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第51話 黄色系の戦い
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「パステル・カラーチェンジ!」
杏はパステルオレンジへと変身してイエーロを迎撃する。強力なイエーロのマジックは、ガードしたパステルオレンジを余裕で吹き飛ばした。やはり筋肉の力は偉大なのだ。
「ぐっ……。この痛々しい奴が……」
パステルオレンジはなんとか受け身を取ってダメージを軽減した。数10mも吹き飛ぶあたり、相当に強力な攻撃だったようだ。
「何とでも言いなさ~い。しょ・せ・ん、あんたは私にぃ、殺されちゃうんだからねぇ」
ほほほと高笑いをしているイエーロ。この立ち姿、異様にムカついてくる。
「駄目だぜ、パステルオレンジ。奴の挑発に乗っちゃあいけない」
「分かってるわよ!」
ワイスの忠告に、大きな声で返事をするパステルオレンジ。
それにしても、何か様子がおかしい。パステルオレンジは頭に血が上っていて気が付かないが、ワイスはその違和感を徐々に感じ始めていた。
「てめえ、この辺りに結界を張りやがったな?」
「おーっほっほっほっ! そこのもこもこちゃんは~なかなか勘がいいわね。そうよ、邪魔が入っちゃやだからねぇ、他の連中が来ないように、ちょ~っとこの辺りの空間にぃ、細工を入れさせてもらったわ~」
ワイスがイエーロに向かって叫ぶと、イエーロは得意げに笑いながら説明してくれた。
「って事はよ、他の伝説の戦士の助けは期待できねえって事か……」
「そういう事ねぇ」
真っ黄色のムキムキの筋肉がグネグネと動く。その存在だけで目が痛い。
「だ・か・ら~、ここには私と~あなたたちだけしか居ないって事よ。どっちかがやられるまで、ここから出られないわよぉ?」
「くっ……!」
なんという事だろうか。パステルオレンジとワイスは、イエーロの作り出した空間に閉じ込められてしまったようである。
「……これは?」
「まずい。こいつは奴のエネルギーのもやだな。この中が黄色く染まり上がる前に倒せって事かよ」
確かによく見ると、空間がわずかに黄色く霞んでいる。
「本当に~、頭のいいもこもこちゃんねえ。正解よお。この中はもう、私の支配下なのよ~。黄色く染まり切った時~、あんたたちの死ってわけ」
面白おかしく笑っていたかと思うと、急にドスの利いた声で物騒な事を言うイエーロ。
「さあ、あなたたちに私が~、倒せるかしらねぇ?」
イエーロはパステルオレンジを挑発する。だが、今のパステルオレンジにそんな安い挑発は通用しない。なぜなら、
「倒せるかどうかじゃないわ。倒すのよ!」
とっくにブチキレていたからである。
「それに、あたしを今までのあたしと思わない事ね!」
「は~ん、何を言ってるのかしら~? さっきあれだけ派手に吹っ飛んでおいて?」
パステルオレンジの強気な発言を、鼻で笑うイエーロ。
「いいわよぉ? そのお馬鹿な発言がどこまで本気なのか~、私が直々に確認してア・ゲ・ル♪」
イエーロの自信満々の発言を聞いたパステルオレンジは、小さく、わずかにほくそ笑んだ。
そう、モノトーン召喚を封じたのである。モノトーンを召喚されて戦う事になれば、確実に負ける。ならば戦力を削ればいい。イエーロとの直接の1対1ならまだ勝機があるのだ。ここまでの戦いを通じて、パステルオレンジも成長している。さっきは不意打ちに大きく吹き飛ばされてしまったが、身構えのできている今ならそこまで大きな被害を受けずに済むはずだと踏んだのである。
「ワイス、こいつはあたし一人で何とかするわ。下がっててちょうだい」
「いや、心配だね。どうせここからは逃げられねえんだ、俺っちも戦うぜ」
「うん、そうよね。でも、これはあたしが1対1に持ち込んだ戦いなの。ワイスは念のために離れていて」
「分かったよ」
パステルオレンジの強い決意に、ワイスはパステルオレンジから距離を物理的に取った。
「あらあら~、逃げられないのにどこに行くのかしら~?」
イエーロはワイスに気が付いて攻撃を入れようとする。だが、
「待ちなさい。あんたの相手はあたしよ」
パステルオレンジが割って入る。少しでも勝機を上げるために、イエーロの意識を自分に向けさせなければならないのだ。それは必死なのである。
「おかしくて笑えちゃうわ。あくまで私と1対1になろうって言うのね。本当にお馬鹿さん」
イエーロはお腹を抱えて笑っている。
「ひーっひっひっひ……。その蛮勇、褒めてあげる。だからこそ、1対1なら勝てると思ってるその鼻っ面、しっかりとへし折ってあげるわ」
言い切ったところで、イエーロはマジックを持ってパステルオレンジに襲い掛かる。スピードがさっきの比ではない。だが、パステルオレンジだって負けてはいない。先程とは違い、しっかりとイエーロの攻撃を凌いでいる。
「なかなかやるわねえ。でも、防戦一方では勝てやしないわよ~?」
そんな事、パステルオレンジだって百も承知だ。だからこそ、タイミングを見計らっているのである。そして、イエーロの攻撃が大振りになる。そこへすかさず、
「オータム・リーフ・フラッド!」
牽制技を叩き込む。
「小賢しいわ、ねぇっ!」
だが、イエーロには通じなかった。絵の具の波をイエーロのマジックが切り裂いてしまったのだ。そのショックに、イエーロの攻撃への対応が一瞬遅れてしまう。
「しまっ……!」
パステルオレンジが、攻撃を食らう事を覚悟したその時だった。
ガキーンという大きな音がして、攻撃が受け止められたのである。
「まったく、あんたは相変わらず手間のかかる妹だわ」
「姉……さん?」
そう、パステルオレンジの危機に現れたのは、なんとマジェだったのだ。
杏はパステルオレンジへと変身してイエーロを迎撃する。強力なイエーロのマジックは、ガードしたパステルオレンジを余裕で吹き飛ばした。やはり筋肉の力は偉大なのだ。
「ぐっ……。この痛々しい奴が……」
パステルオレンジはなんとか受け身を取ってダメージを軽減した。数10mも吹き飛ぶあたり、相当に強力な攻撃だったようだ。
「何とでも言いなさ~い。しょ・せ・ん、あんたは私にぃ、殺されちゃうんだからねぇ」
ほほほと高笑いをしているイエーロ。この立ち姿、異様にムカついてくる。
「駄目だぜ、パステルオレンジ。奴の挑発に乗っちゃあいけない」
「分かってるわよ!」
ワイスの忠告に、大きな声で返事をするパステルオレンジ。
それにしても、何か様子がおかしい。パステルオレンジは頭に血が上っていて気が付かないが、ワイスはその違和感を徐々に感じ始めていた。
「てめえ、この辺りに結界を張りやがったな?」
「おーっほっほっほっ! そこのもこもこちゃんは~なかなか勘がいいわね。そうよ、邪魔が入っちゃやだからねぇ、他の連中が来ないように、ちょ~っとこの辺りの空間にぃ、細工を入れさせてもらったわ~」
ワイスがイエーロに向かって叫ぶと、イエーロは得意げに笑いながら説明してくれた。
「って事はよ、他の伝説の戦士の助けは期待できねえって事か……」
「そういう事ねぇ」
真っ黄色のムキムキの筋肉がグネグネと動く。その存在だけで目が痛い。
「だ・か・ら~、ここには私と~あなたたちだけしか居ないって事よ。どっちかがやられるまで、ここから出られないわよぉ?」
「くっ……!」
なんという事だろうか。パステルオレンジとワイスは、イエーロの作り出した空間に閉じ込められてしまったようである。
「……これは?」
「まずい。こいつは奴のエネルギーのもやだな。この中が黄色く染まり上がる前に倒せって事かよ」
確かによく見ると、空間がわずかに黄色く霞んでいる。
「本当に~、頭のいいもこもこちゃんねえ。正解よお。この中はもう、私の支配下なのよ~。黄色く染まり切った時~、あんたたちの死ってわけ」
面白おかしく笑っていたかと思うと、急にドスの利いた声で物騒な事を言うイエーロ。
「さあ、あなたたちに私が~、倒せるかしらねぇ?」
イエーロはパステルオレンジを挑発する。だが、今のパステルオレンジにそんな安い挑発は通用しない。なぜなら、
「倒せるかどうかじゃないわ。倒すのよ!」
とっくにブチキレていたからである。
「それに、あたしを今までのあたしと思わない事ね!」
「は~ん、何を言ってるのかしら~? さっきあれだけ派手に吹っ飛んでおいて?」
パステルオレンジの強気な発言を、鼻で笑うイエーロ。
「いいわよぉ? そのお馬鹿な発言がどこまで本気なのか~、私が直々に確認してア・ゲ・ル♪」
イエーロの自信満々の発言を聞いたパステルオレンジは、小さく、わずかにほくそ笑んだ。
そう、モノトーン召喚を封じたのである。モノトーンを召喚されて戦う事になれば、確実に負ける。ならば戦力を削ればいい。イエーロとの直接の1対1ならまだ勝機があるのだ。ここまでの戦いを通じて、パステルオレンジも成長している。さっきは不意打ちに大きく吹き飛ばされてしまったが、身構えのできている今ならそこまで大きな被害を受けずに済むはずだと踏んだのである。
「ワイス、こいつはあたし一人で何とかするわ。下がっててちょうだい」
「いや、心配だね。どうせここからは逃げられねえんだ、俺っちも戦うぜ」
「うん、そうよね。でも、これはあたしが1対1に持ち込んだ戦いなの。ワイスは念のために離れていて」
「分かったよ」
パステルオレンジの強い決意に、ワイスはパステルオレンジから距離を物理的に取った。
「あらあら~、逃げられないのにどこに行くのかしら~?」
イエーロはワイスに気が付いて攻撃を入れようとする。だが、
「待ちなさい。あんたの相手はあたしよ」
パステルオレンジが割って入る。少しでも勝機を上げるために、イエーロの意識を自分に向けさせなければならないのだ。それは必死なのである。
「おかしくて笑えちゃうわ。あくまで私と1対1になろうって言うのね。本当にお馬鹿さん」
イエーロはお腹を抱えて笑っている。
「ひーっひっひっひ……。その蛮勇、褒めてあげる。だからこそ、1対1なら勝てると思ってるその鼻っ面、しっかりとへし折ってあげるわ」
言い切ったところで、イエーロはマジックを持ってパステルオレンジに襲い掛かる。スピードがさっきの比ではない。だが、パステルオレンジだって負けてはいない。先程とは違い、しっかりとイエーロの攻撃を凌いでいる。
「なかなかやるわねえ。でも、防戦一方では勝てやしないわよ~?」
そんな事、パステルオレンジだって百も承知だ。だからこそ、タイミングを見計らっているのである。そして、イエーロの攻撃が大振りになる。そこへすかさず、
「オータム・リーフ・フラッド!」
牽制技を叩き込む。
「小賢しいわ、ねぇっ!」
だが、イエーロには通じなかった。絵の具の波をイエーロのマジックが切り裂いてしまったのだ。そのショックに、イエーロの攻撃への対応が一瞬遅れてしまう。
「しまっ……!」
パステルオレンジが、攻撃を食らう事を覚悟したその時だった。
ガキーンという大きな音がして、攻撃が受け止められたのである。
「まったく、あんたは相変わらず手間のかかる妹だわ」
「姉……さん?」
そう、パステルオレンジの危機に現れたのは、なんとマジェだったのだ。
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