を見てみると、そこには外国人たちが立っていた。
「えっと、あの人たちは?」
「アメリカのチームさ。キーンが気にしてただろ。それがこいつら、チーム『キングダム』さ」
「き、キングダム……」
あまりにも強そうな響きに、満は警戒した面持ちで視線を向けている。
そんな満が、キングダムのメンバーに見つかってしまう。ゴスロリチックな服装をしていれば、それは当然目立つから仕方がない。
[おお、とっても可愛いね。新しいチームメイトかい?]
やって来た外国人たちは、満を見つけて群がってきていた。
参加者の中ではひときわ背が小さく、ひらひらした服装を着ていれば、逆に目立ってしまう。
「あうあう……」
英語で話しかけられて、満はものすごく慌てている。満はちょっと英語の授業が苦手なのだ。生の英語となれば、それはもう何を言っているのか分からないのである。
見た目外国人なのに、英語ができないとはこれまた混乱しそうである。とはいえ、中身は日本人なのだからしょうがない。
[この見た目で英語ができないとはびっくりだね]
[日本育ちだからしょーがねえよ。だが、こいつは期待の新人だ。こいつの腕を見て、びびんじゃねーぞ?]
[それは楽しみだね。だが、君との頂上対決よりも興味を引くことかな?]
[そいつは見てのお楽しみだな]
しっかりと英語を理解して会話をしているマッハである。これには満は思わずかっこいいと思ってしまうのだった。
[そうかそうか。君がそこまで言うのなら期待だな]
満が怖がっているために、安心させようとしてしゃがんで頭を撫でていた男性は、体を起こすとそのまま入口へと戻っていく。
[なんだ、もう行くのか?]
[ああ、あいさつ回りをしているだけなんでね]
入口で立ち止まって、男性は笑いながら答えている。
[ああ、そうだ]
何を思ったか、男性は入口で立ち止まる。
[キーンだったかな。彼女に教えてやってくれ。その格好は似合わないと]
[さすがにそいつはお断りだぜ]
男性が親切心から教えようとしていたみたいだが、さすがに機嫌を損なうわけにはいかないのでいえるわけがないのである。
アメリカのチームの面々がいなくなると、ようやくチームから緊張感が消える。
「まったく、あいつらときたら今年も来やがったか……」
「相変わらず英語は分からないわ」
なんとも呆けた感じになってしまうマッハたちである。
それにしても、キーンが英語が苦手だったことにはちょっとほっとするマッハである。もしさっきの言葉を理解されていたら、今頃ここで暴れていたのは間違いないだろうから。
この外国人たちの訪問を受けて、本当に世界大会に来たんだと実感する満。
はたしてこの言葉の分からない状況の中で、しっかりと実力を発揮することができるのだろうか。
まもなく、配管工レーシングの世界大会が始まろうとしていた。
満たちは会場となる施設に足を運んでいる。
「まさか、ニュースか何かで見るような場所に足を運ぶことになるとは思ってもみませんでしたね」
満は目の前の会場を見て、とても驚いている。
「まあ、こんな時期にこの会場が押さえられるとは思ってもないだろうな」
「おっ、見ろよ。各国からの参加者が集まってきてるぜ」
「あそこにいるのは去年苦しめられた人たちね」
会場を見て驚いている満の横で、マッハたちは会場にやって来ている参加者たちを確認しているようだ。
全部で16の国と地域から参加を表明した、配管工レーシングの猛者たちである。なんとも放っている雰囲気が明らかに違っている。
「とりあえず、当日の受付を済ませて控室に行こう。知ってる連中ばかりだが、捕まるといろいろ厄介なんでな」
「そうね。特に、あのチームに絡まれるわけにはいかないもの」
どうやらキーンが特に警戒しているチームがあるらしい。満は気にはなったものの、キーンに確認する前にマッハたちの手によって強引に会場内に連れていかれてしまった。
無事に受付を済ませ、控室に移動する。
1チームごとに一室が与えられるため、別のチームと鉢合わせをして険悪な雰囲気になることはない。ただし、他のチームの訪問を制限しているわけではないので、やってくる可能性はある。
控室の中で腰を落ち着けたマッハたちだが、満とキーンの服装についてツッコミを入れざるを得ないようである。
「どこで買ってきたんだよ、そんな服」
「いやぁ、せっかくアバ信そっくりな子が来てるわけだし、同じような服装を着せたかったのよね。一人じゃ恥ずかしいだろうからって、私が付き合ってあげてるのよ」
「嘘つけ、お前が着たかっただけだろ」
「うっさいわね」
チームメイトに指摘されて、図星だったのかキーンはちょっとへそを曲げていた。
「も、もう。みなさん、大会前にケンカはダメですってば!」
「わ、わりぃ」
満が叱ると、おとなげなかったと反省しているようだった。
「しかし、よくそういう服あったな。まるで光月ルナがリアルに出てきたみたいじゃないか」
「えへ、えへへへ……」
自分の使っているアバターそっくりだといわれて、満はなぜかとても照れている。
[よう、マッハ!]
「げっ、うるさいのが来やがった」
控室の入口から英語が聞こえてくる。
入口を見てみると、そこには外国人たちが立っていた。
「えっと、あの人たちは?」
「アメリカのチームさ。キーンが気にしてただろ。それがこいつら、チーム『キングダム』さ」
「き、キングダム……」
あまりにも強そうな響きに、満は警戒した面持ちで視線を向けている。
そんな満が、キングダムのメンバーに見つかってしまう。ゴスロリチックな服装をしていれば、それは当然目立つから仕方がない。
[おお、とっても可愛いね。新しいチームメイトかい?]
やって来た外国人たちは、満を見つけて群がってきていた。
参加者の中ではひときわ背が小さく、ひらひらした服装を着ていれば、逆に目立ってしまう。
「あうあう……」
英語で話しかけられて、満はものすごく慌てている。満はちょっと英語の授業が苦手なのだ。生の英語となれば、それはもう何を言っているのか分からないのである。
見た目外国人なのに、英語ができないとはこれまた混乱しそうである。とはいえ、中身は日本人なのだからしょうがない。
[この見た目で英語ができないとはびっくりだね]
[日本育ちだからしょーがねえよ。だが、こいつは期待の新人だ。こいつの腕を見て、びびんじゃねーぞ?]
[それは楽しみだね。だが、君との頂上対決よりも興味を引くことかな?]
[そいつは見てのお楽しみだな]
しっかりと英語を理解して会話をしているマッハである。これには満は思わずかっこいいと思ってしまうのだった。
[そうかそうか。君がそこまで言うのなら期待だな]
満が怖がっているために、安心させようとしてしゃがんで頭を撫でていた男性は、体を起こすとそのまま入口へと戻っていく。
[なんだ、もう行くのか?]
[ああ、あいさつ回りをしているだけなんでね]
入口で立ち止まって、男性は笑いながら答えている。
[ああ、そうだ]
何を思ったか、男性は入口で立ち止まる。
[キーンだったかな。彼女に教えてやってくれ。その格好は似合わないと]
[さすがにそいつはお断りだぜ]
男性が親切心から教えようとしていたみたいだが、さすがに機嫌を損なうわけにはいかないのでいえるわけがないのである。
アメリカのチームの面々がいなくなると、ようやくチームから緊張感が消える。
「まったく、あいつらときたら今年も来やがったか……」
「相変わらず英語は分からないわ」
なんとも呆けた感じになってしまうマッハたちである。
それにしても、キーンが英語が苦手だったことにはちょっとほっとするマッハである。もしさっきの言葉を理解されていたら、今頃ここで暴れていたのは間違いないだろうから。
この外国人たちの訪問を受けて、本当に世界大会に来たんだと実感する満。
はたしてこの言葉の分からない状況の中で、しっかりと実力を発揮することができるのだろうか。
まもなく、配管工レーシングの世界大会が始まろうとしていた。
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