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第155話 黄金の鯉を討伐せよ
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翌日の夜、満は真家レニの配信を眺めていた。
満は真家レニのファンであるので、必ずリアルタイムで視聴し、アーカイブも必ず一回は視聴するのだ。
「こんばんれに~。レニちゃん参上だぞ☆」
『こんばんれにー』
『こんばんれに~』
こっちもこっちで、配信が始まれば定番の挨拶が飛び交う。
「やあやあ、ルナちのシルバレ配信よかったよね。銀髪の吸血鬼が銀の銃弾を撃ちまくる姿は、実に絵になるものだよ」
『わかるマン』
『弱点を克服した強者感がある』
『ルナちは何をしても絵になる』
真家レニの配信で、やたらと光月ルナの名前が出てくるので、満は視聴しながらものすごく照れくさくなっていた。
SILVER BULLET SOLDIERの話が出したことで、真家レニはにやりと笑みを浮かべている。
その瞬間、まさかという予感が満を駆け抜ける。
「ふふん、ルナちには負けてられないね。レニちゃんのシルバレプレイも見せつけてやろうじゃないか」
『ktkr』
『レニちゃんの本気だー(歓喜)』
『やっぱそうこなくっちゃな』
真家レニのリスナーたちが大興奮である。
昨日の自分の配信を受けて、まさかの真家レニの対抗配信である。
モニタの前で満はその口をパクパクとさせていた。
「さてさて、ルナちと同じクエストだと、レニちゃんは初見にはならないのだ。そこで、レニちゃんは違うクエストを初見でやってみようと思うのだよ」
『wktk』
『結構この間のメンテで追加されたからな』
『レニちゃんの初見プレイ楽しみ』
リスナーたちからはかなり期待の声が上がっている。
そんな中、真家レニが選んだのはゴールデンウィーク中に追加された新規クエストだった。
「星五つの新規クエスト。クリーチャーバケーションをやってみることにするよ。この間ちょっとリアルの事情で遊べてなかったから、興味はあったけど触れてないのだ」
『ほうほう』
『そういえば数回配信休んでたな』
リスナーたちも、ゴールデンウィーク中の真家レニの配信状況を思い出していたようだ。
実はその時、真家レニの中の人は家族旅行中だった。機材がない以上配信ができるわけがないのである。
そういう状況にあったこともあり、真家レニの今日の配信には力がこもっていた。
なにぶん、連休明けの配信ではガラにもなく大泣きしてしまったという事実があるからだ。
ただ、その配信のおかげか、うちどめだと思っていたチャンネル登録者数が久しぶりに大きく増えた。
普段の明るいキャラだけではない新たな真家レニを見たとあって、登録を渋っていた人たちが一気に登録したのである。
今日も、増えた登録者の二割くらいが上乗せされたくらいの同接数を誇っている。さすがは人気の個人勢である。
さて、肝心の配信だが、真家レニの変態技術が相変わらず炸裂していた。
『ちょwwww』
『おいおい、新しいクリーチャーも簡単に撃ち倒されていってるぞ』
『てか、これ本当に初見なのか?』
『初見だよ、クエストの始まり見ただろ』
『二度目以降に現れる会話スキップのボタンがなかったもんな。つまり初見だよ』
『相変わらずクリーチャーたちがぼろ雑巾になっていく』
真家レニのSILVER BULLET SOLDIERの腕前は、やっぱり変態的な腕前を持つトップクラスの少女なのである。
高難易度のクエストのクリーチャーたちは、雑魚であっても一匹倒すのに数発撃ち込まないといけない。
ところが、真家レニは的確にクリティカルになるように攻撃をしているため、何とほぼオール二発で沈めるに至っていた。
『いつ見てもレニちゃんの銃撃は美しいよなあ』
『ホラゲなのになんだろう、こんなわくわくするってありえなくない?』
『すっかり落ちたな、お前も』
『レニちゃんを崇めろ』
『イエッサー!』
真家レニのSILVER BULLET SOLDIERの配信を初めて見た面々は、あっという間にそのとりこになってしまっていた。
あっという間にボスの登場だ。
雑魚を90匹倒すとボスが出現するのは、どのクエストでも共通の事項だ。
「ボスが出ましたね。ここからは腕に自信があるなら、雑魚を巻き込みながらボス討伐ですよ」
『無w理w』
『レニちゃんだけなんよ、それできるんは』
真家レニの説明に、リスナーたちは笑うしかなかった。
そして、そのリスナーたちの反応がまだ終わり切るかどうという頃に、アナウンスが流れる。
『プレイヤー【真家レニ】が金色のカープを討伐しました』
「およ? こんなアナウンスだったっけ?」
真家レニが驚いている。
だが、このアナウンス、リスナーたちもほとんど知らなかったようだ。
『討伐タイム 0:02:53:77』
『おめでとうございます。討伐タイムを更新しました。ささやかなお祝いの品をお贈りしましたので、ぜひご確認ください』
「えっ、なになにこれ」
真家レニも混乱しているようだ。
『ああ、これ。ゴールデンウィーク中の特別ミッションだ』
「はえー……」
リスナーの説明に真家レニは驚いていた。
どうやら、討伐最速記録を更新するたびに、達成者にアイテムが贈られるというもののようだ。
真家レニは家族旅行に出ていたこともあって、その辺りのチェックを珍しく怠っていたのである。だから、これだけ驚いているのだ。
この後、リスナーたちから賞賛のコメントが大量に送られ、気を良くした真家レニは、黄金の鯉を掲げる自分のイラストを描き上げたのだった。
満は真家レニのファンであるので、必ずリアルタイムで視聴し、アーカイブも必ず一回は視聴するのだ。
「こんばんれに~。レニちゃん参上だぞ☆」
『こんばんれにー』
『こんばんれに~』
こっちもこっちで、配信が始まれば定番の挨拶が飛び交う。
「やあやあ、ルナちのシルバレ配信よかったよね。銀髪の吸血鬼が銀の銃弾を撃ちまくる姿は、実に絵になるものだよ」
『わかるマン』
『弱点を克服した強者感がある』
『ルナちは何をしても絵になる』
真家レニの配信で、やたらと光月ルナの名前が出てくるので、満は視聴しながらものすごく照れくさくなっていた。
SILVER BULLET SOLDIERの話が出したことで、真家レニはにやりと笑みを浮かべている。
その瞬間、まさかという予感が満を駆け抜ける。
「ふふん、ルナちには負けてられないね。レニちゃんのシルバレプレイも見せつけてやろうじゃないか」
『ktkr』
『レニちゃんの本気だー(歓喜)』
『やっぱそうこなくっちゃな』
真家レニのリスナーたちが大興奮である。
昨日の自分の配信を受けて、まさかの真家レニの対抗配信である。
モニタの前で満はその口をパクパクとさせていた。
「さてさて、ルナちと同じクエストだと、レニちゃんは初見にはならないのだ。そこで、レニちゃんは違うクエストを初見でやってみようと思うのだよ」
『wktk』
『結構この間のメンテで追加されたからな』
『レニちゃんの初見プレイ楽しみ』
リスナーたちからはかなり期待の声が上がっている。
そんな中、真家レニが選んだのはゴールデンウィーク中に追加された新規クエストだった。
「星五つの新規クエスト。クリーチャーバケーションをやってみることにするよ。この間ちょっとリアルの事情で遊べてなかったから、興味はあったけど触れてないのだ」
『ほうほう』
『そういえば数回配信休んでたな』
リスナーたちも、ゴールデンウィーク中の真家レニの配信状況を思い出していたようだ。
実はその時、真家レニの中の人は家族旅行中だった。機材がない以上配信ができるわけがないのである。
そういう状況にあったこともあり、真家レニの今日の配信には力がこもっていた。
なにぶん、連休明けの配信ではガラにもなく大泣きしてしまったという事実があるからだ。
ただ、その配信のおかげか、うちどめだと思っていたチャンネル登録者数が久しぶりに大きく増えた。
普段の明るいキャラだけではない新たな真家レニを見たとあって、登録を渋っていた人たちが一気に登録したのである。
今日も、増えた登録者の二割くらいが上乗せされたくらいの同接数を誇っている。さすがは人気の個人勢である。
さて、肝心の配信だが、真家レニの変態技術が相変わらず炸裂していた。
『ちょwwww』
『おいおい、新しいクリーチャーも簡単に撃ち倒されていってるぞ』
『てか、これ本当に初見なのか?』
『初見だよ、クエストの始まり見ただろ』
『二度目以降に現れる会話スキップのボタンがなかったもんな。つまり初見だよ』
『相変わらずクリーチャーたちがぼろ雑巾になっていく』
真家レニのSILVER BULLET SOLDIERの腕前は、やっぱり変態的な腕前を持つトップクラスの少女なのである。
高難易度のクエストのクリーチャーたちは、雑魚であっても一匹倒すのに数発撃ち込まないといけない。
ところが、真家レニは的確にクリティカルになるように攻撃をしているため、何とほぼオール二発で沈めるに至っていた。
『いつ見てもレニちゃんの銃撃は美しいよなあ』
『ホラゲなのになんだろう、こんなわくわくするってありえなくない?』
『すっかり落ちたな、お前も』
『レニちゃんを崇めろ』
『イエッサー!』
真家レニのSILVER BULLET SOLDIERの配信を初めて見た面々は、あっという間にそのとりこになってしまっていた。
あっという間にボスの登場だ。
雑魚を90匹倒すとボスが出現するのは、どのクエストでも共通の事項だ。
「ボスが出ましたね。ここからは腕に自信があるなら、雑魚を巻き込みながらボス討伐ですよ」
『無w理w』
『レニちゃんだけなんよ、それできるんは』
真家レニの説明に、リスナーたちは笑うしかなかった。
そして、そのリスナーたちの反応がまだ終わり切るかどうという頃に、アナウンスが流れる。
『プレイヤー【真家レニ】が金色のカープを討伐しました』
「およ? こんなアナウンスだったっけ?」
真家レニが驚いている。
だが、このアナウンス、リスナーたちもほとんど知らなかったようだ。
『討伐タイム 0:02:53:77』
『おめでとうございます。討伐タイムを更新しました。ささやかなお祝いの品をお贈りしましたので、ぜひご確認ください』
「えっ、なになにこれ」
真家レニも混乱しているようだ。
『ああ、これ。ゴールデンウィーク中の特別ミッションだ』
「はえー……」
リスナーの説明に真家レニは驚いていた。
どうやら、討伐最速記録を更新するたびに、達成者にアイテムが贈られるというもののようだ。
真家レニは家族旅行に出ていたこともあって、その辺りのチェックを珍しく怠っていたのである。だから、これだけ驚いているのだ。
この後、リスナーたちから賞賛のコメントが大量に送られ、気を良くした真家レニは、黄金の鯉を掲げる自分のイラストを描き上げたのだった。
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