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第52話 姉妹共闘
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イエーロが作り出した黄色結界の中に、マジェが平然に颯爽と現れた。その顔は、しっかりとイエーロをまっすぐに睨み付けていた。
「あたいの可愛い妹をいじめてくれちゃって、これは何倍にもして返さなきゃいけないわね」
「あら~、グーリの言う通り、マジェは私たちを裏切っちゃたの~?」
マジェの睨みにもまったく動じてはいないが、グーリからどうやら伝えられていた事が事実だった事に驚いているようだ。
「裏切る? 何を言っているのかしら」
だが、マジェは一度首を振ると、再びイエーロを睨んだ。
「裏切ってなんかいないわよ」
「え? だってグーリがそういう風に言っていたわよ~?」
体をぐねらせて、イエーロは思い返すしぐさをしている。マジェは呆れてこう言い放った。
「最初からあんたらの仲間になんかなってなかったのよ。だから裏切りなんかじゃないわ」
「んまっ、なんて屁理屈を!!」
マジェの言い分に怒り心頭になるイエーロ。自分より格上の相手だと思って従っていた自分がばからしく思えたのだ。だが、ここで、イエーロはひとつの事に気が付いた。
「それにしても、その裏切り者は、よくも私の結界の中に入れてこれたわね~」
そう、イエーロの結界は外部との繋がりを断つ特殊なものなのだ。だから、チェリーとグローリとの意思疎通もできないし、雪路を呼ぶ事もできなかった。
ところが、マジェはいともたやすくその結界を突き破ってきたのだ。イエーロはこれがどうも腑に落ちなかったようである。
「何、簡単な事よ。あんたの結界はモノトーンの力を拒めなかったのさ。あたいはまだモノトーンの力に染まっている。だから、この結界をすり抜けてこれたってわけよ」
そう、マジェはまだモノトーンの力から脱却できていなかったのだ。それが今回はこうやって役に立ったわけである。何がどう転ぶか、本当に分からないものだ。
「きぃ~~! 裏切り者のくせにぃっ!!」
イエーロは完全にヒステリーを起こしていた。だが、イエーロ意外とすぐに落ち着きを取り戻す。
「まぁいいわ。これで1対2になったわけだから、私も味方を増やすわよ。いらっしゃ~い、モノトーンちゃーん!」
イエーロが叫ぶと、近くにあったプランターが化け物へと姿を変えた。
「モノ、トーンッ!」
「さぁ、あの生意気な小娘たちを~、捻り潰すわよ」
「トーンッ!」
イエーロの呼び掛けに応えて、化け物もパステルオレンジとマジェに向かって襲い掛かる。
「パステルオレンジ、モノトーンの相手は任せるわ。イエーロはあたいに任せな」
「分かったわ、姉さん」
マジェの言葉に応じて、パステルオレンジは化け物へと向かっていく。
「へぇ~、ちょうどよかったわぁ。偉そうにしてて憎たらしかったのよ~。この素敵なお姉さんが、あなたに地獄を教えて差し上げるわよ~」
「生憎。地獄ならもう一回経験してるのよね!」
イエーロのマジックとマジェの武術が激突する。リーチで言えばイエーロの方が圧倒的に長い。それでもマジェはしっかりと応対していた。
「武器も持たずに、よくやるわねぇ」
「あたいは踊りが得意だからね」
「なにそれ~、訳分からないわよ」
確かに関連性が分からない。だが、マジェはイエーロの攻撃を踊るように躱している。かと思えば、その流れるような踊りでイエーロにしっかりと反撃も入れており、イエーロはその動きに翻弄されていた。
「モノォ……」
一方のパステルオレンジは、化け物と対峙している。プランターに手足が生え、生えた植物が顔となっているなんとも気味の悪い化け物だった。
「モノォッ!」
化け物の両手が伸びて、パステルオレンジを襲う。だが、パステルオレンジはそれを華麗に躱し、化け物へと反撃を入れる。だが、さすがはイエーロの生み出した化け物、パステルオレンジの攻撃に見事対応している。既に数度戦っている事が原因だろうか、化け物はかなりパステルオレンジの攻撃に対応していた。
ところが、パステルオレンジの動きに対応していたまではよかったのだが、その意図に気が付けなかった。
「モノォ?!」
気が付けば化け物の手足が複雑に絡み合っていた。そう、パステルオレンジは自由に動く手足を封じにかかっていたのだ。
「あたしを今までのあたしと思わないで」
パステルオレンジは化け物に蹴りを入れると、手足が絡み合ってしまった化け物は、なす術なくその場へと倒れ込んだ。
「悪しき心を塗り替える! パステル・オータム・ペイントレイ!」
そこへパステルオレンジの必殺技が炸裂する。
「モノ、モノトーンッ!!」
哀れ、化け物はあっけなく浄化されて、元のプランターへと戻ってしまった。
「こっちは片付いたわ。姉さんは?!」
「無事だ。しかも優勢に進めてるぜ」
退避していたワイスが知らない間に駆け寄っていて、パステルオレンジに状況を伝えた。
「だが、黄色がだいぶ濃くなってきた。そろそろ決着をつけねえとやばいぜ」
そう、実にワイスの言う通りだった。周りの黄色がだいぶ濃くなっており、視界がかなり悪くなっていたのだ。
「あれ? この状況でワイスはなぜ姉さんが優勢だと?」
「それはさっき言ってた繋がりってやつさ。だいぶ前からこまめにやり取りしてんだからよ、俺っちたちは」
ワイスの言い分が理解できないパステルオレンジは、その場でしばらく首を傾げていた。
「ぐぬぅっ!」
そこへ、イエーロの苦痛の声が聞こえてきた。
「あたいの色鉛筆は、さすがに躱せないか。パステルオレンジ、今よ!」
黄色く染まった視界の向こうからマジェの声が聞こえてくる。
「どこ? 分からないわ」
「それくらい感じなさい。イエーロならあたいのすぐ目の前に居る。あたいの位置を感じてその手前に撃ちなさい!」
マジェの声に、パステルオレンジは手に力を込めた。
「分かったわ」
パステルオレンジは集中してマジェの位置を探る。
「見つけたっ! 悪しき心を塗り替える! パステル・オータム・ペイントレイ!」
マジェの位置を避けるようにして必殺技を放つパステルオレンジ。
「ぐぅ、これはまずいわね~。ここは退却よ!」
攻撃が命中する直前に、イエーロは歪みを発生させて撤退していった。すると、イエーロが作り出していた黄色結界は、きれいさっぱり消えてなくなったのだった。
「あたいの可愛い妹をいじめてくれちゃって、これは何倍にもして返さなきゃいけないわね」
「あら~、グーリの言う通り、マジェは私たちを裏切っちゃたの~?」
マジェの睨みにもまったく動じてはいないが、グーリからどうやら伝えられていた事が事実だった事に驚いているようだ。
「裏切る? 何を言っているのかしら」
だが、マジェは一度首を振ると、再びイエーロを睨んだ。
「裏切ってなんかいないわよ」
「え? だってグーリがそういう風に言っていたわよ~?」
体をぐねらせて、イエーロは思い返すしぐさをしている。マジェは呆れてこう言い放った。
「最初からあんたらの仲間になんかなってなかったのよ。だから裏切りなんかじゃないわ」
「んまっ、なんて屁理屈を!!」
マジェの言い分に怒り心頭になるイエーロ。自分より格上の相手だと思って従っていた自分がばからしく思えたのだ。だが、ここで、イエーロはひとつの事に気が付いた。
「それにしても、その裏切り者は、よくも私の結界の中に入れてこれたわね~」
そう、イエーロの結界は外部との繋がりを断つ特殊なものなのだ。だから、チェリーとグローリとの意思疎通もできないし、雪路を呼ぶ事もできなかった。
ところが、マジェはいともたやすくその結界を突き破ってきたのだ。イエーロはこれがどうも腑に落ちなかったようである。
「何、簡単な事よ。あんたの結界はモノトーンの力を拒めなかったのさ。あたいはまだモノトーンの力に染まっている。だから、この結界をすり抜けてこれたってわけよ」
そう、マジェはまだモノトーンの力から脱却できていなかったのだ。それが今回はこうやって役に立ったわけである。何がどう転ぶか、本当に分からないものだ。
「きぃ~~! 裏切り者のくせにぃっ!!」
イエーロは完全にヒステリーを起こしていた。だが、イエーロ意外とすぐに落ち着きを取り戻す。
「まぁいいわ。これで1対2になったわけだから、私も味方を増やすわよ。いらっしゃ~い、モノトーンちゃーん!」
イエーロが叫ぶと、近くにあったプランターが化け物へと姿を変えた。
「モノ、トーンッ!」
「さぁ、あの生意気な小娘たちを~、捻り潰すわよ」
「トーンッ!」
イエーロの呼び掛けに応えて、化け物もパステルオレンジとマジェに向かって襲い掛かる。
「パステルオレンジ、モノトーンの相手は任せるわ。イエーロはあたいに任せな」
「分かったわ、姉さん」
マジェの言葉に応じて、パステルオレンジは化け物へと向かっていく。
「へぇ~、ちょうどよかったわぁ。偉そうにしてて憎たらしかったのよ~。この素敵なお姉さんが、あなたに地獄を教えて差し上げるわよ~」
「生憎。地獄ならもう一回経験してるのよね!」
イエーロのマジックとマジェの武術が激突する。リーチで言えばイエーロの方が圧倒的に長い。それでもマジェはしっかりと応対していた。
「武器も持たずに、よくやるわねぇ」
「あたいは踊りが得意だからね」
「なにそれ~、訳分からないわよ」
確かに関連性が分からない。だが、マジェはイエーロの攻撃を踊るように躱している。かと思えば、その流れるような踊りでイエーロにしっかりと反撃も入れており、イエーロはその動きに翻弄されていた。
「モノォ……」
一方のパステルオレンジは、化け物と対峙している。プランターに手足が生え、生えた植物が顔となっているなんとも気味の悪い化け物だった。
「モノォッ!」
化け物の両手が伸びて、パステルオレンジを襲う。だが、パステルオレンジはそれを華麗に躱し、化け物へと反撃を入れる。だが、さすがはイエーロの生み出した化け物、パステルオレンジの攻撃に見事対応している。既に数度戦っている事が原因だろうか、化け物はかなりパステルオレンジの攻撃に対応していた。
ところが、パステルオレンジの動きに対応していたまではよかったのだが、その意図に気が付けなかった。
「モノォ?!」
気が付けば化け物の手足が複雑に絡み合っていた。そう、パステルオレンジは自由に動く手足を封じにかかっていたのだ。
「あたしを今までのあたしと思わないで」
パステルオレンジは化け物に蹴りを入れると、手足が絡み合ってしまった化け物は、なす術なくその場へと倒れ込んだ。
「悪しき心を塗り替える! パステル・オータム・ペイントレイ!」
そこへパステルオレンジの必殺技が炸裂する。
「モノ、モノトーンッ!!」
哀れ、化け物はあっけなく浄化されて、元のプランターへと戻ってしまった。
「こっちは片付いたわ。姉さんは?!」
「無事だ。しかも優勢に進めてるぜ」
退避していたワイスが知らない間に駆け寄っていて、パステルオレンジに状況を伝えた。
「だが、黄色がだいぶ濃くなってきた。そろそろ決着をつけねえとやばいぜ」
そう、実にワイスの言う通りだった。周りの黄色がだいぶ濃くなっており、視界がかなり悪くなっていたのだ。
「あれ? この状況でワイスはなぜ姉さんが優勢だと?」
「それはさっき言ってた繋がりってやつさ。だいぶ前からこまめにやり取りしてんだからよ、俺っちたちは」
ワイスの言い分が理解できないパステルオレンジは、その場でしばらく首を傾げていた。
「ぐぬぅっ!」
そこへ、イエーロの苦痛の声が聞こえてきた。
「あたいの色鉛筆は、さすがに躱せないか。パステルオレンジ、今よ!」
黄色く染まった視界の向こうからマジェの声が聞こえてくる。
「どこ? 分からないわ」
「それくらい感じなさい。イエーロならあたいのすぐ目の前に居る。あたいの位置を感じてその手前に撃ちなさい!」
マジェの声に、パステルオレンジは手に力を込めた。
「分かったわ」
パステルオレンジは集中してマジェの位置を探る。
「見つけたっ! 悪しき心を塗り替える! パステル・オータム・ペイントレイ!」
マジェの位置を避けるようにして必殺技を放つパステルオレンジ。
「ぐぅ、これはまずいわね~。ここは退却よ!」
攻撃が命中する直前に、イエーロは歪みを発生させて撤退していった。すると、イエーロが作り出していた黄色結界は、きれいさっぱり消えてなくなったのだった。
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