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第183話 浄化の瞬間(とき)
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「パステル王国を守護せし、色と季節の神々よ」
レインが詠唱を始める。
だが、この間もフォシンズは力の暴走が見られるものの、対抗しようとして力を集め始めている。
「春に目覚め、夏に輝き、秋に成熟し、冬に眠る」
詠唱が進むにつれて、レインを取り囲むように一つまた一つと光があふれ出す。
「赤は情熱、桃は愛情、青は安定、水は自由、黄は希望、橙は陽気、緑は調和、茶は堅実、紫は再生、白は純粋」
ダクネースの時にパステル戦士たちが唱えた詠唱だ。四季十色はパステル王国にとって神聖なものなのだろう。レインの詠唱にも同じものが入っているようだ。
レインを囲む光は四季の四辺形の結界に加え、十色による二つの星形の結界が新たに加わり、レインの詠唱は着々と進んでいく。
「はあ……はあ……」
「ぐ、う……」
しかし、さすがにパステル戦士たちに疲れが見え始めてきた。浄化技をこれだけ長い時間放ち続けた事がないからだ。
「くそぅ、思ったより抵抗が激しいから、俺っちたちのサポートも補い切れねえ」
よく見れば聖獣たちも苦しそうな表情をしている。このままではレインの詠唱が完了するまで持ちこたえられるか分からない。もう時間との勝負となっていた。
「があああっ!!」
フォシンズの雄たけびも激しさを増す。その度にパステル戦士たちの体力を遠慮なく奪っていく。
「穢れた色に安寧をもたらしたまえ」
長く続いた詠唱が終わる。
「フォシンズ、いえ、ダクネースよ。あなたの苦しみはこれで終わりです! パステル・ディヴァイン・ブレッシング!」
レインが杖を天に向けて掲げると、光が一気に舞い上がる。そして、パステル戦士の浄化技に封じられたフォシンズへと降り注ぐ!
「ぐわあああっ!!」
フォシンズが苦しむその様を、レインは肩で大きく息をしながら見守っている。
「この、程度で、僕を……浄化できると、思うなあぁっ!!」
フォシンズが最後の抵抗を試みる。浄化を浴び続ける中、自身に溜め込んだ漆黒のオーラを一気に弾けさせようとしている。
「そうは、いかないわよ!」
「まったくだ」
「よくも私を利用してくれたわね」
そこへ飛び込む3つの影。シイロ、住職、そしてプリムだった。
「無駄だ! 君たちは僕と一緒に、すべて滅ぶんだよ!!」
フォシンズが浄化を浴びる中、力を込める。
「ぐぅ?!」
だが、その瞬間、フォシンズの動きが止まる。
「お前の持つ力は、私にも注がれたもの。少しの妨害くらいできるわ」
プリムが妨害を入れたのだった。フォシンズは必死に抵抗して弾け飛ぼうとするが、なかなかうまくいかない。
「あなた、シイロ。今よ!」
フォシンズの動きが止まる中、住職とシイロが剣を構える。ちなみに住職は飛べないので、シイロに抱えられてフォシンズの足元まで移動している。そして、足元に着地する時に二手に分かれる。
「パステル・プリズム・レインボー!」
そして、同時にフォシンズへと剣を叩き込んだ。
「嫌だ、嫌だ! このままで終わるなんて!」
どうにか浄化に抵抗していたフォシンズだったが、剣を直接打ち込まれた事で、均衡が崩れてしまい、浄化の力に蝕まれていく。
「くそう、伝説の戦士や女王を巻き添えにできなくても……」
フォシンズの目が足元に向く。
「君たちくらいは一緒に連れて行ってやる!」
フォシンズは大きく足を振り上げる。そして、住職たち目がけて足を振り下ろした。だが、その攻撃が住職とシイロに命中する事はなかった。
「私を……、忘れないでよ、ね……」
プリムが再びフォシンズに妨害を入れたのだった。
「なぜだ、なぜだ、なぜだっ!」
フォシンズは激しく雄たけびを上げている。
「ああ、漆黒のオーラが……、散って、行く……」
そして、動きを止めた真っ黒のフォシンズの体が、少しずつ崩れ去っていく。
「覚えて……いろ。世の中に、負の感、情が……ある、限り……、僕は、不滅なんだ……と……」
フォシンズはそのままさらさらとすべてが崩れ去り、白い光となって消え去ってしまった。
「終わ……ったのか?」
光が立ち上る城を見上げて、パステルピンクが呟く。
しばらくすると、上からシイロが住職と小さな生き物を抱えて飛び降りてきた。
「ええ、フォシンズは完全に浄化されました」
シイロは住職を下ろすと、小さな生き物を差し出しながら報告していた。
「げっ、こいつは……」
小さな生き物を見たパステルピンクは、思わずびびってしまう。なぜなら、その小さな生き物は間違いなくフォシンズだったからだ。
「大丈夫だと思いますよ。漆黒のオーラは欠片まで浄化されて、元の聖獣に戻ったようですから」
シイロはそう言いながら、にこりと笑った気がした。
「おーい、みんなー!」
ぱたぱたと結界を張るために散っていたパステルシアンたちが走ってくる。
「ふぅ、これで終わったな」
「はあ、疲れましたわ。さっさと戻ってお風呂に入りたいですわ」
集まってきたパステル戦士たちは、口々に言いたい事を言っていた。
何にしても、長かったモノトーンたちとの戦いも、これで終焉を迎えたのだ。ようやく終わったのだと、パステルピンクたちの表情は安堵の色に包まれるのだった。
レインが詠唱を始める。
だが、この間もフォシンズは力の暴走が見られるものの、対抗しようとして力を集め始めている。
「春に目覚め、夏に輝き、秋に成熟し、冬に眠る」
詠唱が進むにつれて、レインを取り囲むように一つまた一つと光があふれ出す。
「赤は情熱、桃は愛情、青は安定、水は自由、黄は希望、橙は陽気、緑は調和、茶は堅実、紫は再生、白は純粋」
ダクネースの時にパステル戦士たちが唱えた詠唱だ。四季十色はパステル王国にとって神聖なものなのだろう。レインの詠唱にも同じものが入っているようだ。
レインを囲む光は四季の四辺形の結界に加え、十色による二つの星形の結界が新たに加わり、レインの詠唱は着々と進んでいく。
「はあ……はあ……」
「ぐ、う……」
しかし、さすがにパステル戦士たちに疲れが見え始めてきた。浄化技をこれだけ長い時間放ち続けた事がないからだ。
「くそぅ、思ったより抵抗が激しいから、俺っちたちのサポートも補い切れねえ」
よく見れば聖獣たちも苦しそうな表情をしている。このままではレインの詠唱が完了するまで持ちこたえられるか分からない。もう時間との勝負となっていた。
「があああっ!!」
フォシンズの雄たけびも激しさを増す。その度にパステル戦士たちの体力を遠慮なく奪っていく。
「穢れた色に安寧をもたらしたまえ」
長く続いた詠唱が終わる。
「フォシンズ、いえ、ダクネースよ。あなたの苦しみはこれで終わりです! パステル・ディヴァイン・ブレッシング!」
レインが杖を天に向けて掲げると、光が一気に舞い上がる。そして、パステル戦士の浄化技に封じられたフォシンズへと降り注ぐ!
「ぐわあああっ!!」
フォシンズが苦しむその様を、レインは肩で大きく息をしながら見守っている。
「この、程度で、僕を……浄化できると、思うなあぁっ!!」
フォシンズが最後の抵抗を試みる。浄化を浴び続ける中、自身に溜め込んだ漆黒のオーラを一気に弾けさせようとしている。
「そうは、いかないわよ!」
「まったくだ」
「よくも私を利用してくれたわね」
そこへ飛び込む3つの影。シイロ、住職、そしてプリムだった。
「無駄だ! 君たちは僕と一緒に、すべて滅ぶんだよ!!」
フォシンズが浄化を浴びる中、力を込める。
「ぐぅ?!」
だが、その瞬間、フォシンズの動きが止まる。
「お前の持つ力は、私にも注がれたもの。少しの妨害くらいできるわ」
プリムが妨害を入れたのだった。フォシンズは必死に抵抗して弾け飛ぼうとするが、なかなかうまくいかない。
「あなた、シイロ。今よ!」
フォシンズの動きが止まる中、住職とシイロが剣を構える。ちなみに住職は飛べないので、シイロに抱えられてフォシンズの足元まで移動している。そして、足元に着地する時に二手に分かれる。
「パステル・プリズム・レインボー!」
そして、同時にフォシンズへと剣を叩き込んだ。
「嫌だ、嫌だ! このままで終わるなんて!」
どうにか浄化に抵抗していたフォシンズだったが、剣を直接打ち込まれた事で、均衡が崩れてしまい、浄化の力に蝕まれていく。
「くそう、伝説の戦士や女王を巻き添えにできなくても……」
フォシンズの目が足元に向く。
「君たちくらいは一緒に連れて行ってやる!」
フォシンズは大きく足を振り上げる。そして、住職たち目がけて足を振り下ろした。だが、その攻撃が住職とシイロに命中する事はなかった。
「私を……、忘れないでよ、ね……」
プリムが再びフォシンズに妨害を入れたのだった。
「なぜだ、なぜだ、なぜだっ!」
フォシンズは激しく雄たけびを上げている。
「ああ、漆黒のオーラが……、散って、行く……」
そして、動きを止めた真っ黒のフォシンズの体が、少しずつ崩れ去っていく。
「覚えて……いろ。世の中に、負の感、情が……ある、限り……、僕は、不滅なんだ……と……」
フォシンズはそのままさらさらとすべてが崩れ去り、白い光となって消え去ってしまった。
「終わ……ったのか?」
光が立ち上る城を見上げて、パステルピンクが呟く。
しばらくすると、上からシイロが住職と小さな生き物を抱えて飛び降りてきた。
「ええ、フォシンズは完全に浄化されました」
シイロは住職を下ろすと、小さな生き物を差し出しながら報告していた。
「げっ、こいつは……」
小さな生き物を見たパステルピンクは、思わずびびってしまう。なぜなら、その小さな生き物は間違いなくフォシンズだったからだ。
「大丈夫だと思いますよ。漆黒のオーラは欠片まで浄化されて、元の聖獣に戻ったようですから」
シイロはそう言いながら、にこりと笑った気がした。
「おーい、みんなー!」
ぱたぱたと結界を張るために散っていたパステルシアンたちが走ってくる。
「ふぅ、これで終わったな」
「はあ、疲れましたわ。さっさと戻ってお風呂に入りたいですわ」
集まってきたパステル戦士たちは、口々に言いたい事を言っていた。
何にしても、長かったモノトーンたちとの戦いも、これで終焉を迎えたのだ。ようやく終わったのだと、パステルピンクたちの表情は安堵の色に包まれるのだった。
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