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第406話 ぶれないで
ルナ・フォルモントに見守られているとも知らず、満と小麦は神社にお参りをしておみくじを引いている。
「さ~て、僕の運勢はどうだろうかなぁ」
「もう……。先日も別の神社で引いたばかりじゃないの。満くんってば妙に可愛いこと言うのね」
「ちょっと、小麦さんってば!」
笑う小麦の言葉に、満は顔を真っ赤にしている。
ちょっと不機嫌そうな顔をしながらも、おみくじの結果を見つめている。
「中吉かぁ。悪くはないかな」
「そこは気になるだろうけど、下の運勢もきちんと読んでよ、満くん」
「あっ、そ、そうだね」
小麦に指摘されて、満は慌てた様子で下の方までしっかりと見る。
「金運はそこそこかぁ」
「ちょっと見てもいい?」
おみくじをじっくりと見ていると、同じようにおみくじを引いてきた小麦が気になるのか覗き込んでくる。
「わわっ、小麦さん。あんまりこういうのは他人に見せるものじゃないと思うんだけどな」
「気になるからしょうがないじゃないの。見せて見せて」
あまりにも小麦がしつこいので、満は押し負けてしまっておみくじを見せることになってしまった。
「もう、しょうがないですね。その代わり、小麦さんのも見せて下さいよ」
「にしし、いいよ~」
交換条件を持ちかけると、小麦はあっさりと了承していた。
そんなわけで、小麦は改めて満の引いたおみくじを覗き込んでいる。
「……これは」
「小麦さん?」
小麦は満の持っているおみくじのある部分を見て衝撃を受けていた。
それは、恋愛運のところだった。
「うーん、これは……」
小麦はさっきからずっと唸っている。どうやら、相当にこの項目のことが気になっているようだ。
そこには、こう書かれている。
『待ち人、気付かずに逃す』
つまりは、運命の相手にまったく気が付かずに、恋愛は終わってしまうということらしい。
「満くん、これは大丈夫かな?」
「僕はあんまり占いは信じないので、気にしてないですよ」
なんともさっぱりした感じで笑う満である。これには、小麦は唇を尖らせて渋い顔をしていた。
「えっと……、小麦さん?」
「なんでもないわよ。ほら、私のおみくじ」
どういうわけか不機嫌な様子で、小麦は自分のおみくじを満の顔に近付けていた。
なんやかんやで、おみくじを見せ合った満と小麦は、神社を後にする。
二か月後には高校受験が控えているという状況なので、満は学業成就のお守りを購入していた。
「そっか、三月だもんね、高校受験」
「はい。僕は地元の公立に進学予定ですけれどね」
「そっか、後輩になるのかな、にししし」
満の進学予定先を聞いて、小麦はさっきまでとは打って変わって嬉しそうに笑っている。
そう、満たちの住んでいる街で公立の高校といえば一校しかない。なので、すぐに小麦はこんな反応を示せたのである。なにせその高校は、三月まで小麦が通っていた高校なのだから。
「そうなるんですかね。でも、僕ってどっちで進学すればいいんだろう……。男か女か、もうちょっと安定できればいいんですけれどね」
「そうだねぇ。それは満くん次第かもね。二か月の間に、うまくコントロールできるようにならなきゃね」
「ですよね……」
河川敷まで降りて、満たちはジョギングコースをゆっくりと歩いている。堤防の上の道路とは違い、ジョギングコースにはほとんど人がいないので、かなり余裕を持って歩けているようだ。
しかし、満の男女のコントロールの話となると、ついに言葉が途切れてしまう。
なんと話したらいいのか、二人して完全に詰まってしまっているのだ。
沈黙が続く中、二人が並んで歩いているだけなので、その様子を見ていたルナ・フォルモントがもどかしさを感じている。
「ええい、なんとも煮え切らん二人よな……。だが、ここで首を突っ込んでは台無しになりかねん。まだ、様子を見なければ……」
つかず離れずの適当な距離を保ちながら尾行するルナ・フォルモントは、聞こえてくる話にかなり気を揉んでいるのだ。
この状態がしばらく続いていたが、周りに少し視線を向けた小麦が、突然ぴたりと立ち止まる。
「小麦さん?」
あまりにも突然だったので、満は驚いて立ち止まって振り返る。
「ルナ・フォルモント、その心配、確かに受け取ったわよ」
小声でぽつりと漏らした小麦は、無言で満へと向かって歩いていく。
「こ、小麦さん……?」
あまりにも雰囲気が怖かったのか、満はちょっと引いているようだ。だが、小麦は構わず満に近付いていく。
そうかと思うと、小麦はがっちりと満の両肩をつかんだ。
「小麦さん、ちょっと痛いよ」
「いいえ、満くん。もうこの際はっきりさせときましょう。満くんが男女のどちらかで安定させるかとなれば、それは満くんの気持ちが固まらないことにはどうにもならないと思うもの」
「僕の……気持ち?」
小麦が真剣な表情で放った言葉に、満はきょとんとしてしまう。
「この際だから、はっきりと言っておくわ。私は、満くんのことが好き。だから、私と恋人になってちょうだい」
戸惑う満に、小麦ははっきりという。
「ごまかさないでね、満くん。この場で、正直な気持ちを私にぶつけて。そうじゃないと、多分、気持ちと同じで性別もぶれ続けるわよ」
迫る小麦。
決断を迫られた満は、どうするというのだろうか。
困った表情のまま、満は小麦から目を離せないでいたのだった。
「さ~て、僕の運勢はどうだろうかなぁ」
「もう……。先日も別の神社で引いたばかりじゃないの。満くんってば妙に可愛いこと言うのね」
「ちょっと、小麦さんってば!」
笑う小麦の言葉に、満は顔を真っ赤にしている。
ちょっと不機嫌そうな顔をしながらも、おみくじの結果を見つめている。
「中吉かぁ。悪くはないかな」
「そこは気になるだろうけど、下の運勢もきちんと読んでよ、満くん」
「あっ、そ、そうだね」
小麦に指摘されて、満は慌てた様子で下の方までしっかりと見る。
「金運はそこそこかぁ」
「ちょっと見てもいい?」
おみくじをじっくりと見ていると、同じようにおみくじを引いてきた小麦が気になるのか覗き込んでくる。
「わわっ、小麦さん。あんまりこういうのは他人に見せるものじゃないと思うんだけどな」
「気になるからしょうがないじゃないの。見せて見せて」
あまりにも小麦がしつこいので、満は押し負けてしまっておみくじを見せることになってしまった。
「もう、しょうがないですね。その代わり、小麦さんのも見せて下さいよ」
「にしし、いいよ~」
交換条件を持ちかけると、小麦はあっさりと了承していた。
そんなわけで、小麦は改めて満の引いたおみくじを覗き込んでいる。
「……これは」
「小麦さん?」
小麦は満の持っているおみくじのある部分を見て衝撃を受けていた。
それは、恋愛運のところだった。
「うーん、これは……」
小麦はさっきからずっと唸っている。どうやら、相当にこの項目のことが気になっているようだ。
そこには、こう書かれている。
『待ち人、気付かずに逃す』
つまりは、運命の相手にまったく気が付かずに、恋愛は終わってしまうということらしい。
「満くん、これは大丈夫かな?」
「僕はあんまり占いは信じないので、気にしてないですよ」
なんともさっぱりした感じで笑う満である。これには、小麦は唇を尖らせて渋い顔をしていた。
「えっと……、小麦さん?」
「なんでもないわよ。ほら、私のおみくじ」
どういうわけか不機嫌な様子で、小麦は自分のおみくじを満の顔に近付けていた。
なんやかんやで、おみくじを見せ合った満と小麦は、神社を後にする。
二か月後には高校受験が控えているという状況なので、満は学業成就のお守りを購入していた。
「そっか、三月だもんね、高校受験」
「はい。僕は地元の公立に進学予定ですけれどね」
「そっか、後輩になるのかな、にししし」
満の進学予定先を聞いて、小麦はさっきまでとは打って変わって嬉しそうに笑っている。
そう、満たちの住んでいる街で公立の高校といえば一校しかない。なので、すぐに小麦はこんな反応を示せたのである。なにせその高校は、三月まで小麦が通っていた高校なのだから。
「そうなるんですかね。でも、僕ってどっちで進学すればいいんだろう……。男か女か、もうちょっと安定できればいいんですけれどね」
「そうだねぇ。それは満くん次第かもね。二か月の間に、うまくコントロールできるようにならなきゃね」
「ですよね……」
河川敷まで降りて、満たちはジョギングコースをゆっくりと歩いている。堤防の上の道路とは違い、ジョギングコースにはほとんど人がいないので、かなり余裕を持って歩けているようだ。
しかし、満の男女のコントロールの話となると、ついに言葉が途切れてしまう。
なんと話したらいいのか、二人して完全に詰まってしまっているのだ。
沈黙が続く中、二人が並んで歩いているだけなので、その様子を見ていたルナ・フォルモントがもどかしさを感じている。
「ええい、なんとも煮え切らん二人よな……。だが、ここで首を突っ込んでは台無しになりかねん。まだ、様子を見なければ……」
つかず離れずの適当な距離を保ちながら尾行するルナ・フォルモントは、聞こえてくる話にかなり気を揉んでいるのだ。
この状態がしばらく続いていたが、周りに少し視線を向けた小麦が、突然ぴたりと立ち止まる。
「小麦さん?」
あまりにも突然だったので、満は驚いて立ち止まって振り返る。
「ルナ・フォルモント、その心配、確かに受け取ったわよ」
小声でぽつりと漏らした小麦は、無言で満へと向かって歩いていく。
「こ、小麦さん……?」
あまりにも雰囲気が怖かったのか、満はちょっと引いているようだ。だが、小麦は構わず満に近付いていく。
そうかと思うと、小麦はがっちりと満の両肩をつかんだ。
「小麦さん、ちょっと痛いよ」
「いいえ、満くん。もうこの際はっきりさせときましょう。満くんが男女のどちらかで安定させるかとなれば、それは満くんの気持ちが固まらないことにはどうにもならないと思うもの」
「僕の……気持ち?」
小麦が真剣な表情で放った言葉に、満はきょとんとしてしまう。
「この際だから、はっきりと言っておくわ。私は、満くんのことが好き。だから、私と恋人になってちょうだい」
戸惑う満に、小麦ははっきりという。
「ごまかさないでね、満くん。この場で、正直な気持ちを私にぶつけて。そうじゃないと、多分、気持ちと同じで性別もぶれ続けるわよ」
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困った表情のまま、満は小麦から目を離せないでいたのだった。
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